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31 影分身

涼音を中心に、忍者たちはキマイラ討伐のために低層階の暗闇へと慎重に足を進めていった。

先の戦いで仲間が石化されてしまった記憶が胸に焼き付いていたが、彼らはその悔しさと悲しみを新たな力に変えていた。涼音は神威との協力で考案した戦法を信じ、キマイラに再び立ち向かう覚悟を固めていた。


薄暗い通路を進む中、彼女の「忍びの石」が静かに脈動し始めた。心臓の鼓動と共鳴するかのように、青白い光がその石から淡く漏れ、まるで彼女の決意を後押しするかのようだった。他の忍者たちの忍びの石もそれぞれの色で光を帯び始め、深い闇の中で儚い光を灯していた。その光は一瞬の希望と覚悟を象徴し、忍者たちの心に新たな勇気を与えていた。


やがて、不気味な気配が辺りに漂い始めた。重く低い唸り声が響き、冷たい風が通路を吹き抜ける。その先には、ライオンの頭、山羊の体、蛇の尾を持つ異形のボス──キマイラが再び立ちはだかっていた。キマイラの目が鋭く光り、まるで彼らの魂を凍りつかせるかのような威圧感を放っている。その視線が忍者たちを捉えた瞬間、涼音は静かに指示を出した。


「全員、準備を」

忍者たちはそれぞれの忍びの石に手をかざし、脈動する光が増幅されるのを感じながら、自分たちに授けられた力に集中した。彼らの体から発せられる微かな光が影を織り成し、周囲に独特の霊気が漂い始める。その光は、キマイラの冷たい魔眼に対抗するための力を宿し、闇の中で静かに揺れていた。


「影分身、展開!」


涼音の声と共に、彼女の周囲にいくつもの影が生まれ、まるで幻影のようにキマイラを取り囲んだ。影分身の忍術で分身を作り出し、あえてキマイラの注意を引くことで魔眼の標的を分散させる狙いだ。キマイラの眼差しがその影に向けられた瞬間、涼音は仲間たちに合図を送った。


「今だ、背後から総攻撃を!」


忍者たちは涼音の指示に従い、キマイラの背後から一斉に攻撃を仕掛けた。それぞれの「忍びの石」がさらに強く輝き、刃を振るうたびに青白い光が刀身を包み込んでいく。彼らの忍術と攻撃が重なり合い、キマイラの巨体に次々と打ち込まれていった。冷たい光が暗闇を切り裂き、涼音の影分身がキマイラの視線を逸らす間に、忍者たちは次々とその体に攻撃を加えていく。


キマイラは怒り狂ったように尾を振り、周囲の壁や地面を砕きながら反撃に出た。

強烈な一撃が放たれるたびに、空気が震え、彼らの周囲が崩れ始める。しかし、忍者たちは互いの力を信じ合い、巧妙に連携してその猛攻をかわしながら次の攻撃の機会を待っていた。


涼音の忍びの石が脈動を強め、まるで彼女の意志に応えるかのように冷たい光を放ち始めた。

その光は、まるで彼女の魂そのものが刀に宿るような冷たさと力強さを秘めており、神威の霊気が刃に重なり、まるで凍てつく風が吹きすさぶかのようだった。彼女は刀を構え、冷静な目でキマイラの動きを見極めた。


「神威、今がその時…力を貸して」

「ふむ、我の力、存分に振るうがよい」


神威の声が静かに響き、刀が冷たい輝きを放った。

涼音はその霊気を感じ、最後の一撃に全てを賭ける覚悟を固めた。彼女の周囲に冷たい風が舞い、まるで時が止まったかのように静寂が訪れた。その刹那、涼音は一気に駆け抜け、キマイラの魔眼を避けるように高速で動きながら、その巨体に突き刺すように刃を振り下ろした。


青白い光がキマイラの体内で爆発するかのように広がり、彼の巨体が震えた。その瞬間、仲間たちもまた「忍びの石」を輝かせ、次々と必殺の一撃を加えた。光の刃がキマイラの体を切り裂き、無数の閃光が走り、ついにその巨体が崩れ落ちる。

キマイラの最後の咆哮がダンジョン内にこだまし、やがてその姿は闇に溶けるように消え去った。

彼らの前に残されたのは、無言の勝利と、脈動を鎮めた忍びの石の静かな輝きだった。

忍者たちは息を整え、互いに視線を交わしながら、戦いを終えたことを静かに実感していた。



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