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カイとコンドー(中編)

母は一度、結石を経験しているのと年齢的なこともあり、

休みの日に僕は『純和食』を自宅で勉強していた。

自分も言ってておかしいと思うのだけど、日本の伝統料理って言えば良いのにね。


食事って個人的にはアミノ酸を摂取できればなんでも良いのだと思ってる。

しかしそれが一番難しい。

多分、自分が思っている以上に自分にあった食生活を発見するのは難しいのだと思う。

さらに加齢によって体質も変化するから合わせて行かないといけないのだろう。


ちょうどスポーツ選手が成長やスタイルの変化に応じて、使う道具を変えるのと同じ発想だ。


健康って食事だけでは成立しない。

運動や睡眠が大きな意味を持ってくるけど、年を取ると運動しなくなる。

運動しなくなるから眠れなくなる。でも食事だけは若い頃と大差ない。

そりゃ体も悲鳴を上げるよね。


未だに100%玄米っていうのは続かない。

ぼそぼそした甘味がないからヨーグルトに蜂蜜かけてようやく食べられる感じになる。

昔の人なら味噌とセットなのだろう。



そんなことを考えながらぼーっとしていた。

気付けば昨日、お店に来た人が窓越しに立っていた。


彼は笑顔で僕を見ていた。


「なんなんですか?ここ、 私有地。あなた、不法侵入ですよ」


「いやー、どこからお宅の敷地か分からなかったよカイ君」


「お招きしてませんけど」


「あの、とても大事なこと伝え忘れちゃって」


「あなたにとって大事なんだと思います。

 遠巻きに私は関係ないですよって言ってますよ

 っていうかどうしてここが分かったんですか?」


「細かいことは良いじゃない。

 本当に大事なことなんだよ、カイ君にも関係することさ」


「なんでしょうか?」


「私はコンドーです!」


「何者か知りません」


「それをこれから語りたいんだよ

 一緒に世界を見てみたくない?」


「最近、旅を終えたばかりなんで無理です」


「なら質問を変えよう。

 カイ君、何が欲しい?」


「お金」


「銀行から借りれば? 少しばかりの劣等感と引きかえに貸してくれると思うよ。

 んでもって次のセリフはそういうんじゃないですって話でしょ?

 ってことはお金じゃないよね……バランスはもちろん大事だけど」


ヒラノさんもこの人もどうして人の柔らかいところを、

土まみれの手で掴みに来るんだろう。


「今は目の前の生活を維持するので精いっぱいですよ」


「飲食やってるんだったらエリアマネージャーになるかオーナーになるかの二択じゃん。

 カイ君はどっち?」


「こんな僕にお金貸してくれる銀行なんてないでしょうからマネージャーですかね」


「良いね、じゃあカイ君。話を聞くべきだよ」


「母が病院から帰ってくるまでの間です。

 話を聞くぐらいならどうぞ」


「よし!って家に上がらせてもらえないの?」


この人は一昔前の強引な訪問セールスマンみたいな感じだ。

他人の財布の紐を緩めることが楽しみで、それ自体をゲームとして楽しんでる節がある。

家に上がらせたら僕の負けだ。

僕はどこか意地になって上がらせまいとした。


「ちょっと待って下さい」


僕はそう言って外出する準備をした。

玄関を出て僕はコンドーさんに言った。


「裏山は公園になってて頂上まで歩いて行けます。

 歩きながら話を聞きますよ」


「構わないよ、カイ君が話を聞いてくれさえすればね。

 決めるのはカイ君だしね」


頂上までは三十分とかからない、そこは縄文時代から人が住んでいたところらしい。

春になれば桜が咲いて居心地の良いところだ。マムシが出るらしいから気をつけないといけないけどね。


コンドーさんは歩きながら話をしてくれた。

以前は商社に勤めていて億単位の商談を海外の顧客とやり合っていたこと。

早々に引退して当時の顧客は遊び仲間になり、日本に来るたびに接待してあげたとか、

培った地盤を使って日本食を海外に紹介するプロジェクトを立ち上げたりと、

ほとんどが自慢だったけど……とても精力的な活動をしている人らしい。


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