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とある学院の人々  作者: 水無月 重荷
序章 『ロア』たち
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1話 生徒たち

神秘的な森があった。

高木が数メートルおきに並んでいるが、それ以外の低木や草本は少ない。

虫などの姿も見えず、土臭いような感じもない。

自然にできた森というよりも、誰かの手によって造られた庭園のような風景だ。


その森の中を5人の人間が走っていた。


一人目は細長い剣を左右の手に一本ずつ持っている、年齢は10代半ばくらいの少年だ。

直毛の短い黒髪に黒い瞳、例えるなら東洋人の優男のような顔つきだ。

しかし、その体つきは年齢に比べ背も高く、がっしりとしていて、金属の肩当て、胸当てを身につけている。

二人目は弓を手にした10代後半くらいの少女。

弓を持ってはいるが、矢はもっていない。

明るい金色の髪を後ろで一つに束ね、透き通った蒼い瞳をもち、気の強そうな顔つきをしている。

タンクトップのような服に革製のジャケット、短いデニムをはいている。

身長は女性にしては高いほうで、全体的にやや痩せているようにも見えるが、細く引き締まった筋肉質な体つきだ。

三人目は、10代半ばほどの少年で、茶色い瞳にやや色の薄い黒と茶の中間のような色の髪をもっている。歳相応の身長だが、弱々しい印象のある細い身体。髪は目にかかるくらいの長さで、顔つきも弱々しい印象を与える。灰色のシャツに薄い茶色のズボンで、全体的に目立たないカンジだ。

四人目は、青いドレスのような服を着た10代後半の少女だ。

金色の長い髪に金色の瞳、顔立ちといい、服装といい、どこかの姫君のような印象がある。

身長は高くもなく、低くもなく、女性的な体つきをしている。

五人目は、槍を持った10代後半ほどの少年。

5人の中で一番身長が高いが、身体は細く、身軽という言葉が似合いそうな印象だ。

黒い髪に茶色い瞳で、整った顔立ちをしている。

鎧などは身に着けておらず、普段着、というよりもファッション重視にも見えるような服装で、装飾のついた黒いシャツに黒いズボンを身に着けている。



5人の行く先には一匹の魔物。

4メートルから5メートルはある巨大な体躯に、鋭い爪や牙。

全体を見ると、狼のような姿をしていた。


5人の中の一人が叫ぶ。

「ティアとキースは遠距離から援護射撃!

アークは裏に回れ!

ミーナは支援魔術の準備!」

『了解!』


アークと呼ばれた、細い長剣を手にした少年は、答えると同時にスピードを上げ、言われたとおりに反対側へと駆け出していった。

キースと呼ばれた少年は、その場に立ち止まり、魔法の詠唱を始めた。

ミーナと呼ばれた少女も立ち止まり、魔術のための陣を展開させる。


ティアと呼ばれた弓を手にした少女は、指示を出した、槍を手にした少年の隣を走りながら問いかけた。

「・・・ロアは?」

「正面から戦る」

そういったと同時に、ロアと呼ばれた槍を手にした少年が速度を上げ、魔物に突撃していった。

ティアは立ち止まり、弓を構え、攻撃魔術のための陣を展開する。



狼に似た魔物は、ロアの存在に気付き、大きな、殺意と闘志に満ちた咆哮を上げた。

ロアは怯まずにさらに速度を上げ、魔物の右前足へと槍を突き入れる。


「ガァァァアアア!」

と悲鳴を上げながら、魔物はロアへと左前足を叩きつける。

しかしロアはそれを見切り後ろへと下がることで回避する。


それと同時に、魔物の左前足に魔力によって作り出された氷の剣が突き刺さる。

キースの魔術だ。

さらに、魔物がそれに気をとられている隙に後ろから近づいていたアークが、魔物の尻尾を切り落とす。


魔物は尻尾を気にせずに、ロアへと右前足を叩きつける。

が、それもロアは横に移動することで回避する。


「おっせえんだよ、図体がでけえだけだな!」

そういいながら、ロアは回避した右前足に槍を突き刺す。

その間にも、魔物の後ろからはアークが魔物へと何度も斬撃を喰らわせていた。


魔物は振り返り、アークへと飛び掛ろうとする。

その瞬間、魔物に顔に一本の矢が突き刺さり、さらにはそれが爆発する。


悲鳴を上げながら魔物が倒れこむ。

その隙を逃さず、ロアとアークが魔物の喉元に自らの武器を突きいれる。

その間に、キースの魔術によって、魔物の後ろ足は氷で完全に拘束されていた。


魔物は再び悲鳴を上げながら、前足を使い、ロアとアークを振りほどき、立ち上がろうとするが、その後ろ足は既に動けなくなっている。

そして、傷ついた喉元に、3本の矢が連続して突き刺さり、爆発する。


「トドメだ、ノロマ。」

といいながら、ロアは先ほど矢が当たり傷ついた魔物の額の奥へと槍を突き入れた。


ついに魔物は断末魔を上げ、息絶えた。



「皆お疲れ~、というか疲れるほどの相手でもなかったよねぇ。」

キースが言った。

「本当にザコだったしな。あんなのに疲れるようなヤツはここにはいねえだろ?」

「ええ、そうね。私にいたっては出番がなかったものね。・・・出番がなかったものね。」

相当根に持ってるらしく、ミーナは繰り返した。

「アンタの出番は主に回復でしょ?アンタの出番があるときの方が皆困るって。」

ティアが返す。

「結局、一番活躍するのはロアだろ。俺はどうせ接近同士でも補助ですよっと。」

アークが少し不満気に言う。


「悪かったな。機会があればお前に譲るさ。

でも、まあ、俺のが単純に堅いからな。前に出るのには向いてると思うけどな。」

「ロアのは堅いというか反則だよ。

接近なのに術士みたいに防壁使えるし、しかも回復魔術の応用の自己再生で多少の傷はすぐ治っちゃうし~。」

「才能ってのがあるヤツはいいよな。まあ、俺のほうが劣ってるとは思わないけど。」

「話はこれくらいにしてさっさと帰るぞ。

トーマ先生にまたトロいとか色々言われるからな。」

「多分さっさと帰っても言われるって。」


そういいながらキースが陣を展開する。地面に魔術によって刻まれた陣が光ると同時に、5人の姿は消えた。

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