冒険者ギルド4
ポーラが取り出したステータスオーブはカイト達が持っている物より一回り大きな物だった。
「ステータスオーブですか? 僕の持っている物と若干違いますね。」
「はい、名称はアドバンスオーブといって、能力的には簡易版ステータスオーブと言うべき物でステータスオーブを改良して各能力値だけを調べる事ができます。
まぁ、これだけ聞くと改良では無く劣化みたいですが、このオーブの特徴は魔力を登録しなくても流すだけで使える様に作られていて軍隊や各種ギルドなどで重宝されていますよ。」
なるほど、確かに冒険者登録する度にステータスオーブを使っていたらギルドは大赤字だな…とカイトはアドバンスオーブの利便性を納得した。
「使い捨てでは無い分、国やギルドにはかなり価値のある物みたいですね。
それで?僕達はこのオーブに魔力を流して能力を確認して貰う訳ですね。」
するとアイリスが疑問を口にした。
「質問なんだけど、もし魔力を操作出来ない人が冒険者登録に来たらどうするの?オーブに魔力を流せないから冒険者にはなれないの?」
「いえ、その場合はギルドが冒険者支援でやっている講習に参加して魔力操作を学んで貰います。ですが魔力操作は冒険者になる最低ラインなのでそういった方は稀ですよ、ちなみに冒険者でしたら格安の値段でやっている冒険者支援ですが一般の方が利用するとかなりの高額になりますから皆さん魔力操作を覚えてから冒険者登録に来ますね。」
「冒険者ギルドも慈善事業では無いって事ね‼︎」
一般の人にまで格安で支援していたらギルドはあっという間に潰れてしまうとカイトもハクアもその冒険者支援に納得した。
「では、3人のステータスを登録して冒険者登録は終了になります。 あ、それとステータス登録は1年に1度行いますので覚えておいて下さい。」
3人は頷き順番にオーブに魔力を流しステータス登録をした。
その際3人の能力値を見たポーラが一瞬固まったが、流石に慣れたのか叫ぶことなく「…ニャハハ、この子達ならこの能力値でもおかしくないですね。」と普通に登録していた。(目は死んでいたが…)
「それでは、これですべての登録が終了しましたので冒険者登録を終了します。」
ポーラはそう言って3人に1枚ずつカードを渡した。
「これは?」
「これは冒険者の証でライセンスカードです。このカード自体に『記録』の概念魔法がかかっているので登録した内容や依頼の情報などが、記録されているので無くさない様にして下さい。もし無くされますと再発行に金貨1枚かかりますので覚えておいて下さい。」
カードには冒険者ギルドの紋章に名前と種族と年齢が記されており中央に白い結晶が埋め込まれている。
「わかりました。無くさない様にしますよ。 …ハクア、アイリスが無くさない様に注意してくれよ。」
「はい、お任せください。」
カイトとハクアのやり取りを見たアイリスは、
「何で私だけなのよっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
と顔を真っ赤にして憤慨していた。
そんなカイト達を面白そうに見ていたポーラがカイト達の掛け合いが終わると口を開いた。
「3人共これで冒険者になりました。最初にも言いましたが冒険者は危険な職業です。3人共、自分の能力を過信せず危機意識を持って行動する様に心がけて下さい。
…それと、私個人はカイト君達にとっても期待してます‼︎まだ子供だけど将来凄い冒険者になるって確信しているもの、だから…頑張って下さい。」
「はい、頑張ります‼︎」 とハクア
「任せて‼︎私はエルフ史上最高の冒険者になるわ‼︎」 とアイリス
「僕は…そうですね、先ずは母さんを目標に頑張ってみますよ。」 とカイト
3人はこうして冒険者としての一歩を踏み出した。
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「では、ポーラさん最初の目的に戻りますけど冒険者支援として馬を貸して貰えるって本当ですか?」
カイトが聞くとポーラは馬の、貸し出しについて説明を始めた。