暫しの別れ
冒険者ギルドを出た3人は食料などの買出しを済ませ村の入り口に向かっていた。
「これであらかた準備は済んだな。」
「…そうね、後は馬を受け取るだけね。」
「アイリスらしく無いテンションだな。
…もしかして俺と別れるのが寂しいのか?」
図星だったらしくアイリスは叫んだ。
「そうよ‼︎ 寂しいわよ‼︎ ハクア以外に出来た初めての友達なのよ⁉︎…カイトは寂しく無いの?」
「そんなわけ無いだろ? 俺だって初めて出来た友達だし寂しいさ、アイリスやハクアと一緒に訓練したり遊んだりしたい。」
事実カイトの家の近くには同年代の子供はいなかった為カイトは孤児院にいた前世はともかく今世では友達のいないぼっちな子供時代を過ごしている。
「でも、カイト全然寂しそうじゃないし…友達になったばかりの私達のことなんてすぐ忘れちゃうんじゃないかって思ったら、なんか悲しくて…」
「お嬢様…… 」
カイトは悲しそうな2人を見て盛大にため息をついた。
「はぁ〜〜〜。 2人共そんな悲しそうな顔するなよ、俺がいつもどうりなのは決断してるからだ、魔法を習得し終わったら必ず会いに行くってな。
…むしろ楽しみだな、俺が会いに行く時にはお前達がどれだけ成長しているのだろうと想像すると、な。」
「カイト…」
「カイト様…」
「それに折角冒険者になったんだからお前達とチームを組んでみたいしな。友達とやりたい事は山ほどあるさ。
…それとも離れたら友達じゃないのか?」
カイトは前世を含めたら二十数年生きているがアイリスとハクアの2人を友達だと思う。孤児院で育ったカイトは友達は年齢では無いと、そう思っているのだ。
今度はカイトが悲しそうな顔をしたのでアイリスは首を振って否定した。
「そんなわけないじゃ無い‼︎ 離れたってカイトは友達よ‼︎」
それなら、とカイトは言った。
「なら笑顔だ、笑顔で別れて笑顔で再開するのが1番良いだろ?」
「そうね、確かにそれが1番ね‼︎ 」
「私もそれが1番だと思います。
…ただ手紙位は交換したいですね。」
そう言って3人は笑い合った。
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そうして3人は村の入り口までやって来た。
「それじゃあ少しの間お別れだな。」
「そうですね。手紙書きますね。」
「あんまり待たせないでよ?遅いと私達がカイトの家まで行っちゃうからね‼︎ 」
「ハクア、手紙はライラの街の冒険者ギルドに送れば良いんだったな?
アイリス、成人する前に俺が行って泣くなよ?」
ハクアは笑って、
「はい。ライラの街はエルフの里のすぐ近くなんで大丈夫です。先ずは里に着いたら手紙出しますね。」
アイリスはやっぱり最後まで怒って、
「泣かないわよ‼︎‼︎ 絶対すぐに成人してやるんだからね‼︎ 」
「それじゃあ本当にお別れだ、2人共気を付けて帰れよ?再開…楽しみにしてる。」
「はい、カイト様…本当にお世話になりました、また会いましょう‼︎ 」
「私も楽しみにしてるわ‼︎ カイト助かったわありがとう‼︎ 」
3人共 最後には笑顔であった。
こうして2人を見送ったカイトもリサの待つ家に帰る為2人とは反対方向に向かって歩いていく。
「アイリス、ハクア ……この世界で初めての友達か、2人に会う為にももっと頑張って修行するかな。」
カイトはそう呟き帰路についた。