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とある学院の人々  作者: 水無月 重荷
序章 『ロア』たち
9/13

閑話 ティアとアーク

ネタ回

一人称で書くのを少しやってみました

ネタのほうが得意かもしれない。

様子を見にアークの部屋の前まで来た。

「や・・・・・・バカ・・・ざけ・・・・・・っ!」

賑やかな騒ぎ声が漏れてきている。

相変わらずティアがアークをからかいに来ているのだろう。

本当に二人は仲がいい。


「こんばんは、調子はどうかな?」

軽い調子でアークの部屋に入る。「あ・・・っ、先生、えっと・・・大丈夫です。」「先生、こんばんは。私もまだまったく問題ないですよー。」

やっぱりというか、まあ、ティアもいた。

アークのかなりあわてた様子とティアのとても楽しそうな表情を見る限り、まあ、お楽しみの最中だったのだろう。ティアの。

この二人は本当に仲がいいというか、アークがかわいそうというか・・・。


「ん、それは良かった。

でも一応『補給』しておこうか、明日のこともあるしね。」

と、本題を持ち出した。


__________


数十分前


俺は読書が好きだ。

明らかに肉体労働派だろ、とか、お前に知的なのは似合わない、とか良く言われるが、実際好きなんだからしょうがない。

まあ、言ってくるのは主にロアだが。


今日も自由時間になり、部屋に戻って一人でベットに横になりながら、読みかけの小説を読んでいた。

ちなみにどうでもいいことだが、俺は冷え症だ。

秋も半ばになり、冬が近づいてきているこの時期は、布団の中に入れておかないと足先が自分でも驚くくらい冷たくなる。

まあ、本を読んでいる所為で布団の中に入れられない手先はもう既に少し動かしづらいくらいに冷え切っているけれど。


さて、俺がこういう風にまったりと過ごしているとき、毎度それを邪魔しに来るヤツがいる。

今日はまだ来ていないが、どうせスグ来るだろう。


「やっほーい、遊びに来たよー。」


ほら、来やがった・・・、ティアだ。

こいつと俺はそこそこ境遇も似ているし、この学院の初期のメンバーの仲間だし、まあ、仲がいい。

俺には迷惑なことだ。


「ああ、ティア・・・。」

俺は渋々本から目を離し、ティアの方を向く。

「うわ、すっごく嫌そうな顔。

まあ、いいけど。

相変わらず本読んでるのかー、何読んでるの?」

鬱陶しい。

人がまったりしてるんだから邪魔するなと言いたい。

怖くて言えないが。


「推理小説。」

「へー、どうでもいいけど。」

なら訊くなと言いたい。

怖くて言えないが。

こいつは不機嫌になるととんでもないことをしでかすから、無難に立ち振る舞わなければいけない。


「寒くなってきたよねー。」

「ああ、そうだな。」

ティアに返事をしながら、本を置いて起き上がる。


「うわ、つめた!

すっごく冷たくなってるねー。」

「おま、何すんだよ?!」

急に手を握ってきやがった!まあ、いっつも通りだが・・・。

手を握られるとか、ちょっとドキッとするだろ、男として。


「ちょ、離せよおい・・・。」

ティアの手を振り解こうとするが、離してくれない。

まあ、本気で振りほどこうとはしていないんだが。

まあ、ちょっとうれし・・・いや、なんでもない。

「あっためてあげてるんだよー、遠慮しなくていいから。」

遠慮させろ!と言いたい。

言わないが。

正直、ティアは顔も可愛い方だと思うし、こういうことをされると・・・。

って何考えてるんだ俺は。

恥ずかしくなって目をそらす。


「あれ、恥ずかしがってるのー?」

とても楽しそうな表情でティアが訊いてくる。

そうに決まってんだろ!と言いたい。

言わないが。

「いや、そ、ちが・・・。」

自分でもびっくりするくらいキョドっている。

からかわれているのはわかっているが、どうしても反応してしまう。

まあ、だからからかわれるんだろうが・・・・。


「んー、なんか私の手まで冷たくなってきたなー・・・。」

「じゃあ離せよ・・・。」

「えい。」

急に俺の手を引っ張ってきた。

そして・・・。

「な、ちょ、やめ、バカか?!」

「え?ここの方が太い血管通ってるんだよー?

あっためるのにちょうどいいじゃん。」

急に脇に俺の手をはさんできやがった!

いや、確かにそうだが、お前、胸あたって・・・。

絶対わざとだとわかってるけど、やっぱり反応しちゃうだろ、男として。


―・―・―・―・―・―・―


本当にアークをからかうのは楽しい。

いい加減慣れてきてもよさそうななのに、からかうとその都度しっかりと面白く反応してくれる。

今も胸がちょっと当たったくらいで顔真っ赤にして、本当に面白い。

まあ、当ててるんだけどね。


―・―・―・―・―・―・―


「お・・・ま、ちょ、離せ!本当に!」

本気で振りほどきたいが、そのとき変なところに触ってしまいそうで、手を動かせない。

「え、どうかしたの?」

と、ティアは可愛らしく首を傾げる。

けど顔は満面の笑みだ、こいつ絶対わざとやってる。

でも反応してしまう俺が本当に恨めしい。


「あ、もっとあったまりそうなところであっためた方がいいかなー?」

もっと、あったまりそうな・・・?

「な、なんだよ、それ。」

「ほら、あるじゃん、もっと太い血管。」

「なんだよそれ・・・?」

「大腿動脈。」

大・・・腿・・・って?!


「おま・・・何言ってんだ、バカか!」

「ほらほら、遠慮しないー。」

そういいながら俺の手を移動させようとしてくる。


「や・・・おま、マジでやめろ!バカ!お前・・・ふざけんなーッ!」


―・―・―・―・―・―・―


ああ、本当に楽しい。

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