転生したら雪だるまでした。転生特典が強力炎魔法って自分が消えちゃうじゃん
神の戦いに巻き込まれ俺は死んだ。神が申し訳ないと異世界へ転生させてくれた。
物語のヒーローになれると思った。
目覚めると目の前に一人の少女が立っていた。毛糸の帽子に手袋マフラー。冬の装いだ。
「雪だるまさん。こんにちは」
彼女が挨拶をして来た。雪だるま?異変を感じ恐る恐る自分の手を見る。ほうきやん。腹は太くて白い。足は無い。
「や、やぁ」
自分の姿は認めたくないが、挨拶は返す。
「やった!生命付与が成功した」
彼女は跳喜ぶ。
「生命付与ってなんだ?」
自分の状態を確認する為、質問する。
「ホムンクルスを作る時の錬金術の一つだよ。貴方に名前をつけるけど。何かリクエストある?」
俺はホムンクルスの雪だるまか。勇者となって薔薇色人生が。
「やり直しを要求する!」
「諦めて。出来れば仲良くしたいな」
マリーは俺に手を差し出して来た。納得は出来ないが手を取る。
「ユウキだ」
「私はマリー宜しく」
「これからどうすれば良い?」
「取りあえず家に行こうっか」
「俺、動けないぞ」
「浮遊魔法付与するから」
マリーは俺の腹に手を当て何やら詠唱を始めた。
「さあ、出来た。飛んで見て」
「どうするんだ?」
「魔力を貯めて飛ぶイメージで吐き出す」
マリーに言われるまま瞑想してみる。
「あ、浮いた」
「上手い。上手い」
「落ちた」
浮く落ちるを繰り返し、何とか移動出来るようなった。
「じゃあ行こうか」
マリーに案内され家に着く。暑い。体が溶けそうだ。ほうきの腕が落ちた。
「俺、お前の家、無理。暑すぎる」
「ゴメン。そうだね外の庭で待っててくれるかな」
庭に案内される。なんか落ち着く。
「ちなみにユウキは何か魔法使える?」
よくぞ聞いてくれました。俺は転生した時の特典として神の炎魔法を覚えさせて貰った。
「使えるぞ」
「見せて。アイスボールかな」
「そんな柔なもんじゃない。見よ。神の炎。テラフレア」
辺りに何も無くなった。俺の意識も無くなった。
再び目が覚めた時は雪山の上だった。正面にはマリーが立っていた。
「貴方バカなの?雪だるまなのに炎系の魔法なんて自殺行為。もう一度生命付与するのに三日もかかったじゃない」
三日?良くわからないけど自慢しよ。
「どうだ!凄いだろ」
「はぁ?貴方あの時死んだの。炎魔法禁止ね。寿命が短いんだから気をつけてよ」
「寿命が短い?」
「そ、貴方の寿命は雪の降る冬の30日間ぐらいだけ。溶けるから」
30日後に消える雪だるま。なんの転生だ!約30日間を必死に生きる。