37 共鳴の儀
本部のエントランスに多くの忍者たちが静かに集結しているのが目に入った。
それぞれの忍びの石がかすかな輝きを帯び、手首や首元で脈動するように光を放っていた。
涼音が静かに自身の手首を見下ろすと、そこにある忍びの石が凛とした輝きを放っていた。
他の忍者たちが持つ石とは異なり、その石は硬質で透明な美しい輝きを宿し、まるで無数の光の粒がその中に閉じ込められているかのようだ。
冷ややかな煌めきを放つその石はダイヤモンド──ただの宝石ではなく、彼女の魂と共鳴し、忍者としての力を引き出す特別な力を秘めた忍びの石だった。
石の表面が魔石の波動を受け、微かに脈動し始めると、その透明な輝きはますます鋭く、強く、周囲の暗がりさえも切り裂くかのように光を放つ。
冷たい光が彼女の手首から流れ込み、涼音の体内に静かに染み渡っていくと、全身の細胞が目覚めるような感覚が彼女を包んだ。
涼音の忍者としての力をその底から引き出し、過酷な戦場で何度も彼女を支えてきた。
その冷たい輝きの奥には、どこか剣の刃のような鋭さと決意が宿り、涼音に自らの覚悟を確かめさせるかのように脈打っている。
仲間たちの眼差しはどれも真剣で、彼らは今まさに戦場に立つ覚悟を決めた者たちの表情をしていた。
涼音も彼らの中に身を置き、見知らぬ土地で戦いを続けてきた仲間たちと視線を交わした。
本部の広間には、黒竜の魔石が鎮座しており、その周囲を忍びの石を携えた忍者たちが静かに取り囲んでいた。
魔石は冷ややかな青い光を放ち、脈動するように息づいている。
黒竜の魔石がその場にいる忍びの石と共鳴し、力を引き出しているのを感じると、涼音の体にも緊張と静かな高揚が混じり合った感覚が広がった。
魔石から放たれるかすかな波動が、忍びの石を通して彼女の体に染み込んでいくのが分かる。
そのたびに、涼音は自分の体が軽くなるような、そして心が研ぎ澄まされるような感覚を味わっていた。
周囲の忍者たちも同様に忍びの石から力が引き出されるのを感じ取り、静かに集中を高めていた。
忍びの石が微かに脈動し、持ち主それぞれの体に冷静さと闘志を注ぎ込むかのように淡く光っている。
涼音は黒竜の魔石の光が弱くなっていくのを感じた。
これだけの忍びの石に充電のようなことをしたのだから、もうこの魔石は…。
「これで準備は整ったか」
広間に集まった忍者たちの中から誰かが呟き、その言葉に涼音は静かに頷いた。
忍びの石に新たな力が宿り、これまで以上の強さを感じていた。
魔物との戦いは、今やただの任務ではなく、自分自身がどこまで成長し、どこまで進むのかを試す新たな局面へと突入している。
周囲の仲間たちも、全員がその決意と覚悟を胸に秘め、それぞれの任務へと向かう準備を整えているのが感じられた。
赤坂本部での共鳴の儀が終わり、忍者たちは一斉に立ち上がり、再び任務地へと散っていく。