聞こえる
「早く元気になってね。」
富羅は、シナプスにやさしく声をかけた。挨拶や音楽をかけたりすると、植物の生育に良い影響があるといわれている。
「ありがとう。」
まただ。
「誰かいるの?」
富羅はちょっと気味悪くなった。
「どうかしたのかい?」
辺りをきょろきょろしている彼女を見つけて、瑠真が声をかけてきた。
「ほかの人の声が聞こえる。」
彼女はちょっとおびえていた。
「君も動物の声が聞こえるのかい?」
瑠真の言葉の意味がすぐには理解できなかった。動物の声?ああ、こいつはカメレオンと話ができるって思っているようなやつだった。
「動物じゃなく、植物?」
もしかして、この植物人間が話している?
「あなたなの?」
富羅は恐る恐る、その植物に尋ねてみた。
「そうだよ。」
言葉が彼女の頭の中に響いた。
「植物がしゃべった!」
富羅の叫び声に
「何も聞こえないよ。」
瑠真は富羅を不思議そうに見つめている。
植物の気持ちを感じ取れる富羅だから聞き取れるのかもしれない。そのシナプスは簡単な会話ならできるようだ。シナプスの感情を富羅の脳が言葉として理解しているのだろうか。動物とイメージで会話ができる女性がいるという。植物とも会話ができるものなのかもしれない。富羅の先祖は山で暮らすキコリ集団、マタギだったらしい。彼らは木々の気持ちが理解できたと伝えられていた。




