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15 用務員と寮監はとても気まずい


 警備棟へやってきた国立サルートス上等学校長・ヘンリークは、ウェスギニー大佐フェリルドがこちらの無理ある要望を許諾し、王城へすんなり帰ってくれたことで一気に彼の味方となっていた。

 誰が一番この上等学校の舵取りで苦労しているのか、彼は分かってくれていたのだ。軍に所属していながら、教育現場に対する信頼と理解がある。

 勿論、大切なエインレイドを預かるのだから、警備棟及び男子寮に配属された士官達がぴりぴりしているのは分かる。

 けれども上等学校に配属された士官達が警戒していたフェリルドはとても情愛に溢れた人物だった。勿論、それが表面的なものである可能性とてないわけではない。

 それについては放課後、アレナフィルを呼び出してからこの目で見て判断すればいいことだ。


(無かった事件をあったことにはできない。貴族でありながら子供の心を思って市立に行かせたという父親をどうして疑えるというのだ)


 ただでさえ色々な貴族から、エインレイドと仲良くする為に男子寮に入りたいだの、女子寮に入れば交流会はあるかだの、席を隣にしてもらいたいだのといった、愚かしい要求や問い合わせばかりなのだ。

 いい加減にしてくれという気持ちを足取りにこめ、学校長は警備棟まで行き、寮監と警備棟の士官達を前にして説明した。


「ウェスギニー大佐にお話を伺ったところ、奥方はお子さんが4才の頃、殺されたそうですな。アレナフィルさんはお母上が殺されるのを目の前で見てしまったショックで記憶と言葉を失い、家族の顔すら分からなくなったそうです。それは発声機能を失ったのではなく、サルートス語そのものを聞いても理解できず、話せず、意思疎通ができない状態だったと。それは軍の基地内で起きた事件なので、運ばれた病院も診察記録も、その気になればすぐ調べられるでしょうということでした」


 ざわっと、彼らの眼差しが揺れる。

 学校長の言葉に、あなた方はそんな気の毒な子供を疑っていたのかという、そんな思いを感じたこともあるだろう。

 フェリルドの妻が亡くなっていることは知られている。士官であれば殺されたことも、知る人は知っていた。だが、それを目撃した幼い娘がどうなっていたかということまでは全く噂になっていなかったのだ。


「5才からの幼年学校入学にあわせて、ウェスギニー大佐は言語学の専門家にお願いし、一年で言葉を取り戻させたそうです。さすがにカタコトしか戻らなかったということでしたが。

 しかしアレナフィルさんは記憶を失った状態で、幼いアレンルード君は母親が遠くに出かけていると信じ、やがて病死したと伝えられたそうです。だから幼い子供達に真実を誰かが聞かせないよう、国立サルートス幼年学校ではなく、市立レミー幼年学校に通わせたと聞きました。エインレイド様のお顔を知らなかったのは、市立には平民しか行かないからでしょう。

 アレナフィルさんは記憶を取り戻すことなく、しかし保護者が一緒でないと外に出るのも怖がるようになった為、学校が終わると自宅で家政婦と一緒に過ごすようになったそうです。

 本当の母親のように家政婦に甘えるアレナフィルさんを見ていたウェスギニー大佐は、経済軍事部の貴族達に紛れこませるよりも、これ以上お嬢さんの心を傷つけまいと、あえて一般の部に進学させたそうです」


 学校長の淡い青磁(セラドン)の瞳が、あなた方はそんな可哀想な女子生徒に向かって、王子の顔を知らないとは演技に違いない、それも取り入る為ではないのかと、そんな疑いをかけていたのかと、侮蔑の光を放つ。

 まさかそういった事情とは知らなかった面々は、自分達がとても卑怯で情けない男になったような気がした。


「あなた方はどうもウェスギニー大佐のお子さん方に対して色々と思うことがあるようですので、隣の修得専門学校で言語学を研究しておられるクラセン先生に来ていただきました。彼はウェスギニー大佐のご友人で、アレナフィルさんに言葉を教えた方でもあります。・・・君、クラセン先生を呼んできてくれたまえ」

「はい」


 すぐに別室にいたバーレミアスがやってくる。濃い黄緑色の髪、水色の瞳をした童顔の講師は、呆れたような顔で、一同を見渡した。

 

「初めまして。クラセン・ヴェイク・バーレミアスです。フィルちゃんのことを聞きたいとご連絡をいただいたのですが、何か問題でもあったのでしょうか? どうやら軍の管轄のようですが、犯罪行為を彼女が行ったのでしょうか?」


 隣の修得専門学校も、警備は軍の兵士が行っている。

 バーレミアスは、まさかと思うが彼女がいきなり事件を起こしたのか、それとも違う人格が出たのか、はたまた4才の子供に戻ったのかと、目まぐるしく考えていた。

 そこで学校長ヘンリークが説明する。


「いえ、そういうわけではありません。実は今年、我が校に入学したアレナフィルさんは、評価表の成績があまりふるわないのに、言葉を交わしてみれば年齢よりも大人びた思考を展開したそうです。現在、我が校にはエインレイド様が入学され、周囲の人選にも配慮しております。クラセン先生は、4才の頃のアレナフィルさんに言葉を教えられたそうですね。サルートス幼年学校に行かなかった理由や、カタコトしか話せなかったという割には弁の立つ理由をご存じなら教えていただけないでしょうか」


 ふんっと、バーレミアスは鼻を鳴らした。

 バーレミアスとて母親が王城で女官として働いていたこともあるのだ。貴族の考え方は十分に教えられている。

 外見だけは可愛らしく、中身はどうしようもないアレナフィルが目をつけられたことは十分に理解した。

 こういう時は強気に出た方がいい。


「気に入りませんね。いえ、学校長。あなたの誠意は理解しております。ですが、たかが13才の女の子にちょっと偉そうに言われて、おかしいと軍人が疑ってみたわけですか? でかい図体ばかり揃えて、肝っ玉は小さいようですね。ああ、失礼。私にしてみれば、てめえらが頭悪いんだよと、そうとしか言いようがない愚問です」


 あまりの口の悪さに、誰もが呆気にとられる。

 どさっと、バーレミアスは乱暴な仕草で椅子に腰を下ろした。

 さっと見渡せば、誰もがそれなりに体格も良く、恐らく軍でもエリートであろうと察せられる。習得専門学校の兵士達とは違うレベルだ。

 だからこそ、あんな子供を警戒したのかと、堂々と非難できる。


「軍属なら基地内で倒れたフィルちゃんがどこの病院に運ばれたか、どれだけ昏睡状態にあったか、目覚めても家族の顔も言葉も分からなくなったという診察記録も、全て調べられる筈だ。

 それを一年でサルートス語を身につけた努力を褒めてやるならともかく、大人のような思考を見せたから疑った?

 アホか。言語学の専門家が教えて、子供のお喋りしかできない方があり得ない。修得専門学校講師が1対1授業だぞ? どんな結果しか出せないと思っていたのか、そっちが疑問だね」


 くっと笑ってみせるそれは、どこまでも挑発的だ。

 バーレミアスは学校長ヘンリークに向き直った。


「サルートス幼年学校に行くメリットはフィルちゃんになかったのですよ、学校長。あの子が欲しいのは貴族令嬢としての縁談ではなく、穏やかで愛情あふれる家族との生活です。

 殿下の取り巻きなら、うちのフィルちゃんは不適格です。あの子は私の研究室にもらう予定なので手を引いてください」

「は? ちょっと待ってください。それは・・・、もう決まっているのですか? まだ上等学校に入ったばかりなのに」


 驚いたのはヘンリークの方である。

 だが、バーレミアスの気持ちは分かるような気がした。幼い女の子が努力して言葉を身につけ、今度は優秀すぎると疑われたとあっては。


「学校長。フィルちゃんは毎年うちの入学試験を解いてます。さすがにルード君は教えてないので無理ですが、フィルちゃんは私の教え子なので引き取りますよ。ですからその程度で怖じ気づくアタマなら手を出すなと、そう言いたいのです」

「なんと。修得専門学校の入試をですか」


 おやと、ヘンリークの目が光る。

 今、アレナフィルは13才。本来、その入試を受けるのは18才だ。

 教育者であれば興味を持たない筈がない。バーレミアスはにやりと笑ってみせた。


「ええ。便利なんですよ、あの子。だから大切な殿下の周りに小生意気な子爵の娘など置かず、もっと高貴でお淑やかな令嬢を揃えるべきです。父親だって経済軍事部には入れなかったでしょう?」


 バーレミアスはアレナフィルの願いを知っている。貴族令嬢としての生活を構築するより、まずは自立してお金を貯め、彼女はファレンディア国へ戻りたいのだ。残された人がどうなったかを知る為に。

 アレナフィルはかつての自分の死後を気にしていた。

 そこに王子がどうだの、貴族令息がどうだのといったものは存在しない。


「たしかに。・・・なるほど。ふっ、いや、面白い。先生から英才教育をされてしまったので、わざと成績を落としていたわけですか。なんとまあ、まだ会ってはいないのですが面白そうな子ですね」


 貴族令嬢としての価値ではなく、ただの生徒としてアレナフィルの価値を認めてみせたバーレミアスに、学校長ヘンリークの心も震えていた。

 王子、王子と騒ぎ立てる人々の中、やっと生徒の健全な成長と学業について語り合える人に出会えたのだ。それもアレナフィルという女子生徒によって。


「やめてくれませんか、学校長。うちの妻もあの子、気に入ってるんです。貴族としては駄目すぎるので、殿下に近づけるべきじゃないですね。ただし教育者にはあの子、かなり便利ですよ」

「ほう。どのように?」


 警備の士官と寮監達は蚊帳(かや)の外に置かれていた。

 そもそも警備なら体を動かしてろというのが、二人の本音だ。学校とは学ぶ為にあるのだ。

 あはは、わはははと、とても意気投合し始める。


「お手伝いしてくれます。なんといっても子供で引きこもり。試験や研究流出の心配もなく、採点を任せておけば研究時間も捻出できます。書類整理もお手の物、疲れた頃を見計らって飲み物だの軽食だの出してくる。あれはもう一家に一人、フィルちゃん。

 うちの妻も同業ですが、試験前後に来てもらう度、うちの子にするって叫んでますからねぇ。

 ですから上等学校の出席日数、どうにかなりませんか? 何でしたら卒業証書くれたら今から引き取ります。そうしたら殿下の目にも入らず、警戒する必要もなくなって誰もがめでたしめでたし」

「いやいや、それはさすがに。何よりアレナフィルさんにはお友達も必要ですよ」


 これこれと、さすがにそれは学校長も看過できない。十代の友人作りは大切だ。

 バーレミアスは首を横に振った。


「友達なら私と妻がいるから大丈夫です。どうせあの子、バカみたいな会話なんてやってられるかと居眠りしかしていないでしょう。何なら卒業試験に合格すれば卒業証書をあげると言えば即座に受けますよ」

「そうきましたか。本当にお気に入りなんですな」


 友人の娘を友達と言いきるバーレミアスに少々の不安を抱きながらも、だからこそヘンリークはアレナフィルをこの目で見なければならないと決意する。


(まさか父親の友人にいいように利用されているわけではあるまいと信じたいところだが)


 学校長ヘンリーク。教育者として現場から離れて久しくとも、彼とてバーレミアスみたいな若僧なんぞ太刀打ちできぬ程に生徒を育ててきた矜持があった。情報は情報としていただくが、若僧如きに指導なんぞされるつもりはない。

 まるで誰からも見つけてほしくないとばかりに一般部に進み、落ちこぼれな貴族令嬢にみせかけて、アレナフィルという女子生徒はどんな少女なのか。


(既に卒業までの学業をマスターし、講師が欲しがる生徒とは)


 フェリルドにしても、バーレミアスにしても、アレナフィルをエインレイドに近づけたいとは思っていないのだ。それどころか全てにおいて接触しない方向へとアレナフィルを進ませている。

 母親の死で心を壊した哀れな少女に、まるで取り入ろうとしているような疑いをかける寮監達の方がおかしいと言えるだろう。

 しかしフェリルドの話を聞くまでは、ヘンリークもアレナフィルを疑っていた。女子生徒がどうして男子寮に現れるのか。双子の兄を理由に近づいただけではないのかと。

 父親の説明には納得したが、その裏でまた一抹の疑いを持ち続けてもいたのだ。

 けれどもバーレミアスはにこにことして、それならアレナフィルをこちらへ寄越せと主張する。


「ええ。雑用を全て押しつけられて、文句も言いませんからね。いや、言ってるけど、それも面白いからいいんです。

 あの子が礼代わりに欲しがるものは本ぐらいだし、だから一緒にお買い物に行きますが、どうせあの子の買い物代金は父親から出ていますからね。しかも私が欲しいと思った本や商品は、わざとあの子が買いたそうなそぶりを見せるものだから、店主もこんな小さい子が頑張って読むのならと値引きしてくれるときたものだ。

 ホント、手がかからなくて役立ついい子です」


 よく考えたら一番ひどいのはこの男じゃないのかと、その室内の誰もが思った。

 父親の育児放棄はともかく、習得専門学校の講師ならばどうして王子のことを教えていなかったのか。


「お。そろそろこちらも授業の時間ですので。・・・ああ、だからフィルちゃんは殿下の目に入らない所に置いておくのが一番ですよ。学校長、フィルちゃんはうちの研究室前に捨てといてください。それでは」


 ちゃっと片手をあげるとバーレミアスは部屋を出ていった。

 取り残された室内には、何とも言えない沈黙が漂う。

 ふぅっと、誰かが深い息を吐いた。


「なんで、ウェスギニー大佐の関係者、誰もが濃いんだ」


 寮監レオカディオの意見に、誰もが頷く。

 まるでこちらが考えすぎていておかしいような言われ方をしたが、そもそもおかしいのはアレナフィルの方だ。

 王子が通学しているという情報を全く把握していないこと自体、貴族としてアウトだった。




― ☆ ― ★ ― ◇ ― ★ ― ☆ ―




 サルートス軍において個人レベルでの情報収集はとても大切だ。上官の能力や性格次第で生きるか死ぬかの違いが出てくる。

 そして任務で組む相手次第で生存率も変わってくるのだから、守秘義務は守秘義務として少しでも質の高い情報を誰もが集める。

 たとえば無能な上官の所へ配属されるという情報をいち早く掴めば、それより上の立場の人間に賄賂を贈ってそれを回避することも処世術だ。誰だって「私のミスはお前のミス、お前の手柄は私の手柄」な人間の下で働きたくない。

 そんな中、ウェスギニー大佐・フェリルドの名前は常に悪評と共にあった。かなりの危険を伴う工作部隊も彼の地位ならとっくにデスク作業の筈なのに、未だに現場に出ているという。

 それこそ部下の手柄を横取りして自分の評価を上げ続ける為だと言われていた。

 ゆえにサルートス上等学校の警備棟や男子寮に配属された士官達も彼には警戒していたのである。

 勿論、噂話を鵜呑みにして決めつけるのはよくないことだ。だが、いい噂が全く出てこない人間をいい人だと信じる人がいたら、その方がおかしい。

 実際、あの誠実そうな言動と、やっているえげつない成果が結びつかない以上、フェリルドの本性は悪の化身に違いない。

 妻を殺されたことにしても多額の賠償金と出世を引き換えにしたと言われているだけに、同情するものでもなかった。

 そんな男の子供だ。

 ましてや王子であるエインレイドに対して初対面から無礼な言動をしたと聞けば、誰だって「お前はナニサマだ」と、ムカつくだろう。

 かえって王子のお気に入りやガールフレンド狙いというのがよく分かる令息令嬢の方が、その目標が分かりやすいだけ潔いというものだ。王子には興味ありませんといった変なプライドを振りかざしながら礼を失しているなど、ただの頭の悪い愚か者だろう。

 だから誰も思いつかなかった。そう、誰もが全く考えもしていなかったのだ。

 まさかフェリルドの娘が、4才にして母親を目の前で殺されたとか、そこで記憶を失ったとか、言葉も分からなくなったとか。ゆえに父親は、貴族社会には全く接点のない環境を娘の為に作り上げていたとか。

 そこまで過酷な事態になっていたと、誰も思わなかった。

 それはフェリルドが、己の子供達のことを全く語らなかったこともあるだろう。


「それでもよぉ、あの口の悪い先生だって、ウェスギニー大佐の友人なんだろ? それなら大佐に味方するさ」

「そうだよな。13才でいくら何でも修得専門の入試問題解けるってのはないだろ」

「やっぱり法螺(ほら)話なのかなぁ」

「けどよ、かなり自信たっぷりじゃなかったか?」

「試験を受けさせればいいとまで言ってたし、嘘じゃないかもね」


 貴族の血を少しでも引いていたら親は子供をサルートス幼年学校に入れるものだ。だからそこを出ていない貴族はあり得ない。

 そういった先入観が邪魔をしていた。

 サルートス幼年学校では礼儀作法の時間もあるから余計にだ。


「だけどさぁ、自宅で大佐が常識を教えときゃすんだことだろ」

「なんか子爵邸で生活してないことも影響してたらしいって話だぞ」

「寮監メンバー、もう大佐の息子は疑ってない感じだよな」

「可哀想な目に遭ったの、娘の方だろ」

「その娘に殿下が興味持っちゃったみたいだしな。どうなるのかねぇ」

「たしか殿下とのお喋りの後、移動車出すって話だったか。俺行ってくるわ」


 用務員として構内を巡回しているネトシル少尉・グラスフォリオンが、アレナフィルを送っていく役目に手を挙げたが、そこにはどこかやりきれない表情が浮かんでいたことに誰も気づかなかった。




― ◇ – ★ – ◇ ―




 ウェスギニー・インドウェイ・アレナフィル。

 父親と同じ玉蜀黍の黄熟色(メイズイエロー)の髪に、針葉樹林の深い緑色(フォレストグリーン)の瞳をした女の子。

 外見上、双子の兄と見分けがつかないのは、制服はスカートではなくスラックスを着用していることもあるだろう。まさにそっくりさんだ。

 学校長から遅くなった女子生徒を自宅まで送り届けるように命じられたからと移動車まで案内すれば、アレナフィルは明るくお礼を言った。

 

「すみません。お手数をおかけします」

「いやいや、こんな遅くまで勉強してたなんて偉いね。どう? 学校生活は」


 どうしてこんな時間まで残っていたのか、理由までは知りませんといった設定で、グラスフォリオンが話しかけてみる。

 普通の貴族令嬢ならば、途端に眉を(ひそ)めるであろう、ぞんざいな言葉遣いだ。ついでに上官のお嬢さんに対しての言葉遣いとしてもアウトだ。

 あの泥だらけで笑って走り回っていた顔と同じだなぁと、そんなことを思いつつ、グラスフォリオンは移動車を発進させる。


「お友達作りが難航中です。女の子に人気な小物とかが分からなくて」

「なんで小物?」


 人気な小物がどうして必要なのかと思ったら、女の子は同じ物を見て、

「これ、可愛い」

「ほんと、可愛い」

と、言い合えなければならないらしい。

 そこには同じ物を一緒に愛でることのできる繊細で協調性のある感性が求められるのだとか。一人で違う方向へ突っ走っているのはただの変人らしい。

 今までの幼年学校でも、それができなくてお友達ができなかったそうだ。

 具体的な理由を最初に言われてしまい、グラスフォリオンも正直に白旗を掲げた。


「うーん。それはおじさんも分からないなぁ」

「おじさんって言うけど、私、お兄さんより年上の人をお兄さんって呼んでますよ? 若いのにおじさんなんて、勿体ないです。それとも結婚してるんですか?」

「いや、まだだけど」


 いつものくせで突っぱねるような返事になる。

 グラスフォリオンはネトシル侯爵家の息子だ。何かと恋人の探りは入れられる。だからまたいつものそれかと、反射的な返答だった。

 その反応の拒絶ぶりにアレナフィルは気づかなかったらしい。


「そうでしょ? なんかクール&ホットでソードって空気があります。レン兄様なんて、結婚してもまだ兄様ですけど。お兄さんとおじさんの境って守りに入っているかどうかだと思いませんか? お兄さん、どう見ても守りに入ってませんよ」


 ぐぃっと親指を立てて主張してくるものだから、思わずグラスフォリオンも笑いだしそうになった。そんなことを言われたのは初めてだ。

 何なんだ、この子は。まずい、ちょっと欲しくなったぞ。

 王子エインレイドが興味を持ったのは知っていたが、グラスフォリオンは自分こそがこの少女と親しくなりたいと感じた。

 既に13才の子のセリフではない。あのバーレミアスの気持ちがよく分かる。一緒にいるととても楽しそうだ。


「はは、ありがとね。だけど生徒さんと変な関係を構築しないよう、あくまでおじさんとして距離を取っておかなきゃいけないのさ」

「そうなんですね」


 これは嘘ではない。目立たず巡回する為にも大切なことだ。彼の本当の仕事は用務員ではなく、あくまで護衛なのだから。

 アレナフィルは、ほうほうと頷いた。


「つまり子供達にこの人は懐いていい人だとか依存されたりしないよう、その錯覚を起こさせない為に最初から壁を作るわけですね。了解です。職業倫理を高く持つというのは大切です。私も学校でお兄さんを見かけても話しかけないよう留意します」

「あ、うん。・・・頭いいね。子供なのにすぐ理解するなんて」

「父の友人が学校の講師をしているんです。まだ未成熟な生徒に対し、大人がきちんと枠を作るのは当たり前だと常々言っていました。子供だからとなんでも許されるわけではありません」


 グラスフォリオンの心に、とある口の悪い講師の顔が浮かんで消える。

 どうせ居眠りしているだけなんだから自分の研究室の前に捨てておけと言ってのけたあの顔が。


(いや、ちょっと待て。この子、幼年学校卒業したばかりだろ。なんでこんな割り切りぶりが出来上がってんだよ。どんなおかしい教育して育てやがった。おかしくないか? おかしいだろ)


 グラスフォリオンの背中に薄気味悪い、そして冷たいものが走った。

 そりゃあ友達など作れる筈もない。この子の心はおかしい。他の生徒達とてこんな異分子など拒絶するだろう。

 今からでも引き取ると言っていたのは、友人である父親に味方してアレナフィルを持ち上げたのでも何でもなく彼の本音だろうと、直感的に悟った。


「うーん。そんな難しいことを子供が考えなくてもいいと思うけどねぇ。まだ学校に入ったばかりだろう。おじさんが上等学校に入った時なんて、そんなの考えたこともなかったよ。あ、ちゃんとおじさんもサルートス上等学校出てるから、これは先輩としての意見だな、うん」

「そうなんですか? 私、一般の部なんですけど、役人になりたいなって思ってるんです。お兄さんも一般の部?」

「いや、一般ではなかったけど」


 なんだか罪悪感がびしばしと生まれてくるのは、この生徒が何も知らないからだ。しかもこの年で就職まで考えているっておかしくないだろうか。子爵にとって唯一の娘だというのに。

 どんなに悪い噂があろうと、ウェスギニー子爵領はそれなりに裕福だし、結婚相手など手を挙げる奴は多いだろう。たしかに高位貴族の爵位を継ぐ者の妻となれば厳しいかもしれないが、この愛らしさなら無理とは言い切れない。


(なんで役人なんだ。一生遊んで暮らせる程度の資産はあるだろうに)


 はっきり言って憎んでいた。フェリルドの子供ということは、つまりあれだけの大金をせしめた家の子供じゃないかと。

 いいや、私怨は己の中で抑えておくものだ。子供には何の罪もなく、被害者にすぎない。

 そう思う気持ちと、やりきれない気持ちと。


(考えるのは後だ。冷静にならなくては。そして感情を出すべきじゃない)


 グラスフォリオンが、自分の心の中で荒れ狂う思いに蓋をして落ち着こうとしていれば、お喋り好きなのか、アレナフィルが話しかけてくる。


「ところで聞いてもいいですか?」

「いいよ、何でも聞いて」

「今の王子様と王女様って何人いるんですか? ついでに年って分かりますか?」


 にこにこと軽い口調で応じればストレートな質問がやってきた。だけどここで自分が教える方がかえって事態が混乱しそうだ。


――― あのさぁ、それを知らないからおかしいんだって。幼年学校でも授業でやるだろうが。王位継承権や爵位相続についても習うだろうが。いや、そりゃ市立はやらないのかもしれないが、そんなこと知らねえよ。


 そう言えるものなら言いたかった。

 アレナフィルの質問により、グラスフォリオンは自分達の失敗の原因を本質的に理解した。

 思えば自分達一同、市立の幼年学校に通った者などいなかったのだ。授業で教えられないという現実を誰一人理解していなかった。

 そして平民から軍に入った者にしても、主要な王族や貴族は名前から顔まできっちり教えられる。

 ここで不幸な生い立ちの少女に対し、「そんなの常識的に誰でも知ってるだろ」と、偉そうに教えて悦に入ろうと思う程、グラスフォリオンも下衆な感性は持っていない。

 だから今だけはアレナフィルに合わせてあげたかった。


「いやぁ、一般人でそこまで知ってる人、いないんじゃないの。おじさんも知らないしねー。あ、今年の新入生に王子様が入ってきたのは聞いたけど、まだお見かけしたこともないなぁ」


 ちょっとあからさまだったかなと思ったが、アレナフィルは信じた様子である。


「そっか。そんなものですよね」

「そうそう」


 グラスフォリオンは話を流すことに成功した。

 アレナフィルの反応に、やはり市立では教えないんだなと知る。まさに盲点だ。


「良かった。みんな、私がおかしいみたいに言うんです。知らないの、普通なのに。見ただけで、誰が誰だなんて、分かるわけないのに」

「そう落ち込むようなことじゃないってな。そりゃあ、誰だって教えてもらわないと相手が誰かなんて分からないもんさ。そんなの当たり前じゃないか」


 言っていて、自分の言葉の矢がグラスフォリオンの心に突き刺さる。

 バーレミアスから馬鹿にされたのも当然だ。常識に囚われず精査して調べ、双子が市立の幼年学校を出ていたこと、そしてそこで何が教えられ、何が教えられないかを確認していれば問題なかった。

 けれども警備棟や男子寮だって言い分はある。

 どうしてウェスギニー子爵家が子供達に王族のことを教えていないと思うのか。取り入る気がなくても、そこは教えておく。太陽が東から昇るのと同じぐらいに当たり前のことだ。

 

「私、王子様と会っても、王子様って分からなかったんです」

「仕方ないんじゃないの、それは」


 しんみりとした空気はそこまでだった。

 既にアレナフィルの心は次に向かっていたらしい。


「それでですね、王子様の名前も顔も知らなかったというので呆れられたのです」


 アレナフィルはいかに自分が理不尽なことを要求されたかを語った。そして、よりによって自分が父親に怒られない為に口添えしろと、グラスフォリオンに迫ったのである。


「私は悪くなかったと、是非、大人のお兄さんからうちの父に言ってあげてください。一般人は知らないのが当たり前だと」

「・・・・・・・・・」


 さすが習得専門学校の講師が欲しがるだけあって、そこはとてもたくましい。アレナフィルは、

「ちょっとだけでいいんです。ね?」

と、可愛くおねだりするような表情でとんでもない要求をしてきた。

 いやいや、待て待て。どんな罰ゲームだよっ。

 知らなかった以上、双子達は悪くない。それはもう自分達も理解している。

 フェリルドとて王城など普通に出入りしているのだ。子供達が何も知らないことなど十分に理解しているだろう。

 何よりこの状況でフェリルドの所へ引っ張っていかれた日には、

「二人きりにしてもらおうか。色々と報告されるべきことが全く報告されていない理由を是非聞きたいね」

になりかねない。

 会ってしまったら終わりだ。


「い、いやいや。あのね、おじさんね、しがない用務員だから。生徒の親御(おやご)さんに何か言うとかは無理かなー。クビになっちまうよ」

「そうでしたか。すみません、無理を言いました」


 しゅんっと落ち込んでしまったその顔がまるで雨に打たれた子犬のようで、グラスフォリオンの罪悪感を半端なくぐさぐさぐさと突き刺してくる。

 暮らしているのはウェスギニー邸ではないと聞いていたが、目的地にあったのは立派な塀と門だった。二重の門が開いていたので、グラスフォリオンは移動車をウェスギニー家の敷地内へと乗りこませる。


(なんつー高い塀と門だよ。まるで閉じこめる為のものじゃねえか。いや、守る為か? 何なんだ、この家)


 ウェスギニー子爵邸とはうまくやれていないのか、別邸で暮らしているとは聞いていた。それでもどうしてこんなに高い塀が必要なのか。

 ロータリーに従って玄関前で停めれば、アレナフィルが当たり前のように移動車から降りた。


(エスコートを待たないところがやっぱり貴族令嬢らしくないんだよなぁ)


 貴族令嬢としてはアウトだが、気楽といえば気楽だ。会話のテンポも面白い。こんなことがなければ声をかけて親しくなりたかったぐらいに、グラスフォリオンはアレナフィルに興味をそそられていた。

 問題はこのまま別れたらもう接点はないことか。


「フィルお嬢ちゃまっ」


 開け放されていた玄関の扉から柔らかなピンクの髪をした初老の小太りな女性が飛び出してきて、アレナフィルをぎゅっと抱きしめる。そこには愛があった。


「旦那様からもしかしたら帰りが遅くなるかもしれないとは言われてましたけどっ、ああっ、無事でよかったっ」

「マーシャママぁ」


 涙声になった少女の声はとても頼りない。やっと気が抜けたのか、ほっとした様子でアレナフィルもひしっとその女性に抱きつく。

 グラスフォリオンの心に、罪悪感がどっと押し寄せた。


(子爵は再婚していない。そしてお嬢様呼びしている以上、使用人だ)


 たしか双子の兄妹は、家政婦によって育てられていたとあった。家政婦をママと呼んでこの子は育っていたのか。

 心配して涙を滲ませ、がくがくと震えているこの家政婦は、本気でアレナフィルを案じていたのだろう。

 自分達が、王子に対して不敬が過ぎるとか、何の演技による取り入り方だとか、そんなことを言っている一方で。


(そうだよな。母親が目の前で亡くなったんだ。その記憶をなくしても、小さな子供が母親を恋しがるのは当たり前じゃないか)


 さっきまでのグラスフォリオンとの会話が嘘のようだ。まるで(いとけな)い幼子のように、アレナフィルが一生懸命エイルマーサを慰めようとしている。


「あのね、怖くなかったよ。フィル、王子様のこと知らなかったけど、よくあることって、みんな言ってたもん。それにね、王子様とはお友達になったんだよ。あ、だけど、会った時にご挨拶するだけだけど」

「ルード坊ちゃまはともかく、フィルお嬢ちゃまは関係ないと思っていた私共が悪かったのですわっ。まさか王子様が寮にいらしたなんてっ」


 何なのコレ。

 お前らが前日いきなり王子を寮に入れると決めたからこんなことになったんだよっていう、ウェスギニー大佐の当てつけ?

 経済軍事部に入れる息子に特徴は教えておいたけれど、一般の部に通う娘には教えていなかったのは会わないと思っていたからだっていう、やり方を変えた主張?

 家政婦と子供達。高い塀と門に守られていた女の子を引きずり出した卑劣漢共がと、グラスフォリオンはまざまざと自分達のやらかしたことを見せつけられた気がした。


「えーっと、うん、だけど、もう寮で会っても知らんぷりするってお約束したし、問題ないよ。ね、マーシャママ、泣かないで。それにね、ルードには、王子様のこと言わないってことになったの」

「ですが、フィルお嬢ちゃまは子爵家のお嬢様ですのよっ。それが通じるんですかっ」


 そうだよな、子爵家の令嬢でそれは通じない。だからこそ一般の部に隔離させていたのだろう。

 ああ、もう今となっては十分に理解できてしまえる自分が切ない。

 

(ごめん。・・・もう俺は、この子を憎めない)


 いつも儚げに微笑んでいた、淡い青の瞳をした懐かしいひと。

 あのフェリルドに係わってしまったがゆえに、彼女の全ては壊された。

 だけど壊れたのはこの子も同じだったのだ。

 グラスフォリオンの心に、おぼろげな面影が浮かんでは消えていく。


「なんか、・・・私、少女の皮をかぶってるだけって言われたから。もう、期待してないと、思う」

「そう、・・・ですわね。それはもう外見はおしゃまなお嬢様ですけど、フィルお嬢ちゃまはまだまだ赤ちゃんですもの。お勉強ができても、お嬢ちゃまはまだまだ子供ですもの」


 まるで世界で一番安心できる腕の中だと言わんばかりに家政婦に抱きついているアレナフィルは、たしかに13才にしてはあまりにも子供っぽすぎる。

 いや、4才で記憶を失ったところから、この子の人生は始まったのだ。

 どこかぷんぷんといった口調で、アレナフィルは主張し始めた。


「も、おとなしくしてるからいいの。ルードは自分でお洗濯すればいいんだよ」

「そうですわね。ルード坊ちゃまも自分で頑張ってもらわないといけませんわね」


 やっと笑顔になった家政婦が、グラスフォリオンに向き直る。


「失礼しました。よろしければお茶でもいかがです? レミジェス様も、きっとご心配なさっておられたでしょう。レミジェス様はおいでになりますの?」

「あ。いいえ。私はウェスギニー家の方ではなく、学校長より、生徒さんが遅くなったから送っていくようにと言われまして・・・」

「まあ。それは失礼いたしました。そんな、わざわざ送ってくださいましたの? なんてお恥ずかしいところを。本当に申し訳ございません。そこまでしていただいただなんて、こちらが迎えに行くべきでしたのに」

「あ、いえっ、本当にっ、遅くなった生徒さんの安全に気を配るのは当然ですっ」

「ご親切にありがとうございます。どうか学校長先生にもよろしくお礼をお伝えくださいませ」


 普通の貴族の家にいる家政婦と違い、まるで母親のような人だと、グラスフォリオンは思った。

 その柔らかなピンクの髪と明るい青の瞳は、ほんの少し色調と色味を変えれば、あの心優しかった彼女と重なっていくだろう。

 優しい人だった。そして目の前にいるこの家政婦も優しい人だ。

 血が繋がっていなくても心が繋がり合っている母と子がそこにいた。

 照れ臭そうな顔で、アレナフィルがグラスフォリオンを見上げてくる。


「あの、送っていただいて、ありがとうございました」


 その頬はうっすらと耳まで赤みを帯びていた。


「いやいや。こちらも気遣(きづか)いが足りていなかった。今度から学校の事情で帰宅が遅れる生徒には(あらかじ)め保護者に連絡しておく必要があるということも留意しておくべきだな。特に女子生徒の母親は心配にもなるだろう。・・・いいお母さんじゃないか」


 ぽんぽんと頭を撫でれば、えへっと笑うところが子供っぽい。

 それはまだ心も幼いからだと思えば、当たり前のことでもあった。

 最後の誉め言葉は、らしくもなく付け足してみただけだ。元々グラスフォリオンはそんな社交辞令などまず言わないタイプだった。

 だけどアレナフィルはその言葉を聞いて嬉しそうに笑う。それだけ自分の母を大好きな気持ちが伝わってくる。そこにはどんな計算もない。

 無垢な生き物をグラスフォリオンは知った。


「世界で、一番素敵な、・・・母なんです」

「フィルお嬢ちゃま・・・!」


 ちょっと照れながら、けれども家政婦を母だと言って自慢するこの子は、実の母の記憶を全て失ったという。

 赤の他人である家政婦をママと呼ぶこの子は哀れだろう。実母の顔も愛情も全く覚えていないのだから。

 だけど他人だと知っていても、世界で一番素敵な母だと言いきるこの子はとても幸せだ。愛し愛されることを知っている。


(それはこの人がまさに我が子のように、大切に育てたからじゃないか)


 あの生意気で童顔な言語学の講師とやらに、英才教育で大人っぽい言葉遣いと言い回しをほどこされても、この子の魂はまだ幼いままなのだ。

 この高い塀と門に守られたゆりかごの中、優しい家政婦を母と慕い、愛されている。

 抱きしめてあげたかった。賢い頭脳を持っていても一般部に入れられて貴族令嬢としての未来を閉ざされ、その不幸さに気づくこともなく幸せそうに笑うこの子を。

 

「ああ、分かるよ。・・・それでは失礼します。お嬢様はたしかに送り届けました」


 感傷はいつまでも続かない。グラスフォリオンはエントランスで佇む存在に気づいてしまった。


(やばい。ウェスギニー大佐、玄関の所にいるじゃないか)


 いやいや、今の自分、用務員っていうことになっているから。用務員じゃなくて護衛だなんて王子の存在すら教えてなかった父親がここで娘に明かすわけがない。

 二人きりにならない限り大丈夫だ、ここはひとまず撤退あるのみ。


(あー、忙しい忙しい。早く帰らなくては)


 声を掛けられる前にと、グラスフォリオンはウェスギニー家から逃走した。





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