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目の前の惨劇で前世を思い出したけど、あまりにも問題山積みでいっぱいいっぱいです。【web版】  作者: 猫石
旦那様、絡まないでください、邪魔です!

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71・患者スペース環境改善善は急げ!

 午後一番の排泄と状態観察終了後。


 ガラとの話し合いから『善は急げ』とばかりに突如始まった、物資班と看護班のメンバー(と、外の護衛の騎士様数名)総出の一階の作業環境改善作業。


 ほぼすべての大型家具を動かすという事で、まずは現在入院中の4名の患者への丁寧な状況説明と協力への理解を確認した。その後モリーの作ったマスクを急遽してもらい、ベッドの上で安静にしたまま、何かあったら遠慮なく声をかけてもらうように説明する。


「全員、作業準備出来ました。」


「ありがとう。」


 看護班の班員が私に報告に来てくれたため、では、と集まってくれたみんなに静かにお願いする。


「ここからは安心安全迅速丁寧に始めていきましょう。 まず患者さんを衝立で囲います。 その後、階段下収納の扉が開くぐらい距離を取って衝立を立てます。 パーテーションの真ん中一歩分ほどは、私達の移動用に隙間を開けてくださいね。 それが出来たら、まず空のベッドを医療院入り口から見て入って右側へ移動し、空白になった場所から床掃除をし、患者様のベッドを左の奥から順番に入れていきます。 ベッドとベッドの間の幅は、私がその時決めますね。 患者様4人に移動して頂いたら、再び患者様を衝立で隠して、その他の場所へのベッド配置と掃除をしていきます。 いいですか、患者様がいらっしゃるので、慌てず、騒がず、大きな音を立てず、慎重に、ゆっくりお願いします。」


「「「「「「はっ!」」」」」」


 私の指示通り、等間隔に窮屈に並べられていたベッドが、患者のいない右側へと、一時片付けられると、階段の下の収納の扉から、約1メートル離れた位置に部屋を区切るように衝立が立てられる。


 丁寧に静かに、けれど急いで空いた左側のエリアがモップで拭き清められると、患者を囲っていた衝立を、声をかけてから外す。


「では、患者様のベッドを動かします。 みんなで慎重にね。」


「「「「はいっ」」」」


 階段際に置いた最初の衝立に沿って、重症患者の横たわっているベッドを、8人がかりで少しばかり持ち上げるとゆっくり丁寧に移動させ、衝立から1メートル弱離れたところで降ろす。


「御協力ありがとうございます。」


 ベッドの上で不安であっただろうと推察されるため、患者には感謝の言葉をかけ、次の患者を同じように運ぶ。


 先に動いていただいた患者様のベッドを起点にし、他3名の患者のベッドも、1メートル離れたところに同じように設置した。それからベッドの頭側に、床頭台の代わりとなるライティングデスクを設置した。 また移動先が窓の真下になるような場所は、直接風を受けて体調を崩してしまうと困るため、窓を避けてベッドを設置する。


 こうして医療院に入って左側に、出来るだけ窓の真下にライティングデスクを置くようにして、ベッドを7つ設置した後は、反対側に同じようにベッドを配置する。これで14床の病棟の出来上がりである。


「余ったベッドはどうしましょうか。 一度解体しますか?」


 24あるベッドのうち、10のベッドが不要となったため、ガラが尋ねてきたが、私は首を振った。


「いいえ、右側は今患者様も入っていないからそちらに固めて集めて置いて頂戴。 医療院の増築が終わったら、そちらで使用する予定だし、無いにこしたことはないのだけれど、もし、増築前に患者が増えるようなことがあった場合に備えておかないとね。」


「わかりました。 ではそのように。 邪魔にならないようにしておきましょう。」


「ありがとう。」


 ガラが指示を出しながら、物資班の動ける方が掃除を始め、看護班と護衛騎士様でベッドを邪魔にならないように動かしてくれる。


「隊長、入り口と真ん中が空っぽになりましたけど、ここはどうするんですか?」


 看護班のクーリー・ローチが肩をぐりぐりと鳴らしながら私のもとにやってきた。


「真ん中は患者の観察がしやすいように、私達が看護記録を書いたりできるスペース『ナースステーション』にするの。 あと、軽くて移動しやすい衝立を置いておいて、軽症者の診療・処置が出来るようにするスペースにもできるわね。」


「ナースステーション?」


「そう、今は入り口のテーブルにみんな集まっているけれど、あそこだと最初の頃、患者全員を確認する事が出来なかったでしょう? こうすれば、中央から見守る方が、不測の事態にも動きやすいし、皆様に目が行き届きやすいの。」


「なるほど。 では、誰かの目が全体にあるように、大きめの円形のテーブルを置きましょう。」


「えぇ、お願いね。」


 ガランと開いた中央スペースに、すぐに大きめの丸いテーブルと椅子、そして看護記録が入った腰の高さの棚が運ばれる。


 一緒に運ばれてきた軽めの衝立とライティングデスクと椅子2脚は、もしも常駐してくれる医師が来た際に、ナースステーション内で軽症者や体調不良者のための、簡易診療室が出来るようにするためだ。


「では、最後のベッドから同じ程度の距離を離して、医療院入り口と患者入院エリアを仕切るように衝立を置いてちょうだい。 中央部分は開けて、扉側にカウンター代わりの小さなテーブルを二つと椅子を置いてちょうだいね。 それをもう一セット、入って左側においてから小さめの衝立を置いてちょうだい。 テーブルは、扉の前において頂戴。 これで簡易受付と面会室の完成よ。」


 看護班と護衛騎士様が協力して家具を動かして作ってくれた受付の方へ、私が向かうと、ガラが歩み寄って来た。


「隊長。 医療院に受付が出来たという事は、受付係がいりますね。 その役目は、物資班の中から選んでもよろしいでしょうか。」


「えぇそうね、それがいいわ。」


 ガラの申し出に、私は頷く。


 実は、足を過去の負傷で失った者は洗濯などをしてくれているのだが、その中にも力仕事が出来ず、心苦しいと言っていた者が居ると聞いていたからだ。


「ただ、できれば読み書きができる者を置いてほしいわ。 ここは患者様をお預かりする場だから、この受付から先への部外者の入室を厳しく管理しようと思っているの。 来客者全員から必ず署名を貰うつもりよ。 受付係になる人は、私への来客や物資の搬入、受傷者や体調不良者の受け入れの時には最初の窓口になるから、一日いると気疲れを起こしてしまうかもしれない。出来れば数人での交代制がいいと思うわ。」


「では、そのように選別しましょう。 他に何かありますか?」


「まずは慣れることが大事よね。 私に対しての来訪者は鈴蘭祭に向けて増えていくだろうし。 ……そうね、私に対する来客等の予定は当日に教えるので、私が来客中の時には、待ってもらうか、後日にするか、その確認の対応をしてもらいたいわ。 もちろん、事前に約束した方が優先でね。」


「了解しました。 係になるものにそのように説明しましょう。」


「ありがとう。」


 私とガラの会話が終わるのを待っていたミクロスが、代わって声をかけてくる、


「隊長、ここの壁は、増築の時に作ってもらうのですか?」


 衝立を並べただけの壁に首を傾げたのは看護班のミクロスで、私は首を振る。


「階段側の方は、一緒に作ってもらってもかまわないと思うけれど、入り口側は、患者を大人数で搬入するときに壁だと邪魔になるから作るつもりはないわ。 もし作るとしたら、1/3程度……ちょうど面会室の部分だけね。 受付とその隣は、大量の傷病者搬入も見越して、大きく間口を開けられるよう、カーテンにしてもらうつもりよ。」


「それでカウンターは、大きなテーブルではなく、小さな机を並べたんですか?」


「そうよ。 邪魔になった時、移動させやすいでしょう?」


 ふふっと笑った私は、右側の窓から見える、増設のための基礎を作っている光景を見た。


 今回の移動で患者を全員左側に移したのは、増設を行っているのが右側だからだ。 あの増築部分が出来あがると、医療院は現在のIの字型の建物から、L字型になる。


 増築完成後、一階、二階と壁をぶちぬき、その部分の補強とリフォームも行うのだという。


 まぁ少ない人数でシフトをまわすためにも、独立した建物が2棟建つよりは、Lの字型のほうがいいのだけど……まさか壁をぶち抜くっていう発想はなかった。


(その際、患者が退院していればいいけど、退院していなければ、1階の開通工事の時には、皆様を二階個室へ移動させるしかないわね……。 まぁ、何とかなるでしょう。 シーツでくるんであげる、という手もあるしね……。)


 防災訓練で、寝たきりの患者をエレベーターを使わずに避難させる方法、やったなぁと思いだしながら、全員で掃除や後片付けを行い、一階の医療院の診療・入院スペースが整ったころには、すぐに夕方の排泄確認の時間になっていた。


「さぁ、そろそろ夜勤と交代の時間ね。 排泄確認をしましょう。」


「はい。」


 かなり動きやすくなった病床で、私は看護班と本日の勤務最後の排泄ケアに回るのだった。

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― 新着の感想 ―
うーんいまいちわからないのでマップが欲しいです!!!!!!
[気になる点] すみません、誤字というか衍字報告です(^_^;) サブタイトルの 71・患者スペース環境改善【善】は急げ! で【】で括った部分が多いです(^_^;) サブタイトルは誤字報告機能が…
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