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ボルシチ  作者: tdo
8/9

再会

ぐぅぅ


夫との再会を無事果たした彼女は安心したのかお腹をぐぅと一度鳴らすと恥ずかしそうに下えお向いた



『お腹減ってんだろ』

彼女はうつむき加減のまま更にこくりと頷くような仕草でそれを認めた



夫に会えたうれしさよりも今は恥ずかしさが先に立ってしまい

逃げ去るように居間へ向かった



幸いテーブルの上には昨日近くの量販店で購入したソイジョイ自然薯味と、

ハッピーターンしそおろしにんにくが未開封のまま置いてあったので

彼女は無造作にそれらを開封し

自分は空腹だけど大丈夫!

ということをまずアピールしようとした


ところが夫が次にとった行動は実に意外なもので、

ソイジョイとハッピーターンを彼女から取り上げこう告げた



そんなものは必要ないさ

君と仲直りしたくて

君に食べさせたくて

地球上から核兵器と戦争を無くしたくて

この料理を君に捧げるよ

実は昨晩遅くからずっとコトコト煮込んでいた料理がたった今完成したところだよ


「・・・あなた、昨日の夜はあたしとずっとリビングで言い合いしてたでしょ・・」


『ふふふ、まあそれくらいの意気込みでぐつぐつ煮込んだっていうことだよ』


『寒い廊下での任務、たいそうカラダの方も冷え切っているだろうに』


『ささ、くだらん能書きはいいからどうぞ召し上がれ』


『昨晩から冷え切っていたボクラの関係もあったまると思うんだ』


うれしかった


ただ ただその気持ちがうれしかった


夫はめったに料理の腕などふるわない


また、決して女性には手をあげない


曲がったことは認めない


融通が利かない


自分の趣味に没頭しているときは、彼女のコトバに耳を傾けない


この年になっても筋トレをやめない


シイタケを食べられるくせに彼女がツッコまないと自分からは食べない


うれしいがひとつに

称賛がふたつ

個人的な不満がよっつ


プラス域がみっつに マイナス域がよっつと

マイナスが少しリード?

かと思われたが、実にうれしい気持ちが強すぎて

結局は大幅なプラス域に落ち着いた



とにもかくにも彼女はその気持ちがうれしかった










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