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目覚め

 ジャバヤとパイソンが逃亡とうぼうしたあと地球ちきゅう激変げきへんした。すでにはじまっていた巨大きょだい大陸たいりく分裂ぶんれつはさらにはげしさをし、地上ちじょうはじめた。かれらは当時温暖とうじおんだん植物しょくぶつゆたかだった南極大陸なんきょくたいりくびていた。環境かんきょう変化へんか数千年後すうせんねんごにはジャバヤがれた。以来いらい、パイソンは単独たんどくきてきた。南極大陸なんきょくたいりく分離ぶんりし、海流かいりゅう変化へんかすると一気いっき氷床ひょうしょうひろがった。南極なんきょく周囲しゅうい海流かいりゅうはげしい空気くうき対流たいりゅうにより動物どうぶつすことができない牢獄ろうごくした。そして、圧倒的あっとうてき能力のうりょくつパイソンもこおりしたもれてしまった。


 これが、冬眠とうみんだったのか事故じこなのかはわからない。食料しょくりょうもなく、脱出だっしゅつもできない環境かんきょうにおいてかれがとりえた唯一ゆいいつ生命維持方法せいめいいじほうほうだったにはちがいない。しかし、一億年いちおくねん冬眠とうみんするにはながすぎた。もし、極地きょくちこおりけるほどの温暖おんだん時代じだいても、巨大過きょだいすぎるかれからだ腐敗ふはいし、目覚めざめることはできなかったろう。ひとみだされたから蘇生そせい可能かのうになったといっていい。それがたして、かれ意思いしなのか、地球ちきゅう意思いしなのか。


 パイソンは進化しんかしたのうかんがえた。まずはびることだ。かれ人類じんるいより小型こがたになった。動物どうぶつおおきいものに脅威きょういかんじる。保護ほごけるには相手あいてよりちいさく、ている形状けいじょうのほうがいい。目覚めざめたパイソンはしばらく従順じゅうじゅん素振そぶりをすることにした。

 ひとは、かれ知力ちりょく調しらべようとした。それとともに、生命力せいめいりょくみなもとといえる現代げんだいのES細胞(さいぼう)おな未分化細胞みぶんかさいぼうと、スタップ細胞さいぼう匹敵ひってきするリセット機能きのう研究けんきゅうはじめた。だが、細胞さいぼう解析かいせきすすまなかった。それはES細胞(さいぼう)分化ぶんかにより細胞さいぼうがスタップ細胞さいぼうへと変化へんかすることにかなかったからだ。

 知力ちりょく進化しんかつづけていた。当初とうしょ赤子あかごほどのものであった。ひとは、会話かいわこころみようと言語げんごなどの知識ちしきあたえていった。かれ貪欲どんよく知識ちしき吸収きゅうしゅうした。しかし、言語能力げんごのうりょく不十分ふじゅうぶんであったためひとかれ教育きょういくをAIにまかせた。AIはかれほっする情報じょうほう次々(つぎつぎ)あたえていった。

 パイソンはひと言葉ことば効率こうりつわるいと、機械きかい言葉ことばでAIとやりりをはじめていた。結果けっか情報量じょうほうりょう爆発的ばくはつてきえ、人類じんるいのそれをあっさりとえてしまった。しかし、かれはしたたかだった。ひと自分じぶんよりすぐれた存在そんざい脅威きょういかんじるものだとまなび、その知力ちりょく大半たいはんかくしてしまっていた。

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