66話 中級ポーションを売ろうとしたが、金がないというので理由を聞く
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それから15分くらい待たされたけど、代官の元に案内された。向こうは特に警戒をしているようには見えないか。まあ、別段不思議ではないけどな。商人だと思っているだろうからな。
商人であっているのかは微妙な所なんだけど。同盟であるが、それが何系の同盟なのかは解らないからな。色々と同盟ってあるんだよ。俺たちの同盟は何でも屋だけど。だって、普通に商売もしているからな。伯方の塩が入手出来たんだから、塩の販売には手を付けるよね。税金で幾らか持っていかれるけど、それは仕方がない。同盟としても幾らか払っているし、住民税も払っている。税金からは逃げられないんだ。そういう定めだよなあ。
「ようこそ領主館へ。私はこの都市アンゴラを任されているオルクセン=バークレイルだ」
「バークレイル? この都市はヒルストン伯爵領では無いのですか?」
「ああ、そうか。そこから説明が必要か。この領地はヒルストン伯爵領であっている。ヒルストン伯爵家には6つの法衣貴族が存在している。その1つがバークレイル男爵家だ。私はそこの血族と言う事になる。これで事情は察したかな?」
「えっと、何とか。法衣貴族は領地を持たない貴族様、でしたよね? 騎士か文官かの何方かだったと思いますが」
「ああ、その認識であっている。バークレイル男爵家も騎士と文官との両方を排出している。考え方についてもヒルストン伯爵家と対立している訳では無い。むしろ対立をしていたら、他の貴族家の厄介になっていることだろう。そちらの同盟〈光る原石〉については了承している。メトイルの代官からここにも手紙が着ていたからな。何でも珍しい非人間の同盟であると。非人間の同盟で成功している所は殆どないはずだ。少なくともヒルストン伯爵領では聞いたことがない。他にも同盟はあるが、全てが人間の同盟だからな。これで漸くとヒルストン伯爵家のやってきたことが実ってきたと言う事なのだろう。まだまだ非人間排斥主義者が蔓延ってはいるが」
「ただ、この都市では少ないというか、都市だとそんな事を気にする人間が少ないと言う事は聞きました。この都市には殆ど非人間排斥主義者は居ないだろうと」
「そうだな。非人間排斥主義者の殆どは生活困窮者だ。それを支えているのは大手の商会等の大きな組織なのだが、その2つを君たちが潰しているからな。コールスでの事は聞き及んでいる。派手にやったらしいが、別にそんな事は構わん。非人間排斥主義者を合法的に消滅させる手段が無いのだ。君たちがやってくれる方が都合がいい」
……なるほどね。ヒルストン伯爵家では非人間排斥主義者は必要ないと。まあそうだろうな。別の派閥の息がかかっている団体を野放しには出来ないだろう。ましてや最大派閥の第1王子派が相手になるんだからな。避けようと普通は思う。が、商人としてやって来た者を処罰は出来ないと。そういう事なんだろうな。となると、商売敵として徹底的にやってやる方が良いのかもしれない。
ヒルストン伯爵家は第4王子派だもんな。少数派なんだ。上手く世の中を渡っていく必要があるだろう。……逆に言えば、味方が確実に解るという事でもあるんだが。ヒルストン伯爵家とその配下の6つの法衣貴族家は少なくとも味方だとは思いたい。最小派閥に甘んじているだけの人だと思いたい所である。
「こちらとしては、ヒルストン伯爵家とその下の6つの法衣貴族については、非人間の味方であると認識をさせてもらいたいんですけどね。現状で貴族家を移さない法衣貴族と、最小派閥に属している貴族家が非人間の敵に回ると言うのは避けたい事実なので」
「そうだろうな。……敵になることは無い。人間であろうが、非人間であろうが、使えるものは使うというのがヒルストン伯爵家の考え方だ。法衣貴族家もそれに同意しているからこそ身を寄せているのだ。その序列に差はないと思ってくれ」
「その言葉で十分だ。種族で差があって堪るかというのが、俺たちの同盟〈光る原石〉だ。まあ、人間は2人しかいないがね。差別意識をもっていないスラムの人間が少なすぎると言うのがあるんだが」
「そればかりは仕方がないな。だが、探してみると良い。この都市では割と居るぞ。スラムの民でも、差別意識の高いものについては、他の貴族領に行ってしまっているだろうからな」
「今は同盟員が参加人員を確保しに行っている。人間側に差別意識が無いのであれば、連れてきて来るはずだ。その時に判断させてもらうよ」
「そうか。だが、この都市での同盟の維持は大変だろう。そちらは切り札を持って来たみたいだが、それでも必要な数は揃わないだろう? 継続取引とは言っていたが、具体的にどのぐらいの量が用意できる?」
「中級ポーションの件で良いんですよね? それだと1日に300は用意できると思います。この都市でと考えて貰えれば良いかと」
「……何だと? この都市で1日に300だと? だが、中級ポーションとは第3王子派が秘匿している製品だぞ? それをそんな数も用意できるのか?」
「ええ、300なら何とか。まあ、用意できない可能性もありますけど、素材があれば作れるものですから。逆に言うと、素材が手に入らない場合は用意が出来ません。なので、300が妥当なラインだとは思います」
「素材だと? そうなると、同盟〈光る原石〉では第10紋章を多く抱え込んでいると言う事なのか? 第3王子派と勝負が出来る程度に」
「いえ、第10紋章は要らないので。中級ポーションは第6紋章でも作れます。むしろ第6紋章の方が効率よく作れます。なので、第10紋章持ちは居ないですね。1人も居ないのかって言われると解りませんけど、生活のために奴隷として売りますよね? なので、スラムには残っていないと思うのですが。残っているのであれば、……いや、まあ、要らないんですけどね?」
「第6紋章で作成できるのか? まあ、詳しいことは良いだろう。だが、中級ポーションは用意できると言う事で良いんだな?」
「ええ、用意しましょう。毎日の納品で良いですかね? その都度の支払いで良いですか?」
「いや、流石にそこまでの金がない。中級ポーションの値段は知っているだろう? それを資金源にしたいと思っているのかもしれないが、生憎、そこまで大量に買ってやれるほどの金がない。確かに需要のある商品だとは思う。特に西側では売れるだろう。鉱山では毎日のように中級ポーションを使う。だが、それだけの金を用意できん。残念ながらな」
「それは第3王子派から買うだけの資金をこちらに振り返るだけで良いのでは? そういう訳にも行かないんですか?」
「出来なくはないが、そうなると理由が必要だろう? 毎日1000本近くの中級ポーションを買っているんだ。それを300本のために減らしたとなると、理由が必要になる。最悪の場合は全部売らないと言う事もあり得るんだ。そうなれば鉱山が止まる。鉱山が止まれば黄鉄と青銅の値段が上がる。それは避けなければならない」
「なるほど、理由は解りました。では、妖精の泉の周辺には、どれだけの町と都市が存在しますか?」
「ここを含めて4つだ。それが何の関係がある?」
「中級ポーションの素材は全て妖精の泉で用意したものです。そして、この都市で300の生産が可能であると言う事は、残り3つの町で200を作れれば良い計算になります。その位であれば、5か月も用意していただければ準備は可能だと思います。半年で何とかしますので、何とかなりませんかね?」
レベル上げに1か月。移動や準備でそこそこの時間。凡そ4か月で3つの町を回れると思うんだが、どうだろうか? 時間は十分に足りていると思うんだけど。それだけの費用をかき集めるくらいは出来ると思うんだけどな。




