ウチの学祭は少々特殊らしい
今日はウチの学校の文化祭。その名も『九祭』。
初めて聞いた時はこの学校に不信感を抱いたけど、実際は少しだけ変わっているってだけのノーマルな感じ。
一日目の今日は生徒と先生による出し物。劇とかマジック、あとはコントとかそういうヤツ。
ちなみに今は先生達による劇が行われている。
題名は『小さい子万歳』。法に触れそうなネーミングだ。
あらすじは主人公が川に飛び込んだヒロインを助け、その際にした人工呼吸がトリガーとなり、性別が逆転して元に戻る方法を探すというラブコメである。
ちなみにもう一度キスをすればいい、という考えは持ち合わせていなかったらしく、ここまでそういった話は出てきていない。
この学校の先生達はロリかショタらしいけど、半年に一人来なくなる先生がいるくらいで、授業中は割と普通だ。
授業参観の日は息が荒いけど。
そんな先生達から選ばれたメインヒロイン役の先生は私達の担任、小子好希先生。
もうすでに名前で察したと思うけど、好希先生は小さい子大好きの少し危ない先生だ。
先生は男性だけど、小さい男の子もイケるらしく、常に小さい男の子の写真をポケットに入れている。名前はケンくんだそうだ。
対する主人公は幼子好子先生、隣のクラスの担任だ。
好子先生は名前に『幼』という字と『子』という字が三つもあるように、やっぱり小さい子大好き人間なのだ。
常に持ち歩いているPCにあるファイル、ウヒョッヒョーには大量のショタ画像があるらしく、たまに自慢気に話をしてくることがある。
ちなみに女性だ。
そんな強烈な先生達の劇はクライマックス。メインヒロインの好希先生が主人公の好子先生に告白するシーンだ。
「ロリちゃん!」
あ、このロリちゃんがヒロイン名です。中身は入れ替わってるけど。
年齢は9歳、髪型はツインテール、服装は露出度高めのメイド風ワンピースとなっております。
正直に申し上げましょう、三十路の男性でソレは中々にキツいので今後は控えていただきたい所存でございます。
「どうしたのショタくん?」
はい、主人公はショタくん。中身はロリちゃん。
年齢は9歳、髪は少し長め。服装は謎の振袖が付けられた紳士服。
もう、何がなんだかわからない服なんです。
「ロリちゃん、君に伝えたいことがあるんだ」
9歳がこんなセリフを吐いたら親の教育が心配になってくるけど、あくまでコレはフィクションだからセーフ。
「伝えたいこと?」
ショタくん(ロリちゃん)、つまり好子先生は首を傾げ、顎に人差し指を置く。うん、四十路のコレはキツい。
「うん、伝えたいことがあるんだ。それはね……」
ロリちゃん(ショタくん)、好希先生は大きく息を吸う。そして吐いた。
大袈裟な深呼吸だったらしい。
「僕、ロリちゃんみたいな小さい子が好きなんだ」
同い年の子に向かって何いってやがる。しかも9歳という若さでロリに目覚めるとか、ホントにどうなってんだ親の教育……
「私みたいな小さい子……?」
「うん」
「小さい子のどこがいいの?」
「僕が一番気にしているのは胸の大きさかな。特にふくらみかけが素晴らしい」
速報、好希先生の判断基準は胸の大きさということが判明。至急、貧乳の方々は速やかに避難してください。
「それから毛のないツンツルテンな放送禁止ワード」
誰か、誰か通報を! ここに犯罪者予備軍がいます!
「まだまだあるよ。このもちもちの肌とか、あどけない笑顔とか。あ、何も考えずに抱きついてきてくれるのは称賛に値するね」
まあ、ギリギリボーダーライン。これならまだ大丈夫。すでにレッドカードを2枚ほど出してるけど。
「そうなんだ……ありがとう、私うれしい」
やめて、満面の笑みでそんなセリフ吐かないで。これ以上全国のロリを危険にさらさないで。
「実はね……私もショタくんのことが好きなんだ」
「え」
なんだよそのマジトーンの「え」は。なんでアンタが引いてんだよ。立場が逆だろ普通……
「……ちなみに僕のどこがいいと思ったの?」
「ショタなところ!」
犯罪者予備軍がここにも一人。あー、なんも言えねー。
「特にふくらみかけのおっぱいとか!」
何をいっているんだこの子は。男の子に求めるものを間違っている、というかホントにロリ娘が何言ってんだ。
別にふくらみかけのおっぱいが好きなのはいいとしてもだ、それを告白してきた男の子に言うの? 同じ女子としては信じられない核爆弾発言なんですけど……
「でもロリちゃん、僕におっーー」
「ウヘヘヘヘ、アヘッ、オヒョヒョヒョヒョ」
悲報、ロリちゃん壊れる。
「ロリちゃんって可愛い笑い方だね」
ダメだ、実は一瞬、ショタくんがマジトーンの「え」をカマした時にショタくんにも真面な人間の本質が残ってるんじゃって思ったりしたけど、こっちもやっぱり壊れてた。
「これだからロリはやめれないんだよ」
薬のように言うな変態。今すぐ精神科に受診しろ。
「あ、それからねぇ、やっぱり外せないのはツンツルテンの放送禁止ワード2」
もうやだ……なんなのこの人達……そんなに毛無しがいいの……
てか、放送禁止ワードを出すな。仮にもアンタら先生だぞ。
「あの小さな可愛らしい姿がもう、あぁ早く触りたいぃぃぃ」
これってアレだよね、つまりロリちゃんは自分がショタくんの体になってるのをいいことに触ってるってことだよね。バッチリアウトだよね。
「あぁ愛おしいエクスちゃん、帰ったらいっぱい遊ぼうねー」
名前、付けたんだ……はは……
「他にはないの?」
「他にって?」
「僕の好きなところだよ」
「むふふっふぅ、あるよ!」
むふふっふぅ。どうしよう、なんかちょっと可愛いって思っちゃった。
「へぇ、それってどーー」
「見てるだけで興奮するの!」
それ性欲ですよね? しかもショタくんを好きと言う理由にはなってませんよね? 性癖バラしてるだけですよね?
「ありがとう」
ここでまさかの感謝。もう、私ダメかもしれない。人として何か失ってしまいそうで怖い。
「僕もなんだか興奮してきた」
え。
「え♡」
なんで同じ性別なのに反応が違うの……
別に私おかしくないよね? おかしいのはアッチだよね? 私が本物の女子だよね?
「私を可愛がってくれるの?」
「そうしたいところだけど、体が入れ替わってるんじゃね……」
「大丈夫、怖いのは最初だけだよ」
そろそろ帰っていいかな。うん、帰ってもいいよね。
「あ、ロリちゃん」
「なぁにショタくん?」
「これから幼い子供だからこそなせる神の領域に達したと言っても過言ではない幼稚なキスをしないかい?」
すごい、あーもうすごいわ、この人。うん、すごいすごい。
「そうだね、うん」
「じゃあ目を閉じて。首を35度傾けて、そうそういい感じ。そして最後に決めゼリフ」
「ショタってサイコー!」
こうして奇妙な先生達による劇は幕は閉じた。
ちなみにあの二人は学祭終了後から姿を一度も見ていないが、まぁ気にしない。
今度見かけた時にはすぐに110番できるようにしておこうとは思うけど。
とりあえず今回の珍劇での被害は私の中の何かが壊れたような気がするだけで、それ以外は特に何もないから、めでたしめでたし。
「あ、あの子いいな。あとで仲良くなろっと」
めでたしめでたし。




