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回想

 部屋へやのロックがひらいた。二人ふたりはあわててすわりなおす。

「あ、邪魔じゃましちゃったかな?」

 教授きょうじゅはドアをめてこうとした。

「いえ、一人ひとり退屈たいくつだったから、はなしてただけで。」

 富羅ふらはそういうと、すわっていたベッドからがり、

「おじゃましました。」

 といってして、そのまま自分じぶん部屋へやへとはいっていった。


面白おもしろだね。」

 教授きょうじゅ部屋へやはいると、一言ひとことそういった。瑠真るまなにこたえない。

移植いしょく成功せいこうしたからといって、いつまできられるものなのかはじめてのことだからだれにもわからない。だからって特別扱とくべつあつかいするはないが、いのいようにな。」

 室内着しつないぎ着替きかえながら、教授きょうじゅつづけた。

「わかってる。」

 瑠真るまはさっきまで富羅ふらすわっていたところにそべった。彼女かのじょのいたあとが、まだほのかにあたたかい。

「もし、まれわれるんなら、あのみたいな普通ふつうのうちがいいな。きっと毎日まいにちわらったりいたりいそがしいんだろうな。」

 瑠真るまだれにもこえないように、小声こごえでつぶやくのだった。


「よう、おかえり。」

 さきかえっていた安蔵あんぞうが、部屋へやんできた富羅ふらあかるくさけんだ。かおあかい。ってやがる。めないくせに人前ひとまえでは調子ちょうしるから。

とうさんはみたくてんでるんじゃないぞ。いだ。ノミニケーションってやつだ。」

「お酒臭さけくさいからはなれて。」

 富羅ふら安蔵あんぞう反対はんたいのベッドにしやる。


 安蔵あんぞうこわかった。しかし、それをむすめさとられるのはもっとこわかった。任務にんむとはいえ、むすめんでしまったこと。自分じぶんではなにもできず、むすめたよるしかないこと。万一まんいちことがあったら、つまなにといったらいいのだろう。安蔵あんぞうおとこしかった。でも、このまれるときには、どっちでもいいから元気げんきまれてくれさえすればとねがった。おんないてもショックはなかった。チアノーゼによる保育器越ほいくきごしの対面たいめんだったがちいさなあかいしわだらけのかおがとてもかがやいてえた。

きろ。一生懸命生いっしょうけんめいいきて、おおきくなるんだぞ。」

 保育器越ほいくきごしにこえるようにと大声おおごえさけんで、看護師かんごししかられた。へそのちょくびきついていたため緊急きんきゅう帝王切開ていおうせっかいでの出産しゅっさんだった。たまたま、安蔵あんぞうやすみで、かれ手術しゅじゅつ間中あいだじゅう部屋へやそと廊下ろうかいのりながらっていた。

「あれが、もう高校生こうこうせいだもんな。」

 安蔵あんぞうからこぼれるものを、むすめさとられないようにかべのほうをいてよこになっていた。

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