表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/65

出張

「あら、ありがとう。そのままでいいわよ。おくっていってあげたいけど、さっきの患者かんじゃさんがまだ病院びょういん到着とうちゃくしていないからはなれられないの。をつけてね。」

 中学校ちゅうがっこうまえまでると、瑠真るまむかえにていた。

かあさんが、心配しんぱいだからってあげなさいって。うちには電話でんわがないから近所きんじょひとしてもらった。」

 今時いまどきしって、戦後せんごか?

「あ、ありがとう。」

 富羅ふらあかくなったかおられないように、うつむいてこたえた。


 もし、同級生どうきゅうせいだったらこいをしていたかもしれない。でも、色々(いろいろ)はなしかされたので気持きもちは複雑ふくざつだ。遺伝子治療いでんしちりょうってどういうものなんだろう。瑠真るまいまでも人間にんげんなのか?同情どうじょうしてはいけないおもいつつも、かわいそうという言葉ことばあたまなかいてくる。

 最近さいきん性同一性障害者せいどういつせいしょうがいしゃめずらしくなくなった。でも、べつ生物せいぶつからの移植いしょくってDNAの同一性障害どういつせいしょうがいってあるのかな?


 富羅ふらちち長期ちょうき海外出張かいがいしゅっちょうことになった。リュックに寝袋ねぶくろなどキャンプ用品ようひんめている。

「キャンプなの?」

「ん?まあな。現地げんち下見したみ。」

 いつもの、ちちにしては歯切はぎれがわるい。富羅ふらは、ちち旅立たびだったあとちち部屋へやが、いつもとちがってきれいなことにがついた。

「なんだか、ものがすくない。」

 とり、あとをにごさず。ふと彼女かのじょあたまにこの言葉ことばがよぎる。

とうさん、いつもとちがってなかった?」

むかしから、たまにおもったように片付かたづけるのよ。いつもこうだとたすかるんだけど。」

 鈍感どんかんははいても無駄むだだった。


 先日せんじつのこともあり、診療所しんりょうじょ貧血ひんけつ検査けんさをしてもらうことにした。普通ふつうなら、専門せんもんのところに検体けんたいおくらなければならないので、数日すうじつかかるところだが、瑠真るまのためなのか、なんだか設備せつび充実じゅうじつしている。

田舎いなか診療所しんりょうじょになんてもったいないひとだよ。」

 村人むらびと評判ひょうばんはいい。たしかに、常駐じょうちゅう医者いしゃのいる診療所しんりょうじょはめずらしい。ただ、むかしからここは原発げんぱつのおかげで裕福ゆうふくだったから、平日へいじつはレントゲンもとれるし、看護かんごスタッフもいた。

時間外じかんがいでも休日きゅうじつでも、対応たいおうしてくれるのがありがたいよ。」

 むかしは、子供こども急病きゅうびょうなど街医者まちいしゃでも時間外じかんがいにもてくれたらしい。でも、まち夜間診療所やかんしんりょうじょができたり、休日当番医きゅうじつとうばんい制度せいどができてからというもの、てもらえなくなったという。

技術ぎじゅつ進歩しんぽしても、人情にんじょうすたれていく。」


 富羅ふらは、待合室まちあいしつまどからまつ根元ねもとながめた。今日きょうは、きれいに周囲しゅういんでいる。

大作先生だいさくせんせいうでげた?」

 彼女かのじょは、女医じょいである瑠真るまはは小声こごえたずねた。

海外かいがい派遣はけんされるので、べつひとわったようね。」

 あれ?なんだかたようなはなしがあったな。

「うちのちち海外出張かいがいしゅっちょう今朝出けさでかけた。」

 特殊とくしゅ業務ぎょうむだ。さき家族かぞくにもおしえない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ