89話 モーギュを町中で飼う許可おりる。各派閥の領地割合、兵糧は無限
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「……しっかりと抑えて来てやがるな。ああ、その通りだ。チーズもバターも、ついでにヨーグルトも、第2王子派が作っている。それを買っているのが現状だ。原材料は解っている。牛乳だ。それだが、作り方が解らねえ。大抵、手順を盗んでも腐らせるのが落ちなんだよ。どうやって作っているのかが解らん」
……徐々に素が出てきているな。代官としての顔ってよりも鉱山のまとめ役って顔がメインなのかもしれない。そっちの方が冒険者的には有難い話だろうとは思うけどな。畏まった対応なんて普通は出来ないもんな。俺もなんだかんだ適当だし。そんな常識は知らないんだよな。社会人をちゃんとやれている人だったら話は変わって来るんだろうけど、社会人経験なんて無いしな。
「ですから、それを生産したいと思っているんです。平民にも買える値段で提供させていただくつもりです。こっちとしては、売れれば儲かるので、わざわざ高い値段にする必要がありません。薄利多売で儲けを出す手法ですね。原材料が沢山あっての話にはなるんですが」
「だからモーギュを飼わせろってか。うーむ。高級品が安く手に入ることは悪い事じゃない。だが、一応だが第2王子派とは組んでいるのは知っているだろう? それはどうするつもりだ? 第2王子派とも喧嘩をするのか? 正直な所、第4王子派が一番勢力が弱いんだぞ? 商業主義を謳っては居るが、主力になりそうな産品を他の派閥に抑えられている。そんな弱小派閥が組んでいる相手を裏切るような手段に出ても良いと思っているのか?」
「ええ、裏切るのが良いでしょうね。どうせ後9年後には、第4王子派の勢いを止められるとは思っていないので。と言うか、ヒルストン伯爵家の勢いが止まらないでしょうね。その為に俺達の同盟が規模の拡大を急いでいるんですから」
「……随分と大きく出たな。9年後か。戦争が始まるだろうと言われている時期だな。そこで第4王子派が巻き返すか。はっ。最大勢力の第1王子派でもなく、英雄紋章を抱え込んでいる第3王子派でもなく、軍拡に力を入れている第5王子派でもなく、商業主義を謳う第4王子派が戦争で活躍ね。……出来るんだろうな?」
「ええ、勿論です。戦争が始まったら、1年で相手国の王都まで落として見せましょう。その位の期間があれば余裕です。相手の国力はこちらと同じ程度と考えても良いんですよね?」
「国力は同程度だ。むしろこっちの方が大きいくらいだな」
「それは国土の広さもですか?」
「そうだ。向こうの国とこっちの国とでは国土の広さが違う。海、って言ってわかるか? それが向こうの国にはあるんだ。そこでは塩が取れる。こっちの国だと狩場なんかで塩を確保しないといけないんだが、向こうは海っつうデカい塩の取れる場所があるんだよ。しかもそっち側はそこまで敵を警戒しなくてもいい。だから兵力は海側には要らないんだ。故に俺達の国は4方を警戒するが、向こうの国は3方を警戒するだけでいい。国力に差があるのに大きく勝てないのはその所為だ」
ほう! 海があると! いい話じゃないか。とても良い。海は資源の宝庫なんだ。食料も大量に取れるし、塩も取れる。この領地でも塩は取れるんだけど、狩場内にあるんだよな。トルベール塩湖ってのが南の方にあるんだけど、そこが塩の産地だ。因みに、今はそこに隣接しているルノルで塩の量産を行っているはずだぞ。塩も産業に育てる気満々だからな。安く大量に作ると。塩漬けなんかを作って保存食にすることも出来るんだ。しっかりと確保しておかないといけない物資。これが領地内にあるかどうかで色々と決まるからな。無かったら辛かったところなんだけど、あったので良し。……まあ、殆どの領域が隣の貴族家の中にあるんだけどな。
しかし、沿岸国だったのか。あの地図は海岸線までの地図だったと。そこまでは聞いてなかったし、海って書いてくれてなかったからな。まだ地続きだと思っていた。しかし、沿岸部があるというのは大きい話だ。沿岸部からは魔物が攻めてくることは滅多にない。戦力はそっちには殆ど必要ないんだよな。まあ、だから多少の小国でも戦力を集中できるメリットがある訳なんだけど。でも、落とせたら沿岸部を確保できる。そっちに戦力を割かなくても良いというのは良い事だよな。
「沿岸部があるのであれば、是非とも欲しいですね。戦争に貢献して、第4王子派が大半の領地を貰っていきましょう。そして、商業主義を広げていきましょう。国土が広がれば商業の重要性も上がりますし、物流が物事を支配するようになりますからね。良いじゃないですか。ガンガンと領地を獲得しましょう。伯爵様には、最低でも1000万の兵士と冒険者を集めてくださいとお願いしておいても良いですか? 第4王子派が、がっつりと領土を獲得しましょう。メルトリスラ王国での地位をグッと引き上げるチャンスですよ。9年後に備えて、こちらも色々と準備をしないといけないですね。面白くなってきたじゃないか。是非とも沿岸部は欲しかったんだ」
「お、おぅ。……勝つ気満々か。勝てるのであれば良いんだが、本当に大丈夫なんだろうな?」
「ええ、余裕で勝てます。聞きたいんですが、攻める時って派閥ごとに分かれますよね? 混成軍では無いですよね?」
「ああ、派閥毎に分かれる。そうしないと抜け駆けのし放題だからな。皆を抑えつけるにも派閥ごとにしておく方が良いだろうし、見せたくないものもあるんだろう? 特に第3王子派なんて見せたくない事も沢山あるんだ。英雄紋章持ちの力を侮ってはいけないからな」
「ふっ。たかが第10紋章如きの話は結構。それに負ける敵の軍隊も知れてますからね。圧倒的な強さというものを見せてあげましょう。9年後に、世界が変わる事を願っています。変わらなければ俺達の優位がそのままという事になりますし、それはそれで良い事なんですが、……変わって貰わないと魔王がどうなるか解らないしな。とにかく! 今の所は力を貯えたいわけです。その為にはここでも畜産物の生産をしたいのです。なので、モーギュを飼う事を許可してください」
「……暴れたときの責任はちゃんと取るんだぞ? しっかりと仕留めてくれるのであれば、吝かでもない。バターやチーズが安く手に入るのであれば、鉱山の奴らの士気も上がるしな」
「ありがとうございます。それでなんですが、各派閥の勢力的にはどの位なんですかね? 各王子の派閥がどの位の規模あるのかが知りたいんですけど」
「あー、そうだな。第1王子派は、国の30%くらいが支持している。貴族での話だぞ? その貴族家の領地を考えると30%くらいだ。人数で言われても解らん。法衣貴族を多く抱え込んでいる所もあれば、そうでもない所もあるからな。あくまでも領地として考えてくれ。次に大きいのが第3王子派だな。あそこも25%くらいの勢力の筈だ。それで第5王子派。ここは20%と言ったところだろう。で第2王子派。15%くらいじゃないか? そして、残りの10%が第4王子派だ。第1王子派とは戦力も勢力も3倍はあるだろうな。その位は覚悟しておいてくれ」
「思ったよりも第1王子派が小さいんですね。もっと大きく離れているのかと思いましたよ。それで? 国力の10%で、どの位の兵力を用意できますか? 冒険者も含めて貰っても構いません」
「兵糧の問題があるからな。出せて1億人だろう。それで10年分の兵糧は確保できている筈だが、長引くだろう?」
「長引きませんし、兵糧は無限にあると思ってください。そうしたら、兵力はどの位出せますか?」
「はあ? ……まあ、そこまで考えなくても良いのであれば、5億人は出せるだろ。これが限界ギリギリだ。だが、それだと兵糧が2年しか持たねえんだぞ?」
兵糧の心配は要らない。こっちには無限資源があるからな。無限回廊からかなりの数が当たっているのだ。塩は既に複数個、炭水化物も肉も魚も野菜も甘味も当たっている。今はそれらをマジックバッグに詰める作業をしているんだ。兵糧? 幾らでも湧いて出てきますが何か?




