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12もう一度話をしてみよう(ネイト)

 

 それからしばらく忙しかった。

 その間俺は考えた。これ以上ミーシャと関わると俺は彼女に溺れるかも知れない。

 いや、もうかなり好きだ。

 こんな気持ちは初めてだった。

 だからこそそんな事はだめだ。ミーシャを苦しめる事になる。

 離縁は出来ない。政略結婚なんだ。でも、非はメリンダにある。

 何とかメリンダに話をして子供を作れる方法を考えるんだ。

 そして妾はいらないと言おう。ミーシャには出て行ってもらう。

 その時は手を付けた対象としてそれなりのお金を用意しよう。それならばミーシャはしばらく困ることもないだろう。

 弟が学園を卒業すれば何とかなるだろうから。


 週末俺はメリンダに話があると呼び出した。彼女の部屋に入るのは嫌がられるから仕方なく俺の自室に呼び出す。こんな話を誰にも聞かれたくなかった。

 「何でしょう?」

 メリンダに扉を開けて中に入らず声を掛けられた。

 「いいから中に入ってくれ、座らなくてもいい。パミラは外してくれ夫婦だけの大切な話だ」

 「わかりました。メリンダ様扉の外におりますので何かあればお呼びください」

 「ええ、わかったわ」

 メリンダは手袋をはめていた。立ったまま腕を組んでこちらを見た。

 「それでお話って?」

 俺は向かい合わせに立つ。

 「ああ、メリンダ。子供を産んでほしい。俺達は夫婦だ。いつまでも触られるのが嫌だとかそんな事言ってられない。わかってるんだろう?キスもしない。メリンダ君の身体にも触れないよう気を付ける。潤滑油で滑りをよくして中に入れる。すぐに終わらせる。子種を中に受け入れるだけだ。それでどうだ?」

 メリンダの顔からは血の気が引いて行く。

 俺は倒れるんじゃないかと思わず近づいた。

 「近づかないで!そんな事が出来るくらいなら…私には無理です。そんな事をするくらいなら死にます」

 「では、離縁しよう。君と結婚していては侯爵家の跡取りは生れるはずがない」

 「だから妾を雇ったんでしょう?それが私にとってどれほど屈辱かわかっておられるのでしょう?」

 「屈辱?受け入れられない俺は屈辱されている事にならないのか?…ったく!兄の代わりに君と仕方なく結婚した。それはメリンダ君も同じだろう。兄ならもっと違う方法で君を愛したかもしれない。でも、兄は死んだんだ。それなら俺達のやり方を考えるべきだろう?俺の提案が受け入れられないなら離縁してくれ」

 「そんな…そんな事出来ないってわかってるでしょう。私だってこんな結婚嫌だったわよ。でもお父様がどうしても止めることは出来ないって言われるから…それなのに離縁するなんて言えるはずがないわ。私だってどれほど我慢しているか知ってるでしょう!」

 「だったらどうする?妾に犠牲になってもらって君はぬくぬくと自分勝手を通すのか?」

 「自分勝手だなんて!ネイト様ったらひどいわ。私こんなの耐えられませんわ」

 メリンダは涙をいっぱいに溜めて頬を膨らました。

 「自分勝手なのはメリンダ君だ。もういい。君が話さないならあちらの両親に離縁すると話をする」

 「ネイト様、あなたのご両親はどうなのです?離縁の話をご承知なのですか?」

 「まだだ。でも、君とはそう言う関係だと知っている。だから妾を取った。わかってるだろう?俺も仕方ないと思った。でも、やっぱり無理だ。俺にはそんな事をしてまで子供が欲しいとは思えない。こうなったら離縁するとはっきり言う。話は終わりだ。メリンダもこの部屋にいるのはいやなんだろう。さあ、出て行ってくれ!」

 「ひどいわ。もう、知らない…」

 メリンダは泣きながら出て行った。

 こっちが言いたい。もう知るもんか!

 俺の心はもうすでにミーシャに傾いていた。


 そして翌日メリンダは実家に帰った。

 最初から姉が子供を連れて帰って来るからと予定に入っていた。

 俺は見送りもしなかった。

 メリンダも俺に挨拶さえしなかった。

 もう、どうでもいい。

 帰って来なければいいのにとさえ思ったいた。







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