花宴
やわらかな木漏れ日を瞼に
ゆるやかに吹き行く風を肌に感じた
温みを帯びた春の空気は
凍っていた我が身に 季節が変わったことを告げてくれる
ゆっくりと
本当にゆっくりと
目を見開く
少しずつ彩られていく世界
飛び込んで来る光のファンファーレに網膜が快哉を上げ
鼻腔が花々の香りを出迎えた
目の前に広がっていたのは「花々の宴」
錦の如き極彩色に包まれた地平
私は瞬きすら忘れて立ち尽くす
ああ 本当に忘れていた
いまここは麗しき春の只中
すべての生命が芽吹き
自由を謳歌する喜びの季節
花開く希望を
夢の翼に乗せて
雲一つない蒼穹へと解き放つ時間
花よ 謳え
春を 称え
訪旬のこの喜びを
いま 鳥達を真似て
本作は、ちはやれいめい様主催「フラワーフェスティバル2020!」企画参加作品です。