少年少女の戯れ
少年少女の戯れ
1
自殺。
はじめはそう考えた。
「しかし」
学校の屋上から僕は飛び降りなかった。
何故なら。
「自殺する勇気が変換したからである」
2
屋上に立つ青年を廊下の窓越しから私の眼球が捉えた。
授業中から抜け出して保健室に向かう途中であった。
「自殺」
はじめはそう思った。
けれど。
彼はポケットから紙を取り出しそのまま空中へ放り投げた。
ヒラヒラと屋上から落ちる紙。
彼は落ちる紙の反対方向へ去っていた。
3
俺は授業中の真っ最中であった。
世の中が退屈であった。
しかし、退屈の世の中以上にこのクラスは退屈であった。
「だから」
不意に窓際席から窓を見た。
すると。
小さいメモ用紙が花吹雪のようにヒラヒラ大空から降ってきた。
4
ワタシはトイレの個室で涙を流した。
流れ落ちる涙。
「虐め」
ワタシは虐められている。あの子のように全員には虐められたはいないけれど、でも私が在籍する二年二組の女子達はいじめる。
暴力はないけれど、陰口、がひどい。
悔しい。
いくら、ワタシが可愛いからって・・・・ワタシはぶりっ子じゃない。
「悔しい、悔しい悔しい悔しい」
ワタシ小声で叫んだ。
けど。
誰かが廊下を駆け抜けて大声叫んだ。
5
私は保健室を辞退して彼が落としたメモ用紙を手にして。
読もうとした時。
三階から途轍もない絶叫があった。
6
振ってきた紙が地面に付いた瞬間俺は窓から目を逸らして廊下側のほうへ向けた。
「聞き覚えがある声だった」
7
「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
僕は二年二組の教室ドアを開けた。
すると。
二年二組は絶叫した。
8
ワタシは目を拭いて二年二組の中へ入った。
そして。
彼はハサミを振りかざそうと後ろにやった瞬間。
「ワタシの頭部に突き突き刺さった」
9
僕は驚いた。
何故なら後ろからうめき声が聞こえたからである。
「あーあ」
けれど。
僕は振り向かなかった。
何故なら。
もう僕の自殺する勇気は殺人という勇気に変わっていたからである。
なので。
現在刺さっているハサミを引き抜いて。
「窓際席に座っている彼に向けた」
10
俺は叫んだ。
無論、二年二組は叫んだ。
けれど倒れた彼女は叫ばなかった。
11
私は絶叫し終わった三階廊下に目を逸らしてメモ用紙に書かれている文字を朗読した。
「原因は虐めです。なので、虐めた奴を捕まえてください。じゃ、僕死にます」
私は読み終わった。
瞬間。
再び、絶叫が三階から飛んだ。
12
「・・・はッは」
死ね。
僕は言った。
13
俺の眼球から入ってくるハサミは眼球の神経を突き破り、そして脳内まで達した。
「即死だった」
14
僕は学校中の生徒達を殺した。
「はッは」
殺して。
殺して。
殺しまくって。
んで。
最後は自分を殺した。
15
一ヵ月後。
私は姉の死に受け止められず。
自殺した。