近所のお姉さんが実は・・・!?
僕には、優しい近所の姉さんがいた。
「大和くん。しっかりできてえらいね」
このように、幾度となく彼女に甘やかされたわけだ。ちなみに、名前を山本 翠という。僕の、2個上の同じ中学校の先輩。・・・まぁ、関係で言えば、幼馴染・・・に近いのかもしれない。
別に、そこまで典型的な幼馴染ではないと思う。小学校時代、たまたま登校班が同じだっただけで、少し関わりがあったくらい。それが、なんで今こうなったのか・・・。これは、僕が入学したての頃に遡る。
僕は、友達がその部活に入るからという理由で、陸上部に入部した。・・・どうやら、噂ではこの学校の陸上部にはとんでもない選手がいるのだとか。その、選手と言うこそが、
「あれ?君って大和くん!?」
「あ、翠ちゃん!!久しぶり!!」
「待て待て。お前、あの翠さんと関わりあったの!?」
「えっと、どういうこと?」
曰く、山本翠・・・僕の近所に住んでいた彼女は、今では女子中学生の100m走の日本記録を塗り替えた、とんでもないスーパースターだそうだ。小学生の頃から陸上をしていた僕の友人が、知らないはずもないわけだ。
「にしても、翠ちゃんすごく足速かったんだな」
「びっくりでしょ!」
小学生の頃から、クラスの男子と匹敵するくらいには速かったが・・・まさか日本記録を塗り替えるとは。
「でも、たしか大和くんも速くなかったっけ?」
「僕?僕は・・・そんな速くないよ」
「でも、小学校の時でもスポーツの表彰とかされてたじゃん」
「あくまで、サッカーの話な」
僕は、小学生時代サッカーをしていた。チームが強いのもあってか・・・まさかの全国優勝だった。
「ほんと、大和くんは素直じゃないよねぇ・・・」
「僕は事実を述べているだけ」
久しぶりに、翠ちゃんと話した。なんというか、中学3年生になった翠ちゃんは、大人感が増していた。小学校のときは、まだ全然身長が低かったのに。今では160cm近くあるのを見て、僕は正直に驚いた。
そんなこんなで、僕は今、翠ちゃんに勉強を見てもらっている。
「なんか惜しいのよねぇ・・・。大和くんって、元を辿れば天才なんだろうけど、なんで惜しいところが欠けているのかな・・・」
「嫌味か?絶対嫌味だよな?」
先輩だからって、マウントを取るんじゃない。
「嫌味なんかじゃないよ!!・・・ほら、やってみな」
言われるがままに、やってみる。
「そう!正解!!やっぱり大和くんは天才だったね」
「持ち上げすぎだ。僕は、翠ちゃんほどに天才じゃない」
「私も・・・。いや、私は天才か」
今更言うと、この人は本当に非の打ち所がない。頭はよく、顔もいい。ましてや、性格も運動神経もよい。SNSのフォロワーは、10万人越え。そんな彼女と、ただの僕がこんな関係っていうのは・・・果たして、世間は許すのだろうか。
「でもでもね、大和くんは絶対天才なんだよ!努力もして、成り上がったんだから!」
「まぁ、翠ちゃんがそう思うならそれでいいんじゃない?」
「・・・というか、大和くん小学校のときから呼び方変わったね」
「掘り返さないでくれ」
「あ、そういうことね。・・・思春期か!かわいー」
「茶化すなって」
僕は小学生のとき、翠ちゃんのことを姉ちゃん、もしくは翠姉と呼んでいた。流石に、中学生に上がると、その呼び方は躊躇いが生まれる。
「一回さ、姉ちゃんって呼んでみてよ」
「えぇー?やだよ」
「お願い!なんでもするから!」
「思春期の男子中学生になんでもは危ないぞ」
「でも、大和くんはそう言ったこと一切しないでしょ?」
「・・・んまあな」
「だから言ってるの!!あと、大和くん以外にはしないよ」
「特別感っていうのか・・・。まぁ、なんでもいいけど」
「それで、言ってくれないの?」
「えぇー。嫌だよ」
恥ずかしいんだって。
「でも、ここには私と大和くんしかいないよ?」
「関係なく。普通に恥ずかしい」
「でもなんか、そういうところがかわいい」
「なんだ?からかっているのか?」
「全然!!そんなこと微塵もない!」
はぁ。言わないといけないのか?・・・嫌だなぁ。みんなも、分かるよな?小学校時代平然と出来ていたことが、中学生になって出来なくなること。
「はぁ。じゃあ、本当になにかしてくれるんだよな?」
「うん!するする!!」
じゃあ、いいかぁー。なんて思いながら、僕は深呼吸を始める。・・・そして、
「ね・・・姉ちゃん・・・」
と、僕が言うと、
「・・・ハァ・・・!!!!」
翠ちゃんが、そうやって息を吸い上げて、
「か・・・」
「か?」
「かわいい~~~~~!!!」
思ってた反応と違った!!
「なんで!?なんでこんなにかわいいの!?しかも、小学生の頃と違ってもっとかわいい!!」
「待て待て待て!!早まるな!!」
その瞬間、翠ちゃんが僕に近づいてくる。
「待て待て!!越えちゃいけないラインってもんがあるぞ!!」
「いやもう、我慢できない!!大和くん・・・かわいすぎ」
まずい・・・本当にまずい。どうにかして、退いてもらわないと・・・!!
「落ち着け!!」
僕が渇を入れると、我に戻ったのか、翠ちゃんはそっとした。
「はぁ。・・・なんで、大和くんのお姉ちゃん呼びこんなに破壊力があるんだろう」
「こっちは疲れたって言うのに・・・。ほんと、これからああいうことはやめてね?」
「ごめんごめん」
とまぁ、これが僕と山本翠の関係だ。別に、なんともない姉弟関係のような感じだ。
僕には、近所のお姉さん的な存在はいませんでした。代わりに、幼馴染の妹みたいなやつはいます。
皆さんは、お姉さんやお兄さん、妹や弟的存在はいますか?




