土砂降りの雨
この物語はフィクションであり、ジェンダーに関する作者の主観やただの被害妄想を含みます。お気を悪くされたら申し訳ございません。あくまで作者の一つの意見とだけ見てください。気に食わないならブラウザバックで問題ございません。
2025年、私は神奈川県在住の理系男性31歳で、名を宍戸猛という。高校生で工専に入学し、理系の電気系に進んでしまったことを心から後悔している。職場には50代のおじさんに囲まれて日々を過ごしている。もう私は31歳だから若くはないのが、おじさんからは若者はすぐにキレるし、snsに投稿する生き物だと腫れ物扱いされてしまう。職場に若い女の子は1人もおらず、当然女性慣れしていないので彼女は居ないし、恥ずかしいことに素人童貞である。初体験は25歳の時でお風呂屋さんに行った。思いのほか良くなかったし、気持ちいいよりも性病や上手くできるかどうかの不安のほうが勝っていた。あと高いし。これなら家でいつも通り済ませた方が良かったと思ってしまった。だから、本当の悦びはまだ体験できていないと思っている。しかし、それも幻想ではないのかと最近思い始めた。この歳になると、自分の人生に期待しないほうが、楽に生きていける。期待するから絶望という感情がうまれてしまう。最初から期待しないほうが楽に生きていけるのだ。
あと、私自身の問題だが、女性に対して妬みと恐怖がある。女性が理系の特に電気職に居るのは一般的にまれである。私は、大学受験と就職面接に失敗し、希望の職種に就くことはできなかった。自分の思い描いた仕事内容ではないが、それでも、日々苦しい思いをしながら学んで働いて、なんとか生きている。そんな中、就職面接時期にインターンシップ(職場体験)で知り合いになった女性が、私が入社したかった会社に入り、希望の職種に付いたという話を風の噂で聞いた。そしてどうやら上司に気に入られ、私の同期世代よりも昇進が早いという。私も今の職場に一時期、女性が転職してきたことがあったが、評価がとても甘かった。同じミスを私がしても許されないだろうということを、ほぼお咎めなしになったりする。これはあくまで個人の主観が入るが、やはり現代は男性のほうが不利になるケースはある。
これは恋愛市場においてもそうだ。マッチングアプリは女性は無料であるのに対し男性は月額約5000円を支払う。そして、男性は待っていてもメッセージは来ないが、女性が待ち状態だけで大勢の男性からアプローチを受けて選び放題である。理系の20-30代前半の男性はどの場所に行っても立場が弱い。(ただし一部のハイスペックイケメン男子や文系男子は除く)女の子と話すためには、ガールズバーやかキャバクラに行くしかないが、キャバクラやガールズバーで働くかわいい女性は、接客がかなり適当でも、ある程度の報酬がもらえている様子を見ると、自分も女性だったらいくぶんか、少なくとも今よりは楽に生きていけたのかもしれない、とないものねだりしてしまう。そんな恋愛市場で、マッチングアプリであらゆる女性からお祈りメール(フラれるメール)を受けているうちに、女性と真剣交際することを諦め、セフレが欲しくなった。それからセフレ専用のマッチングアプリをDLし、やってみたが、見事にハニートラップに引っかかった。最初に集合場所からカフェへ行き、お互いセフレのような割り切った関係を求めていることを伝えた。カフェを出て、女性が近くのラブホを指定し、共に向かった。私は、初めてのお風呂屋さん以外の体験でドキドキを期待した。しかし、ラブホにの部屋の鍵を閉めると女性は豹変した。まず、私にスマホの電源を切るように命令してきた。盗撮、録音防止の為だという。そこまでは納得できた。次に2万出せと言ってくる。こらは女性の避妊代の相場だという。セフレなら男側が女性の避妊のケアをするのが当たり前だから、2万円が妥当だそうだ。私は泣く泣く2万円を出す。さらに女性はゴムはあるかと聞いてきた。私はサイフに入れていたことを思い出し、ゴムはあると言ったが、サイズは本当に合っているか聞いてきた。私は、前に使ったことがあるサイズだから問題ないと言った。しかし、女性は実際にサイズを測っていないなら信用できないと言い出して、サイズごとのゴムを持ってきているから1個1万円で売ると言い出した。その時点で、恐ろしさから私はガン萎えしてしまった。もう帰ると私がいうと、払うまで帰さないし、実際にヤらないなら、今日のために予定を空けた準備費と交通費で15000円出せと言ってくる。どれだけお金を払えば帰してもらえるかわからないし、私のスマホは電源を切られ女性の手元にあるし、無理に取り返そうとすると、警察に通報されそうでなす術がなかった。私は改めて理系男性の立場の低さを認識した。それ以降はどうやって帰ったかあまり覚えていない。立場が弱い私の貴重なお金をいとも容易くふんだくって、女は消えていった。それ以降、女性恐怖症と女性への妬みが一層強くなった。繁華街で可愛い女性を見るたびに、楽してお金を稼ぎやがってと憎むようにもなった。
そんな馬鹿げた日々を送る自分にも唯一の楽しみがある。ガールズバーを練り歩くことだ。最近ハマっているのは地雷系のガールズバーである。特に地雷系のガールズバーに行く理由は、彼女らは容姿端麗で完璧だからである。男は可愛い女の子と話すためにはお金を払う必要がある。汗水たらして時間を費やして稼いだ貴重なお金を出すわけだから完璧に欲求を満たしてくれる女の子と話がしたい。
今日は、金曜日だ。小雨の降る中、夜に1人でガールズバーへくりだす。27歳くらいまでは友人がキャバクラに付き合ってくれたが、最近結婚したようで、一緒に行く人はいなくなった。周りから痛いやつだと思われているだろうが可愛い女の子に会いたいのだから仕方ない。しかし、夜遊ぶと恐ろしいほどお金がかかる。節約と長時間労働を重ねてやっと行けるのである。週に何回も行けるわけではない。今回も相当疲れをためながら必死に働いてなんとか行くためのお金を捻出した。
お目当ての子はショコラという名前で今日がシフトの日だが、店についても姿が見えない。お店のスタッフに聞くと直前で電話でドタキャンしたのだという。「マジか…」店の入り口でうなだれた。この日のために、1カ月節約生活をしてきたというのに。ショコラは最近休みがちで、男の影の噂もある。今日もどうやら別の男と過ごすのだろう…そんな被害妄想を膨らませていた次の瞬間に、私は驚いた。お店の奥から、容姿端麗で私の理想形の完璧な美少女が出てきたからである。私は、即座に言った「あの子をつけてください。」店員は怪訝な顔をしていたが、私を店内に案内してくれた。私が席に着いた数分後に、先ほどの美少女がおしぼりを持ってやってきた。
「リナリナです。最近ここに入店したの。よろしくね。」
「高橋です。よろしく」
私はひどく緊張していたが、なんとか自己紹介をして、話をした。仕事の話、プライベートのゲームの話。リナリナと名乗るその美少女は、ほかの嬢とは違って飾り気はないものの、話を聞くのが上手で、ゲームは知らなかったようだが、私のゲーム話に興味をもつフリがとても上手だった。そうなるとついこちらから色々しゃべってしまうし、私が話のネタが尽きたら面白い話を聞かせてくれる、最高の美少女だった。そうなると私もお酒は進むし、リナリナにもお酒を出し、もともとヤケ酒がしたかったこともあり、しこたま飲んだ。お店をでるころにはベロベロになり、会計をクレカで済ませたもののいくらだったか全く覚えていない。(こういうことがあるから夜遊びするときは現金のほうが良い、、)
お店を出るとひどく土砂降りの雨だった。雨と街の光が乱反射してひたすら眩しくて、頭痛がひどくて何が何だかわからない。少し休もうと立ち止まると、街ゆく人の通行の邪魔になり、ドンドンと傘を当ててぶつかられた。まもなく私の傘はボロボロになり、使い物ならなくなった。私は逃げるようにビルの隙間の路地に入り、手をのどに突っ込んで吐いた。それでも頭痛は収まらず、世界の重力がどっち向きに働いているか全くわからない。そんな時に、若い男が私のポケットをまさぐってきた。ひったくりである。私が必死に抵抗すると、若い男もむきになり、もみ合いになった。しかし泥酔の三十路と若い男では、どっちが勝つかは自明である。若い男は私が抵抗できなくなるまで散々顔面を殴り、財布とスマホを抜き取っていった。私は、道路に倒れ胃酸と血の味とアルコールの残った吐息を脱力感とともに感じていた。そのうちに雨が降ってきた。もう動くことはできず、自分の体はどうなっているのかわからず、満身創痍であった。1人で絶望感を感じていると、ビニール傘をさしたひとりの通行人が私のもとにやってきて、傘をさしてくれた。通行人は、私の顔を覗き込んだ。私は驚いた。先ほどのお店に居たリナリナだったからである。リナリナは、涙を流しながら何かを言った。しかし、私は殴られた衝撃とスコールのような激しい雨の音でそれを聞き取ることができなかった。そこで私の記憶は途切れている。
次に目を覚ますと、私は見覚えのないソファの上にいた。どうやらあの後誰かに助けられたのかもしれない。辺りを見渡すと、近くにあるベットに横たわっている女と目が合って声をかけられた。
「リナ〜おはよ、気分はどう?ダイジョブ??」