75話 獣人会・ドワーフの集い・森の守護者 3同盟の盟主達と交渉
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「今日は集まって貰って感謝する。同盟〈光る原石〉の盟主エルンストだ。今回はこの場で色々と話し合いをしていきたいと思っている。よろしく頼む」
「我が同盟〈獣人会〉の盟主、ダーダルだ」
「儂が同盟〈ドワーフの集い〉の盟主、ゲンドウ。こちらこそよろしく頼む」
「あたしが同盟〈森の守護者〉の盟主、ソフィアよ。この面子を集めるという事は、そういう事なんでしょうね」
「察してくれているようだから簡単に言わせてもらうと、同盟〈光る原石〉は非人間が中心となっている同盟だ。人間も含まれているんだけど、俺が知っているのだと俺含めて2名だけだ。他は非人間で構成されている」
「盟主が人間で、非人間の同盟って言われてもな。確かに面子は非人間ばかりだが、所詮は人間様が治める同盟って事なんじゃねえのか?」
「いや、それだと人間が2人というのは説明がつかないだろう。儂は肯定的に見ても良いと思うが」
「そうね。そもそも人間が非人間を率いる事自体稀有な事だもの。普通は人間で固めるわよね? でもそれをしていない。理由を聞かせて貰っても良いかしら?」
「理由か? 理由は簡単だ。人間であろうが非人間であろうがどっちでも良いからだ。設立メンバーの意思が反映されている。今はこの8人でパーティーを組んでいるが、初期は別の6人でパーティーを組んでいた。そして、非人間の同盟を広げるために、ヒルストン伯爵領の町と都市を回っているってのが俺たちの同盟だ」
「ほう、てことは、そこの獣人以外も同盟員には居るって事だ。どの位だ?」
「……すまん。何人いるのか解らない。規模が大きくなりすぎて、種族がどうのこうのという話では無くなってきたんだよ。メラリア、今って何人くらいの同盟員が居るんだ?」
「何でエルンストが把握してないのよ。報告が上がってきている段階だと、8万人を超えているわ。もうすぐ9万人になるかどうかって所かしら? それでも正確な数字は解らないけれど」
「9万人……。それは大きく出たな。儂らの規模を遥かに超えている」
「ねえ、この町の拠点は何か所目なのかしら?」
「8か所目だな。もうすぐ9か所目も考えているが、まだだし。それと何でこんなに多いのかってのは、アンゴラが原因だな。そこの非人間は全員同盟員にしてしまったから、そこが一番多いはずだ。5万人くらい居たはずだからな」
「アンゴラって言やあ、何も無いで有名な都市じゃねえか。そこで5万人も抱え込めるのか?」
「儂らでは無理だな。金にも限界がある。という事は」
「同盟〈光る原石〉には資金源があるという事なのよね。それも5万人を抱え込めるだけの。全体で言えば9万人ね。どれだけ節約しても1日に10万トマスは無くなるわね。それを稼いでいるのだから驚くわよ」
「まあ、色々とあってな。ここでも結構な金額を稼がせてもらうつもりなんだよ。俺たちの同盟だけでも1日に20万トマスくらいは稼げるようにはするんだが、ここのスラムには、多くの非人間が住んでいる。冒険者ギルドでは12万から13万人住んでいるとの話だ。俺はその数全部を引き入れたいと思っている。時間はかかるだろうが、やり遂げるつもりでいるし、多分だけど2年もしたら十分だろうと思っている。それをしなくても、2か月もしない内に次の町へと進んでいくんだけど、ここで障害になる事が1つだけある。それが拠点の問題だ。13万人も拠点に住まわせようと思うと、場所が必要になるんだが、1か所では難しそうなんだよな」
「13万人も住まわせるの? それだと、空白地が4つ5つ必要になるでしょ? それともスラムも含めるつもり? ここの町は大きく空いている場所ってスラムしか無かったはずだけれど」
「ここはそういう場所だしな。領都の隣だ。人口も多ければ冒険者も多い。同盟の数もそれだけ多くなる。全員をちゃんと住まわせるってなると、相当な範囲が必要になるぞ」
「まあ、俺たちの場合は、1人当たりの面積を小さくしてなるべく拠点に押し込めるつもりなんだけどな。狭くなったら買えばいいけど、スラム出身の人って、生活スペースってそんなに必要ないだろう? 全員が個室を望むのかって言われたら、そうでもないし」
「それは解るな。儂らも1部屋を家族が使っているという場合もある。場所は確保してやりたいのは事実だが、場所よりも同朋を多く抱え込む方が益があると思っている」
「だよな。寝る時は皆で纏まって寝ればいいしよ。外で寝る事を考えたらそれで十分だしな」
「それはあたしたちでも同じです。限りある空間をなるべく多く使うにはそれしかありませんから」
「そうなんだよな。個人の空間を求めている人が少ないから、思ったよりも拠点が必要にならないんだよな。でも、流石に13万人を囲うとなると、それなりに場所が必要だ。だから、〈光る原石〉はこの場所に構えたんだよ。ここなら〈獣人会〉、〈ドワーフの集い〉、〈森の守護者〉を除けば、ある程度の広さを確保できるし、そうしたら、スラムも活用できるだろう? この辺り一帯に13万人を住まわそうと思っているんだよ」
「……まあ、出来なくはないだろうな」
「うむ。だが、それをするには資金が足りんだろう?」
「そうよね。いくらなんでも資金が足りないでしょうし、それを2年程度でやるのかしら? あまりにも無謀ではないかしら?」
「疑問はもっともだとは思う。だが資金はアンゴラから持ってくる。アンゴラでは、1日に3000万トマスの利益が出ている。生活費を引いても十分にお釣りが来るレベルだ」
そう。アンゴラでは1日に3万本の中級ポーションが作成されている。……5万人も抱え込んだからな。人海戦術で探せばそれだけの素材が手に入ったんだよ。勿論だが妖精の泉の周囲の町では同じことをやるつもりなんだけど、アンゴラの代官、オルクセン=バークレイル様からは、お前らやり過ぎ。でも、もっとやれ。中級ポーションはこっちで売りさばいてやる。増産できるのであればどんどんとやってやれとお墨付きを貰った。
簡単に言えばだ。第10紋章でしか採れない素材で、第10紋章でしか加工できないと思われていたものが、他の紋章でも出来るんだから、収益が出るのは当然の事なんだよ。それに、第10紋章で通貨を作っているんだから、中級ポーションにかけられる人員は限られてくる。流石に通貨が足りなくなる方がやばいからな。でも、中級ポーションが無ければ、通貨のための金属も入手困難となる。どう頑張っても配分を考えて効率的にやらないといけない。
それこそが第3王子派の収入源であり、現在2位に付けている原因なんだ。そこが揺らげばどうなるのか。非常に楽しみである。1000本も5万トマスで買っていたのだ。1000トマスで3万本買う事は可能である。置き換えても収入的にはプラスでしかない。それをまだまだ増産しようとしているのだ。まあ、第3王子派からはいい顔はされないだろうな。でも、商業主義の第2王子派からは歓迎されるし、第5王子派も軍拡をしたいのであれば、こっちに鞍替えもしてくるだろう。要は味方を増やしつつ敵を叩き落とせる作戦なのだ。
「3000万トマス……。1日の収入がか?」
「流石に儲け過ぎでしょう? アンゴラには何も無かったはずよね?」
「何もないからこそ、あの都市は発展しないのだ。しかし、それだけの収入があるのであれば、今後はもっと変わってくるかもしれん」
「まあ、上手くいきすぎた感はあるけどな。流石にそんなにも稼げるとは思っていなかったし、現に俺たちが離れたときは30万トマスが精一杯だろうと思っていたんだからな。それが人海戦術をやるだけで、ここまでの利益が出たんだ。なら人口の多いこっちで同じことをやれば、もっと稼ぐことが可能だろうな」
そうなんだよ。アンゴラには5万人しか非人間は居なかったんだよ。ここには13万人も居る。単純に考えれば、倍以上は稼げるという事になるんだよ。夢が広がるな!




