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変身

 スケートがりに、夏美なつみ富羅ふら手招てまねきした。トイレのかがみまえで、さほどながくも富羅ふらかみうしろでたばくしれる。前髪まえがみをピンめして、大胆だいたんにおでこをす。くちびるにグロスをり、アイラインをれる。うすくファンデをばしたあと、ブラシでチークとあごかげつけた。


「ジャーン!」

 夏美なつみ通路つうろつとむまえ富羅ふらした。

「ん?富羅ふら?いやあ、見違みちがえた。」

土台どだいがいいんだからさ。手抜てぬ工事こうじめなよ。」

 夏美なつみとおりかもれないが、べつ使つか相手あいてもいないし。自分じぶんだって、彼氏かれしいないくせに。もっとも、運動神経抜群うんどうしんけいばつぐん夏美なつみ場合ばあいは、男子だんし人気にんきはあった。が、馬鹿ばかおとこどもが得意とくい種目しゅもくいどんでことごとく玉砕ぎょくさいしていく。とにかく、余計よけいなことをしてないで、自分じぶんこそつとむとはっきりさせなよ。つとむおんなうというより、夏美なつみのことをていられればしあわせだったようだけど、高校生こうこうせいになって学校がっこうべつ滅多めったえないんだから、なんとかけじめをつければいいのに。夏美なつみはむかしから苦手にがて勉強べんきょう優秀ゆうしゅうなやつをうらやましがってな。

 そこへ、弥子やこがやってきた。

「かわいい。」

 彼女かのじょ富羅ふらて、ぼそりとらした。一層睨いっそうにらみがきつくなった。


大作先生だいさくせんせいも、もういないんだね。」

 4ひと夏休なつやすみの中学校ちゅうがっこうってから、診療所しんりょうじょかった。

「あら、めずらしい。富羅ふらちゃんが、おめかししてるなんて。そちらが、お友達ともだち?さ、あがって。今日きょうはめずらしく患者かんじゃさんもいないから。」

 先生せんせいはスリッパをべてっていた。おく部屋へやくと、おちゃとお菓子かしてきた。

「このあたり、おみせいから、手作てづくりでもうやくないんだけど。」

 アップルパイだ。あまみはすくないが、上品じょうひんあじで、おみせあじとそんいろない。


 先生せんせい瑠真るまがアルビノのこと移植手術いしょくしゅじゅつ一命いちめいめたこと世界中せかいじゅうおおくの原発げんぱつがテロで占拠せんきょされたことなどをはなした。

大変たいへんだったんですね。」

 弥子やこがすかざず、点数稼てんすうかせぎにる。弥子やこは、ずっとキョロキョロしてかない。どうせ瑠真るまがいないかにしてるんだろう。

「あの今日きょうつかれたみたいでいえてるのよ。」

 弥子やこはがっかりした。

「お見舞みまいにいっていいですか?」

 彼女かのじょにしては随分ずいぶん積極的せっきょくてきだ。

「ええ、きっとよろこぶわ。」

 4ひとかえりがてら、瑠真るまいえった。瑠真るまきてっている動物達どうぶつたち世話せわをしていた。

「いらっしゃい。」

「ギャー!」

 出迎でむかえたかれうでにはいつものようにカメレオンがっている。それをた、弥子やこ村中むらじゅうひびくかというほどのさけこえをあげた。

「ト、ト、ト、トトトトトト、トカゲ。」

 弥子やこだいのトカゲきらいだった。ヤモリ、イモリ、カナヘビやサンショウウオといったたぐいがとにかくきらいだった。結局けっきょく夏美なつみ瑠真るま色々話(いろいろはな)しかけるのだが、がつくと瑠真るまつとむのそばにいる。今日きょうなんだか、富羅ふらのこともけているようだった。4ひと瑠真るまやすまらないだろうと早々(そうそう)げた。弥子やこ相当そうとうショックをけたらしく、まったくくちひらかない。みちすがらつとむ富羅ふらにそっと耳打みみうちをした。

瑠真るまは、化粧けしょうにおいがきらいなんだって。」

 つとむとしては夏美なつみられたくないし、弥子やこなにかと面倒めんどうなやつだ。富羅ふら瑠真るまとくっついてくれれば、夏美なつみ勘違かんちがいも払拭ふっしょくできるかもしれない。


 翌日よくじつは、みな家族かぞくごすことになった。富羅ふら自宅じたくでのんびりしていると、安蔵やすぞうかえってきて、

富羅ふらいそいでかける用意よういをしてくれ。一週間いちしゅうかん説明せつめい途中とちゅうでする。」

 着替きがえと洗面道具せんめんどうぐなど一式いっしきおおきなバッグにつめこむと、ちちくるまあわててった。

「メキシコにく。おまえのパスポートは用意よういした。」

 ちち空港くうこうではなく、自衛隊じえいたい基地きちはいっていった。そこから特別機とくべつきでメキシコへんだ。

「お前達まえたちにもなが間隠あいだかくしてきたが、おれ自衛隊員じえいたいいんだ。特殊任務とくしゅにんむで、身分みぶんさきかせない。ただ、いまはおまえちから必要ひつようなんだ。」

 ちち富羅ふらたのみごとなんていままでにかったことだ。ただ、シナプスにかかわるけんだろうとは薄々感(うすうすかん)じていた。

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