76話 魔法知識を与え、中級ポーションの収入1本1000トマスと言う
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「なるほどね。ここであたしたちを誘った意味が解って来たわ。確かにその方が効率的よね」
「おいおい、ソフィアはこいつらのやりたいことが解ったのかよ。こっちに自慢話だけを持ちかけてきて、その美味しい話に乗っかれないってのは歯痒い思いをしていたんだが?」
「儂も凡その事は解ったつもりだ。簡単に言えば、儂らを引き抜きたいのだ。そして、儂らもこの策に同意せざるを得ない。そうした方が同朋をより多く救えるからだ」
「そうね。今回の会談、ここには非人間の同盟しかない。つまりは非人間を1つの同盟として集めてしまった方が解りやすいし、手も伸ばしやすい。更には稼ぐ手立てもある。そうだとしたら、ある程度戦闘が出来るであろうあたしたちを巻き込むのは正解よ。新しい同盟員を育てるのには時間とお金がかかるもの」
「うむ。儂らはドワーフ、ダークドワーフ、エルフ、ダークエルフ、獣人、鳥人しか受け入れていない。それは同朋の方が優先だからだ。だが、それは何も他の種族を放置したい訳では無い。出来ないから放置せざるを得ないのだ。だが、同盟〈光る原石〉の策では、全ての非人間を同盟員にしても問題ない資金力があるという事なのだ。これでは、〈光る原石〉と儂らの同盟で格差が生まれる。それは〈光る原石〉側も望んでいないという事なのだ。人間には悪いが、これまで差別してきたのは人間だ。生活に格差が生まれようとも、人間側が悪い。それで説明がついてしまう。ただ、それ以外は分かち合おうとそういう事だな?」
「なるほどなあ。向こうは金の稼ぎ方を、我たちは戦力を。そうすりゃあ、多くの同胞を救えるってか。でもなあ、それでもだ。こっちに対して話が美味すぎるぜ? 何か裏があると考えるのが普通の事じゃないか? 我は俄然怪しくなってきたぞ」
「裏は無い訳では無いと思うけど、正直な話、別にあたしたちにこの話をしなくても良いのよね。実績もある事だから何も考えずにただ前の町と同じようにやるだけで良かったのよ。それなのにあたしたちに声をかけたのよ。〈光る原石〉が非人間同士で格差が起きることを嫌っているのだと思うわ」
まあ、それもあるんだけど、1番は拠点が1か所にならない事なんだよな。2番目に戦力があった方が速く事が進むよねって話で、俺は格差とか差別とかって割とどうでもよかったりはするんだけど。5番目くらいの理由になるんじゃないかな。
1つにまとめた方が解りやすいよねってのは確かにその通りだ。他の所では、そもそも非人間の同盟が無かったんだよ。だから何も考えずに引き抜きをした訳なんだけど、ここにはあったもんな。都市にはあると思っていたんだけど、アンゴラはあんな調子だったし。その分ここに色々とあった訳なんだけどさ。
裏があるとするのであれば、戦争に参加をして欲しいって所くらいか。それでも参加したい人だけで行くつもりではあるんだけど。強制ではないしな。強制したとしても無意味だ。やる気のある兵の方が良いんだよ。やる気がない1万人よりも、やる気のある1000人の方が強いと思うんだよな。魔紋章の相性もあるんだけど、まずはやる気だよな。
「裏があるとすれば、俺たちの同盟は後9年後くらいに起きる戦争に参加をするって事くらいだ。それ以外は特に無い。戦争も強制参加じゃないし。それに戦争に行く理由も肉壁となっている非人間の解放を目指しているところだ。まあ、第4王子派が有利になる様に、相手の王都までは落とすんだけど、それくらいだと思うぞ? デメリットは特に無いはずだ」
「儂は同盟〈光る原石〉に吸収されることで良いと思う。今後の事もあるだろうが、先に入っておく方が良いだろう。後で入るよりはな。だが、こちらを使い捨てにすることは許さん。それは解って欲しい」
「当然だろ。同盟員に無理強いはしない。出来ることを出来る範囲でやって貰うのがこっちの同盟のやり方だ。出来ない事をやれというつもりはない。最低限のレベルは上げて貰うが、それ以上の事は望んでないしな。家事専門の同盟員も居るし。まあ、第6紋章と第8紋章の人は、他の人よりも頑張って貰うつもりではあるけど」
「は? 魔紋章で何かを決めるのかよ? それがそっちのやり方なのか?」
「ああ、そうだ。魔紋章によって出来る事と出来ない事がある。それが魔法だ。魔法の使用には魔紋章が大きくかかわっている。だから、魔紋章である程度のやることは決まっている」
「ちょっといいかしら? そうすると、貴方たちは第7紋章を2つ持っている同盟員を使い捨てにする気なの? セツラミラルーベを使うと、倒れて死んでしまう。それはあまりにも有名な話よ? それはあたしは反対なのだけれど?」
「認識が間違っているから修正するぞ。第7紋章2つ持ちのセツラミラルーベは、使ったら死ぬ魔法じゃない。単純に魔力が足りていないだけだ。それに熟練度もな。魔法に関してはこちらである程度の事は掴んでいる。ここに居るソルガスのウルドーラも第7紋章2つ持ちだ。そして、彼女は既にセツラミラルーベを何度も使っている。それでも死んでいない。魔法の認識については、これを見て貰った方が早いだろうな」
「……何? この紙の束は。それに薄いわね。これはかなりの価値があるものじゃないの?」
「儂もこのような紙は知らん。普通は皮紙を使うだろう? これは何を材料にしているのだ?」
「その紙は、その辺の草を適当に集めて作った紙だ。紙は魔法で作っている。まあ、売り出しても居ないから、俺たちの同盟でしか使ってないけど、草と木材から紙を作る魔法が存在するんだ。こっちの紙の方が軽いし薄いから、重宝するんだよ」
「おい! おいおいおい! そんな紙とかどうでもいい! ここに書いてあることの方が重要だ!」
「……ほんとね。第10紋章が使い物にならない? それは本当の事なの?」
「使用例は幾つか書いてあるが、それでも使わないでも問題ない様な事が書いてあるな。それに、その後ろにある魔法の多様さだ。これは、こんな魔法があるのか」
「魔法に関しては何も間違ったことは書いていないつもりだ。まずは下級魔法から使い始めて、中級魔法、上級魔法と使って行く事で、魔力の消費を抑えることが出来る。更にレベルが100を超えると魔力覚醒が起き、魔力が爆発的に増える。そうやって人材を育ててきてここまで来たって所だ。まあ、同盟員のレベルは100を超えているんだろう? 多分だが100を超えているのであれば、中級魔法を連発しても倒れないと思うし、倒れても死ぬことは無い。それはこっちで解っている」
「レベルは確かに100は超えているわね。でも、魔法なんて使ったことがないわよ?」
「儂も同じくだな。魔法よりも普通に武器を持って戦った方が強いと言われて育ってきたからな」
「だよなあ。こんな詳しい魔法の詳細なんて誰が知っているって言うんだよ。下手すりゃ貴族でさえも知らねえんじゃないか?」
「知らないと思う。だからこそ、こちらも黙って使うんだ。誰にも知られていないことをこっちが一方的に知っているのであれば、圧倒的なアドバンテージがある。金を稼ぐ手段にしてもだ。魔法を知っているのと知らないのとでは、雲泥の差が出てくる。知っているだけで金になる事もあるって事なんだよ。この紙にしても、エドル高原で適当に1日草刈りをしてきたら、100枚単位で出来上がる。それだけでも莫大な富をもたらすだろうな。何せ、紙を作る魔法を知らないんだから。何か草を刈っているのは解っても、それを集めて紙にするとは思わないだろう?」
「そう、ね。普通に考えて、何をやっているのかが解らないから、莫大な富を得られるわ。この紙を作るのも魔法なんだから、魔法が知られていなければ独占販売をすることも可能になる。……でも、これは売らないのよね?」
「ああ、売らないな。ここで売るのは中級ポーションだ。材料は全て妖精の泉にあるものばかり。それを大量に仕入れて作るだけで1本当たり1000トマスの収入になる」
「ちょっと待て! はあ!? 中級ポーションが1000トマスだと!? お前らは馬鹿か!? 中級ポーションって言やあ5万トマスでも売れるじゃねえか! なに安売りしてやがる!」
まあ、知っていればそんな反応になるだろうな。50分の1で売っているんだから、仕方が無い事ではあるんだけど。でもな? これで良いんだよ。第3王子派を叩き潰せればそれで良いんだよ。




