70話 職場に非人間がいたら、非人間排斥主義者でない。疑われたら殲滅
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「エルンスト、関係者の数は凄いことになっているの。町にも溢れ返っているの」
「魔法をとりあえず生きている人間に片端からかけたけど、少なくとも10か所以上は対象地域があるそうよ。下手をすると冒険者の同盟が相手になるかもしれないわね」
「へぇ! 面白そうじゃねぇか。狩りに行くのか?」
「当然だが、狩る。全部狩る。こっちでも把握できている所があるから、2班に分けようか。俺とカンタレラで1班、他は2班で。生き残りは無しでいいから、徹底的に叩いていい。ヒルストン伯爵領では、非人間排斥主義者は人権が無くなった。魔女狩りだ。まあ、必要な人も殺さないようにはしないといけないんだけど、今回の関係者は消して良いと思う。疑わしければ殺した方が良い。疑われる方が悪いんだ。魔女狩りとはそういう事だからな」
ヒルストン伯爵家には悪いが、非人間排斥主義者の人権を無くしたのは普通に失敗だからな。今回の俺たちのように悪用する人が居ない訳じゃないんだ。だが、やってくれたんだから利用させてもらう。人権が無くなったのであれば、殺しても何も問題ない。死人に口無し。非人間排斥主義者だったことにすればいい。
最悪のやり方だとは思う。思うけど、俺がやった訳では無い。発端は俺たちの同盟かもしれないけれど、結果的には悪いのは第1王子派なんだよな。そんな訳で、正義はこちら側にある。大義はこちら側にある。非人間排斥主義者は基本的には人間だけだ。俺も狩られる対象ではあるんだけど、まあね。俺が襲われても負ける気がしないからな。有象無象には負けないぞ? これでもタイマンには自信があるんだ。魔紋章が違うからって出来ない訳じゃない。流石に本職相手に戦うとなっては苦しい戦いになるだろうが、勝てないとは言わないからな。
「さて、この場は全て片付いたわね。生き残りは居ないかしら?」
「……居ないな。問題なしだ」
「偽装もしていないの。では早速行動かの」
「だな。そっちは任せたぞ。こっちはカンタレラが好き放題やってくれると思うからな。ああ、後はこっちの行動を妨害してきたら非人間排斥主義者として殺しても良い。そういう風に領主様がしてくれたからな。間違っていてもお咎めなしだ」
「一応、話はちゃんと聞くわよ? それでも駄目だったら殺すけれど」
「同朋の保護はしっかりな。なるべくなら巻き添えは無しにしたい」
「そうだよねー。でも、多少は仕方が無いんじゃないかな。と言うか、非人間排斥主義者が非人間の奴隷なんて使う? 使わないとおもうなー」
「使わんだろうな。奴らはそういう連中だ。視界に入れる事すら嫌がるだろう。好都合ではあるが」
「じゃあ取り合えず、全部潰したら拠点に戻るという事で。帰り道は気を付けろよ?」
それじゃあ、カンタレラと2人で行動だ。最寄りの所から攻めていこう。向こうは遠くから攻めていくはずだ。こっちは俺が索敵担当だが、範囲は限定されているからな。中の上まで熟練度は上げているとはいえ、エスメラルダほどは見えないからな。それだけ第5紋章の1つと2つには差がある。この町だと4分の1くらいしか見えない。真ん中に居れば6割くらいは見えるから、今は結構見えているけど、場所的には8か所しか見えないからな。まだ数か所外側にあるという事なんだよ。
という訳で、ここが第1襲撃地点な訳なんだけど、大きな商会だな。ここまでの商会が非人間排斥主義者であるというのはマイナスでしかない。早速ご退場願おう。そうだな。来世では非人間になっていることを願って、カンタレラにお願いする。
「じゃあ、中級魔法で頼むぞ。間違えるなよ? 熟練度も結構貯まってきているんだから、上級魔法なんて使ったら、色々と巻き込むからな?」
「解ってるー。じゃあやるよ? あそこで間違いないんだよね?」
「ああ、間違いない。連発で打ち込め! 派手に壊してやろう!」
たーまやー。いや、花火じゃないんだけどな。ドカンドカンと凄まじい轟音が響き渡っているんだけど、仕方なし。生き残りは必要ないからな。既にこちらとしてはマーキングが終わっている。後は狩るだけなんだよ。しかし、こうも簡単に襲われてくれると何ともなあ。もうちょっと魔法を使う事を覚えればいいのに。生き残りたければ、魔法を上手く使う方が良いんだけどな。第1王子派だからそんな事は考えていないはずだけど。魔法は使えないものだと考えているんだろう? その使えない魔法に蹂躙される気分はどうだ? まあ、意識も無くやられてしまったんだろうけど。
生き残りは無し。やっぱり火力だよな。魔法は火力だ。アタッカーが華だからな。対抗してくるのであれば、こちらも反撃をするんだけど、そんな事しなくても終わるというね。簡単すぎて参るな。
「よーし。次いってみよう」
「おー!」
なお、こちらが潰したのは商人が4、何かしらの産業が2だった。何かの工場だったと思うんだよな。繊維系なのかな? よく解らない道具が沢山飛んでいった。だから生産は第6紋章にやらせれば簡単なんだよ。何で手工業をしているのか。魔法でいいじゃん。そうすればいいのにな。
因みに、俺たちが使っているものの殆どが魔法産だ。服もそうだし、装備もそうだ。武器は結局ウルドーラしか持ってないんだけどな。その他の皮鎧は全員分あるから。大狼平原さんの皮だから、そこそこの防具でしかないんだけど。見た目は大事なんだよ。いかにも冒険者ですって感じだな。でも、これが無ければ襲われる可能性が高いからしているんだよな。本当に見た目が大事なんだよ。
「拠点に帰ってきたけど、向こうはまだみたいだな」
「そうだね。向こうは大丈夫かな?」
「負けることは無いだろうが、そもそも何処まで殲滅しに行ったのかだよな。俺が見えた範囲の敵は全滅させたんだけど。スラムにも一定数居るのかもしれない。幸いにも冒険者ギルドには居なかったけどな。あそこに居たら色々と終わりだから」
「冒険者ギルドがやられてたら、レラたちが冒険者になるのも無理だしね。居てくれない方が助かるよ。でも、何で冒険者ギルドには居ないんだろうね?」
「そりゃあ居ないだろう。多分だけど、あそこで働くには非人間を差別していたら勤まらないからな。知っているか? 冒険者ギルドって非人間が普通に働いているんだぞ? 主に3階でだけど」
「え? そうなの?」
「ああ、普通に働いているな。見えるところには人間しか居ないけど、居るところには居る。だから、非人間排斥主義者は冒険者ギルドで働けないんだよ。同じ空間に居るのも嫌だろうからな。もし冒険者ギルドで居るとしたら、もうギルドマスターからやられているって証拠だな。まあ暗殺位はやってやるつもりだけど」
「知らなかったな。それじゃあ、働こうと思えば働けたんだ」
「だと思うぞ。それでも少数派だけどな。そもそも知らないんだから仕方がないのと、非人間って寿命が長い種が多いから、入れ替わりが少ないんだよな。特にエラメラは長生きだからな。2000年くらい生きているだろ? そうしたら冒険者ギルドで入れ替わりが起きないんだよ。それに、大体は親族を雇用するだろうしな。普通に冒険者ギルドで働かせてくれって言ったら、働けたんだろうけど、知らなければ働けないもんな」
「そうだったんだね。でもなんか意外。普通に働けるんだね」
「一応言っておくが、産業の職人も非人間が居るからな? ひっそりと暮らしているから知らないだけで。非人間でも雇用している人は普通に雇用している。それを大ぴらにいうと色々と問題が大きくなるから言わないだけでな。まあ、問題は人間側にもあるんだけど、非人間側にもあるからな」
「へ? レラたちにも何か問題があるの?」
「まあな。生まれてからスラムで生活していたんだから仕方がない部分はあるんだろうけど、差別されているって意識が初めからついているから問題なんだよな。確かに差別する人は多い。けど差別しない人も実は半分くらいは居るんだよ」
これは、差別されている側に言っても仕方が無い事ではあるんだけどな。でも事実、差別をしているのは一部なんだよな。それを全体の事だと勘違いをしているのは、非人間側もそうなんだよ。悪いのは人間だ。差別をしている人間だ。でも、本当はそんな状況にしている国の責任なんだけどな。




