私の村に住み憑く不可解な”謎”
その日、私は呪われてしまいました。
約200年前、私が住む村に、とある怪奇が起きました。来る日も来る日も、住民が悲鳴を上げるんです。住民は皆口を揃えて、
「で・・・出た」
と言います。逆に言えば、それしか言いません。中には、それを経験したことがないという住民もいるようでした。
それから200年が過ぎた今でも、この村の謎は解明されていません。・・・というか、ここが町から離れた山奥にある村なので、地方ニュースにすら乗りませんでした。なので、町の警察が捜査したり・・・なんてことは、ありませんでした。一応、この村にも警察と同じ立場の役職があります。
そしてまた・・・今日も。その異変は起きるのでした。
夜、私が夜道を歩いていると、
「きゃぁぁぁぁ!!!」
すぐ近くの家から、その悲鳴が聞こえてきました。昔から続く村のルールとして、
『同じ村に生まれたなら人は皆平等であり、支え合う生活を営む義務がある』
というしきたりがある。トラブルが起きれば、村全体で解決する。・・・それは、子供であろうと、年老いた高齢者であろうと。だから私は、歩くのをやめてすぐにその家に入った。
「大丈夫ですか!?」
すると、その家にいた女性は、そう言った。
「で・・・出た」
私としても、聞き飽きたその一言。そして、またその”何か”が出たそうだ。
「落ち着いてください。あなたには、何が視えているんですか?」
決まって、正常な人間が何かを問いかけても・・・
「で・・・出た」
としか、言わないのです。とにかく、私はポケットに忍び込ませておいた睡眠薬をその女性に飲ませました。・・・女性が眠ってから、村の住民が一斉に押し寄せてきました。
「何があった!?」
「また、被害者が出たそうです・・・」
「また、出たのか」
「はい。一応、睡眠薬で落ち着かせておきました」
「あぁ。ありがとう」
私は、村の中では医者の立場に当たる。まだ15歳の子供だが、たまたま医学の勉強をしておいたことで、この村の医者という役職に就かせてもらうことが出来た。一応、私の前任に医者の方がいたのですが、残念ながら老衰で、数年前に亡くなってしまいました。
「ほんと、なんなんだろうか。この不可解な”何か”が現れる現象は」
「私にも、わからないです・・・」
村の霊媒師の方がそう語る。
「ワシも長いこと生きてきたが・・・親父や祖父からそういった話は聞かされてこなかったの・・・」
歴史を多く知るご年配の方でも、聞いたことのない長年続く謎・・・。一体、この村には何が隠されているのでしょうか。
私の家庭は、少し特殊な家庭だ。先祖代々から伝わる特殊能力で、生まれてくる人間は、必ず何かしら特殊能力を持っている。私で言えば、全知全能に近い頭脳を持ち合わせていたり、弟で言えば爆発的な力を生み出せる能力。祖父は、未来が視える能力。・・・ただ、代償というのでしょうか・・・。私の家庭の人間は、すぐに亡くなってしまうのだ。母親も、父親も・・・。若くして、この世を去った。細かく言うと、40歳を越えた人間は、私の家庭にいませんでした。
そうして私が今していることは、この村に関する歴史書を探している。先祖は、この村が出来た頃からここに住んでいたそうだ。だから、数々のこの村に関する書籍が私の家には眠っているのだが・・・。
「うーむ。和人、読めるか?」
「兄さんでわからないなら、僕にわかるわけない」
弟にも解読を頼んでみたが、どうやら分からないようだ。文字は日本語なのだが・・・ページの大部分が文字が消えていたりして読めないのだ。だから、この村に関する情報が全くわからないのだ。それに、奇怪に関することも記されていない。
「情報がない・・・」
「もし、あの奇怪が暴走してしまったらだめだからね」
少し、考えてみる。・・・やはり、この村は特殊なんでしょうか?父親が生きていた頃、私は何度も父親に言い聞かされていたのでした。
「村の外には絶対出るなよ。町は、危険なんだ。毎日殺人が起きるほどには・・・我々が実に住みにくい世界となっているんだ」
・・・と。一度、私は村の出口付近まで行ってしまったことがある。すると、たまたま近くを通りかかった近所のおじいさんが、血相を変えて・・・
「そこに近づくな!!死にたいのか!!」
と、激昂していた。それが、関係していたりするのだろうか。この村は、外の世界と一切の交流をしていない。この村に住んでいる人以外の人間を、私は生きてきて見たことがなかった。と考えると、やはりこの村は異常なんでしょうか。あまりにも、おかしな話が多すぎるのです。何故、どの家庭の親や祖父母でも、この不可解な話について何も聞かされてないんでしょうか。・・・そして、被害に遭った人は、何故皆口を揃えて・・・
「で・・・出た」
と、言うのでしょうか。




