ダンジョンに降臨
「ここはどこだ?」
召喚魔法によって転移させられた竜は洞窟のような場所にいた。光源はないが、辺りが見渡せるくらいは明るい。遠くの方に青々と何かの植物が生い茂っているのを確認できた。
(ランダムって言ってたもんな。たぶん異世界のどっかの洞窟かな。早いとこ出れればいいけど)
「まぁとりあえずステータスを確認しようかな」
日本にいた時にすら洞窟なんて体験したことない竜は、自らの不安を意識しないように声を出していこうと考えた。
ステータスを見る方法は日本にいた時に読んだ小説からある程度思い浮かんだが、心の中でステータスと唱えるだけで竜の目の前に表示された。
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名前:竜
種族:半神
称号:半死神
魔力:30/30
スキル:鑑定(A)
耐性:孤独(B)
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「...いきなり人間じゃないじゃん」
竜の種族が半神になっている。その下の称号に半死神と書かれていることから、おそらく先ほど出会った死神に力をもらう際に何かされたのだろう。更に言えば、苗字も省略されてしまっている。
しかし、竜は数多の小説を読んでいるため知っている。異世界転移に種族とかあまり関係ないことを。外見上変化は見られないし、気にしてもどうすることもできない。ならば気にしないのが一番であると竜は結論付けた。
「スキルの鑑定ってやつは勇者召喚の副産物だろうな。よく見るやつだ」
竜はとりあえず目についた群生している植物に対し、鑑定を使ってみることにした。
鑑定も、心の中で念じれば発動することが出来た。
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[魔力草]
食べると魔力を回復することが出来る。
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他の草も同じような形をしていることから、どうやら辺り一面生い茂っている植物は全て魔力草であるらしい。
そして竜はもう一度ステータスを見返した。
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名前:竜
種族:半神
称号:半死神
魔力:25/30
スキル:鑑定(A)
耐性:孤独(B)
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「やっぱり魔力が減ってる。一回で5減るのは消費しすぎな気もするけど。鑑定がAだからかな」
スキルは基本的に魔力を使うのかもしれない。ということは竜の魔力値は一般的に低い可能性がある。
「たぶんスキルを使ったりすることで鍛えるんだろうな。まぁ攻撃系スキルを獲得してからだな」
竜はちょうど魔力草があることだし食べておこうと摘み取り、口にした。そして飲み込んだ瞬間、何かが全身を走る気がし、そのまま崩れ落ち意識を失った。
『オリジナルスキル[霊魂不滅]を覚えました。耐性[苦痛(C)][魔力暴走(C)]を覚えました』
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「あれ、どうして寝てるんだろう」
倒れてから間もなく、竜は目覚めた。何故か気分がとても良く、体も軽い。もしかしたら先ほど食べた魔力草が原因かもしれないと考え、竜はステータスを開いた。
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名前:竜
種族:半神
称号:半死神
魔力:120/120
スキル:鑑定(A)
オリジナルスキル:霊魂不滅
耐性:孤独(B)苦痛(C)魔力暴走(C)
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「...なんか色々増えてる」
なぜか魔力が4倍に、そしてスキルと耐性が増えている。竜は特にオリジナルスキルというものが気になった。
もしかしたらと思い、ステータスに鑑定を使うと念じてみると、その詳細が浮かび上がった。
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[オリジナルスキル]
特別な条件を満たした際に手に入れることが出来るスキル。
[霊魂不滅]
死んだとしても決して魂が消滅することはない。仮に死んだ場合、魂に記憶された最盛期の状態になる。また、このスキルを覚えた時点から新たに他のスキルを覚えることはない。
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「...................................おれの異世界ライフ終わったわ」
今度は竜自ら崩れ落ちた。その理由はもちろん、[霊魂不滅]の最後の分であろう。
新たに他のスキルを覚えることはない、これが意味することは竜はこれから一切攻撃スキルを覚えることが出来ないということ。つまり、どんなに頑張っても勇者としてなんて活躍できないのである。
「はっ、もしかしてこの魔力草とかいうやつを食べたから手に入ったんじゃないか?なら、もっと食べれば何か変わるかもしれない!」
そういうと竜は辺りの魔力草を手当たり次第に口へ運んだ。そして食べては気を失うを繰り返した。
しかし、
「?!痛ってぇ....」
大体10回くらい繰り返した時、竜は急に体全体に痛みを感じた。そして痛みに耐えながら気を失った。
その後、目が覚めた竜は急いでステータスを確認した。
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名前:竜
種族:半神
称号:半死神
魔力:100,000/100,000
スキル:鑑定(A)
オリジナルスキル:霊魂不滅
耐性:孤独(B)苦痛(S)魔力暴走(S)
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「魔力がえげつない勢いで上がってる...それだけじゃなく耐性もいつの間にかにSになってる」
そこで竜はある可能性に気が付いた。
「もしかしてこの魔力草を食べると、魔力値が上がるのか?その代わりに相当な痛みが伴うのかもしれない。そして、気を失ってると思ってたのは死んでたんじゃないか?だから生き返る能力が発現したのかもしれない」
実は何回も死んでいたのかもしれない。竜は背筋が凍るような気持ちを抱いた。
だがその理由は別の物であった。
竜がふと後ろに気配を感じ振り向くと、視界いっぱいに牙が見えた。
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竜が異世界召喚されてから恐らく30日ほど過ぎたダンジョン内に1人の人影があった。
その影はゆっくりと、しかし優雅に歩いていた。
そして、ある場所にたどり着き立ち止まった。
「んーやっぱりそうでしたか。研究に没頭していて全然気づかなかったですが、この魔力量はありえないですよ」
人影は更に奥へ進み、辺りを見渡した。
「私ですらそのまま食べることができない、このダンジョン産の魔力草を1人で食べ尽くすとは。何か特別な力を持ってるんですかねえ」
人影はかつて魔力草が群生していたはずの場所に山積みになっている魔物の死体の山から、少年を見つけだし、鑑定を使用した。
「なんと!半神ですか!それに面白いオリジナルスキルを持っている!魔力の数値はおかしな表記になっていますねえ。これは...」
人影は被っていたローブのフードを外した。
「いい実験材料が手に入りましたねえ」
ダンジョンの薄暗い明りは、笑う骸骨を照らしていた。
ちなみに魔力草1本につき、魔力値2倍です。生き返った際も2倍です。数値が100,000に増えたのは魔力草を束で食べていたからです。あと、説明は省きましたが、ダンジョンにはやはり魔物ですよね。