冒険者ギルド3
カイトは母親が史上2人しかいない吸血鬼族の冒険者だったと聞いて驚いた。でも、もしかしたら同じ名前の別の吸血鬼かもしれないので一応ポーラに聞いてみた。
「あの、2人目のリサという冒険者って僕と同じ黒髪 赤眼の全属性魔法の使い手だったりします?」
「はい、カイト君の言う通りの特徴だったと冒険者ギルドの記録には残っていますけど、何で知ってるんですか?…もしかして知り合いだったりしますか?」
…やっぱり母さんか〜。
「知り合いっていうか…僕の母親だったりしちゃいます…」
「……ニャんですと⁉︎ 伝説的な『魔法戦姫』がカイト君の母親⁉︎⁉︎」
ポーラは今日1日で何度驚いただろうか?だが、驚かずにはいられなかった。
アイリスとハクアも、
「さすがカイトの母親ね、ぶっ飛んでるわね‼︎」
「…蛙の子は蛙ということですね。」
と言って驚き呆れられた。(若干カイトがディスられた気がするが)
「えーと、はい。正真正銘の生みの親ですが僕も母が冒険者をやっていた事は知らなかったですね。良けれは詳しく教えてくれますか?」
「カイト君は『魔法戦姫』の息子さんだなんて後で支部長に報告するのが怖いですよ…。 ですが分かりました。それで『魔法戦姫』の何が聞きたいですか?」
「まず、その『魔法戦姫』って何ですか?」
カイトは前世のアニメで聞いた様な若干 中二病的な呼ばれ方について聞いてみた。
「そうですね〜、記録によると冒険者リサ…カイト君のお母さんはカイト君が言った様に全属性魔法の使い手で超一流の魔法使いだったみたいですね。そして様々な活躍を経て僅か6年でSS級冒険者になったんですが、その3年目に戦争が起きたんです。
戦争が起きたのはヒノモト大陸でして…今は大陸統一してヒノモト皇国が治めていますが当時はヒノモト皇国とエド王国が勢力を2分していて、その年は両国とも不作だった為か些細な小競り合いから戦争になりました。そのため冒険者ギルドも連盟国であるヒノモト皇国の要請を受けて戦争参加の依頼を出したんですが、その戦争参加の依頼に参加したのが当時A級冒険者だったリサさんです。
リサさんは強力な魔法でエド王国の兵士達をちぎっては投げちぎっては投げの大活躍でエド王国側には 戦鬼 と恐れられヒノモト皇国側にはその美貌と多彩な魔法から 魔法姫 と呼ばれていたのでその2つが合わさって『魔法戦姫』と呼ばれる様になったみたいですね。」
…ガチの戦争で無双した訳か…母さんの過去は壮絶すぎて腹いっぱいだわ、とりあえず帰ったら直接聞こう。
「なるほど、自分の母親ながら凄まじいですね。 … 他も多分同じ様な感じな気がするのでもうこの話しはやめましょう。」
「そうですね。他の活躍も似た様な感じです。それでは話しを戻しまして…3人共 書類の記入を確認しましたので冒険者について説明させていただきます。」
カイト達は頷いた。
「まず冒険者とは様々な所から冒険者ギルドが請け負った依頼を冒険者ギルドに代わり請け負う代行業です。
そして冒険者ギルドは魔界以外の大陸全てにあり、その全ての冒険者ギルドで依頼を受けられます。
依頼には討伐依頼、採取依頼、通常依頼、指名依頼、緊急依頼があります。
討伐依頼は魔物や盗賊などの犯罪者の討伐をしていただきます。採取依頼は薬草や鉱石などの素材の採取をしていただきます。討伐依頼と採取依頼は常に国から出ていて受けられるランクも決まっていて報酬も固定なのが特徴です。続いて通常依頼ですが、こちらは商会や個人が依頼した内容をこなしていただく依頼で報酬も様々ですしランク指定が無い限り誰でも受けられます。指名依頼についてはその名の通り個人やチーム指定の依頼で通常依頼より報酬が良くランクも関係ありません。緊急依頼はギルドから出る依頼で魔物の氾濫や戦争など特別な事が無い限りは出ないです。ちなみに指名依頼と緊急依頼については理由次第で拒否出来るので覚えておいて下さい。
続いて冒険者のランクについてですが、ランクはE〜SSSまであり自分のランクの1つ上と1つ下のランクの依頼を受けられます。Sまでは自分のランクの依頼なら10回成功、1つ上のランクの依頼なら5回成功でランクアップです、1つ下の依頼は受けられますがランクアップはしませんのでこちらも覚えておいて下さい。また、同じランクの依頼を3回連続で失敗するとランクダウンするのでこちらも覚えておいて下さい。
…以上で冒険者についての説明を終わりますが何か質問等はありますか?」
すると3人から質問があがった。
アイリスからは
「SS級以上になるにはどうすればいいの?」
「SS級以上は特別な功績を残すか支部長以上出席する会議で3名以上の推薦かギルドマスターの推薦があり過半数の承認を得る事でなれます。」
ハクアからは
「どんな理由なら指名依頼や緊急依頼を断れるのですか?」
「怪我や病気、別の依頼を受けている、子供が産まれる、依頼の内容が許容出来ない、などが前例であります。他に理由がある場合はその都度ギルドが判断して決める事になりますね。」
カイトからは
「個人やチームと言ってましたけど、チームとは何ですか?」
「依頼の内容によっては個人で出来ない内容もあるのでその場合チームを組んで依頼を受けて貰います。チームには個人が集まっただけの即席のチームと仲間同士で集まり常に一緒に行動するクランと呼ばれるチームがあり、どちらも全員のランクの平均がチームのランクになりますね。詳しく事はチームを組む際に再度説明しますよ。」
ポーラは全員の質問に流暢に答えた、新人でたまに猫語が出るがマニュアルを全部覚えているとは以外にも優秀な受付嬢である。
「他に質問等が無ければステータスを登録してギルド証を作りたいと思います。」
ポーラはそう言ってステータスオーブを取り出した。