表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

MEMORYS

願い華

 私の好きな人は、とても人気のある人です。


 その人との出会いは、本当に偶然。でも私は運命だって信じてる。だってあの人と同じ高校に通う為に、人生で一番って言えるくらい勉強したから。

 入学すれば、学年が異なっても校内で逢えるかもしれない。

 今はまだ、遠くから見ているだけで充分。

 多くは望まない。ただ同じ空気を吸えたら、それだけで。



 そう思っていたんだけど。



 入学して判ったのは、先輩を好きな人は沢山いるという事と、先輩が告白を全部断っているという事。

 先輩はすごく優しくて素敵な人だから、皆が好きになっても不思議じゃない。誰の告白も受けないのも正直嬉しい。

 だけど……


「先輩……先輩の好きな人って……誰なんですか……?」


 先輩の断り文句が“好きな人がいる”に変わったと耳にしてから、それが私だったらどんなにいいかと思う様になってしまった。

 けれどそれは淡い、叶わない願い。なぜなら、初めて会ったあの日……ホームで転んだ私に手を差し伸べてくれたあの日以来、言葉を交わしたのはたった一度だけだから。それだって、校内で見掛けてあの時のお礼をもう一度言っただけ。

 だから顔見知りになるかも判らない私のわけがない。

 私もきっと、周りのその他大勢の中の一人だろう。

 そう思って吐いた切ない溜め息と共に出たのは。


「ねえ先輩。“私達”じゃなく“私”を選んで下さい……」



 この上なく切ない願いだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ