全ては画面の外で
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
鬱病、双極性障害等のセンシティブな話があります。
不快に思われる事もあると思います。
お気を付けて下さい。
とある日の喫茶店。優しい午後の光が降り注ぐ中で、僕達は黙って向い合っていた。寄木細工を繋げたような床に、其れよりも濃い色のテーブル。この純喫茶に似合の物は勿論珈琲だった。僕達は互いに全く同じものを頼んで、無言で過ごしている。
不意にスマホを弄っている彼女が小首を傾げた。
「んんん?」
「何事?」
僕の問い掛けに、彼女は上目遣いで返事をした。とりあえず持ってた電子端末を隅に置いやると、米神を掻く。言うべきか考えている様だ。今の目視したこの内容を。
僕的には言いたくなければ言わなければ良い。話したかったら話せば良い。過度に入れ込むとそれだけで気疲れしてしまう。
しかし彼女は言葉を纏めた様で、頬杖を着いて身を乗り出した。
「私の敬愛している方が双極性障害でね。ぶっちゃけこの人の生み出した物に何度も救われた。今までは大丈夫だったのだけど、今は落ち込んでしまったみたいだねぇ」
「随分と冷静だね」
敬愛している方、何度も救われた、という言葉ならば、もう少し気が動転していてもおかしくは無さそうなのに、酷く落ち着いていた。画面越しに起こった事象を淡々と話すアナウンサーのようだ。
彼女は椅子に思い切り体を預けると、筋肉を解すように伸びをした。それからほんのりと薄暗い瞳で此方を凝縮してきた。
「最初は結構折れたけどね。泣いて布団に着いた事も多かった。でも慣れだよ。これこそは」
あぁ……そうなんだ……。常に気丈に、冷静に振る舞う彼女らしからぬ言葉だった。でも……それ程までに強い思いを持っていたのだろう。何度も救われた。という言葉からも分かる通り。
彼女は僅かに唇を開いて犬歯を晒すと、ある一つの真理を提示した。
「鬱病と戦っている人と接する時に気を付けなければならないのは、自分が鬱にならない事だよ。自分こそが染まらない事。落ち込んで、元通りになって、謝って、また落ち込んで。それに振り回され無いこと。これが出来る人はもう大丈夫。カウンセラーに向いてる」
そう言って珈琲に手を付けた。今の彼女には苦過ぎたのか、僅かに舌を出して、眉間にしわを寄せた。追加でココアを注文しよう。
――全ては画面の外で。過度に感情移入せず、俯瞰的に物事を見ること。
彼女
アンニュイで色っぽいお姉さん。
昔、煙草を吸う人に憧れて、親に強請った事がある。
問答無用で口に煙草ラムネを捩じ込まれた。
それ以来煙草ラムネが好き。
好きだった絵師or作家さんが双極性障害で、うつ状態の度に感情をぐちゃぐちゃにしていた。
情報発信元が潰れた時にはガチで泣いた。(追えないやん!!)
今は吹っ切れて、
『もー、全国の絵師or作家が楽しく書いてくれればいいや〜』
『躁状態になったら、きっと戻って来てくれる。信じてる』
だから俯瞰的に待ち続ける。
以下何でも許せる方向け
センシティブな内容+不快に思われる話です。
気を付けて下さい。
一番かかりたくない病気は鬱病だと思います。
万病に掛かっても、死ぬ時の最後の日まで思い出作りに尽力出来たら、貴方様はきっと勝ち組です。
苦しくても死ねない。楽しくない。それが一番苦しいと思います。
とある小説と現実をリンクさせて書きました。
結構有名な方の小説なんですけど、如何せん鬱病がサブで描かれているので、この言葉だけで気付く方は少ないかと。
その登場人物、こう言ってたなぁと。
「私も限界だった。彼女から距離をとりたかった」って。
辛い人の鬱の言葉を聞き続けるのって結構抉れますよ。
どうしようもなくなって、どんな言葉も届かなくて、聞く側も自暴自棄になります。はっきり言って病みます。
だから多少冷徹に思われても、俯瞰的に物事を見ることが大切だと思います。感情全てが欲しいと言うのは、心の底からの同情というのは、今回ばかりは片隅に置く必要があると思います。