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My home

ちょっと暗めの作品です。

決して私がそうという訳では無いので安心してください。

なんか書いてみたかったので書いてみました

どこかの人は言った。

家族は本音で向き合えるもの。大事な家族には全てを出せる。

いつかの人は言った。

家族は大事にしなさい。失ってからじゃ遅いんだよ。

あのときの人は言った。

家族を裏切るやつはクズ以下だ。



どれも最終的には家族を大事にしろと言っている。

だが、それは一般的で普通で幸せな家族のことに過ぎない。

世界には家族に恵まれていない人だって何億といることを世界の大半の人が知らない。

知っていても気にしてない。気にすることがない。

他人の家族の事情なんて知る由もない。

ごく普通の生活ができている家族が…

ごく普通に喋り、笑える家族が…

どれだけ幸せかなんて、当人は知ることが出来ない。

そんな、ごく普通なことに出会えなかった人はどうすればいいのだろう。

誰も気にしてはくれないよな…



玄関で靴を履くと、足早に外へ出た。

家にはまだ家族がいたが特に会話することも無い。

言うとしても、たまたま目が合った時に、おはようと無気力に言うだけ。それ以外は何も言わない。

年中無休で、家には緊張の糸が張り巡らされている。

みんな、その糸を切らないように慎重に過ごしてる。切らないように。見ないように。

家を出た俺はスピードを変えることなく駅へ行き、4駅ほど電車に揺られる学校の最寄駅に着く頃には友だちと会い、喋りながら向かう。

この時間が極々普通で心が楽な時間。

家にいるときでは味わえない時間。

この時間がたまらなく愛おしい。

そして、学校へ着いた俺たちはいつも通りの授業を受け、放課後には部活をして、家に帰る。普段と何も変わらない日常。ここまでは幸せなんだ。ここまでは…



家の最寄り駅を出て、どこか寄り道することもなく家へ帰る。でも、その足取りは朝と比べると天と地の差ほどに重たい。

「家に帰りたくない」

その一言で頭がいっぱいになる。

重たい足をゆっくり、ゆっくりと前に進める。

一生なれることの出来ない帰り道。

どれだけゆっくり進もうとすぐに家は顔を出す。

あぁ、頑張らないと。

俺は残り少ない道をゆっくりと歩く。

玄関前に着くと、中から3つの音がした。

父親の怒鳴り声と、母さんの今にでも泣き出しそうな声と、何かがぶつかる鈍い音。

この音を聞かない日の方が少ない。

俺は大きく深呼吸して、扉を開けた。

今日も頑張ろう、もう1人の僕。

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