45話 代官に無限回廊と生産の成果の黄鉄製の盾を見せ、有用性を語ろう
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なので、昼過ぎに代官に会いに行く事は確定していた。味方に引き入れて損は無いし。むしろ無理を聞いてもらえる可能性があるので、味方にしておいた方が良い。懸念があるとすれば、他派閥からの妨害なんだけど、そんなに酷い事にはならないだろうと踏んでいる。
普通は外敵の方にヘイトが向いているはずなので、内部の敵に関してはそこまで重要視されないのが普通の事なのだ。しかも最下位派閥だ。警戒網の外にある事が十分判断できる。警戒されていない間に形勢を立て直すのが先決だった。そして、割とその準備は整っていたりする。
1つは非人間種の人口だ。これに関してはそもそも非人間を差別しないヒルストン伯爵家だからこそ集まっていると言える。集めなくても集まっているのだからそれを雇用してしまえばいい。同盟拡大についての障害の1番が、同盟員候補が居ないなのである。逆に候補が居るのであれば、どんどんと雇用をしてしまっても良いのである。
2つ目は場所だ。これも問題ない。ヒルストン伯爵家に一声かけて貰うだけでいい。優先的に場所が与えられるだろう。同盟を大きくしたいのであれば、大きくすればいいとお墨付きを貰えるはずだ。何せ商業に必要であるのであれば、非人間もちゃんと使うという事が約束されているのだから。有用性を示せば場所くらい融通してもらう事は可能だろうと思っている。
3つ目は資金。これも派閥の内容を聞いて解決したと言ってもいい。一番どの派閥がお金を持っているのかと言うと、商業派閥だ。これはある意味当然の話で、金欠だから商業派閥に入るというのは難しい。支援してもらうにも有用性を語らなければならない。何で金欠なのかを説明した場合、派閥に入って甘い蜜だけ吸うつもりか? となる。故に最小派閥なんだろうが。逆に言えば、金に余裕のある貴族しか居ないのではないかとも言えるのだ。
4つ目は金策。3つ目と矛盾しそうではあるんだが、これがしないのだ。金になるものを持っているのかというのが4つ目だな。これに関しては無限回廊でどうにでもなる話なんだよ。65層まで進めているのだから、現在最高価値であるバリルも取れるという事なのだ。因みにバリルは41層から50層までで多く取れる。それ以下でも取れるが、もっと良い金属の方がとれてしまうのだ。それを売るのはちょっと待つべきだろう。色々と順番が前後する。まずは信用を勝ち取ってから売るべきものだからな。それに人材を集めないといけないから、切るカードとしては早い。
そんな訳だ。障害がもう殆どないのである。ならば、派閥の勢力を拡大する前に、伸ばせるところまでヒルストン伯爵家の力を伸ばしてしまおうという作戦だ。出る杭は打たれるというが、出過ぎたら打てない。切るしかなくなる。切る事は内乱に繋がるんだけど、正直武力なら負ける気はない。だったら伸ばす。ぐんぐんと伸ばす。それが最善だ。だから、俺たちの有用性を語りに行くぞ。
「とは言いましても、いきなり交渉するのは難しくないですか?」
「せやな。いくらなんでも実績が足りんで? なんかええもんでもあるんか?」
「いや、物なら沢山あるだろう? 黄鉄で何も作っていない訳では無いんだろう? と言うか、盾を沢山作っておいてくれって言ってあったはずなんだけど? その盾は準備出来ているだろ? 1つも無いって訳じゃないだろうに」
「そりゃあ、5つ6つはあるけどやな。それを見せるんか?」
「エルンスト、盾であるぞ? 武器ではないのである。それを見せて納得が出来るのか?」
「出来る。何故ならメトイルでは、どうあがいても黄鉄なんて高くて買えないからだ。黄鉄の盾を作っただろう? あれは幾らで売れると思うんだ? ドゥニエルなら大体の相場は解るだろう?」
「そりゃあ解るけどもやな。まあ黄鉄やから、最低でも3万トマスは必要やろな。材料費だけでもその位はいくんやから、売ったとして4万5000トマスって所やろ」
「その位の値段になりますの? それでしたら交渉になりますね」
「む? 高いとは思うが、これで交渉になるのか?」
「なります。そもそも何で黄鉄が高いのかというと、この近くで取れないからです。運搬費用がかかります。黄鉄製の武器なんて、黄鉄の産地では5000トマスもしないはずです」
「その通り。産地は何処だかわかるだろう? 無限回廊だ。その分圧倒的に産出量が多くなる。だってそうだろう? 無限回廊の資源は無限なんだ。普通の鉱山だと有限。金属系のゴーレムを倒すにしても、冒険者が強くなければ値段が上がる。だが、所詮は黄鉄製品だ。下級魔法で加工できる製品でしかない。でも、無限回廊には、バリルの鉱山もある。近場に良い所は無いけど、持って帰ってこようと思えば持って帰って来れる。熟練度の関係で黄鉄から始めたけど、その内上の上の金属を持ってくる予定だからな。そんな組織があれば、投資したくなるのは当然だろう? 今投資しておけば、無尽蔵に金を持ってきてくれるんだからな」
「……黄鉄ってそんな安いんか。産地ならではやなあ」
「無限回廊に潜れば潜る程に金が湧いて出てくるというのは解ったのである。商業派閥としては見過ごせない案件であるのも解るのである」
「まあ、交渉は俺とアルレニスに任せて貰えばいいさ。俺もある程度は論戦できるように思うけど、その辺はアルレニスの方が強いからな。手強い場合は交代するさ」
「任されましょう。と言うか、エルンストの知識をもってすれば、ある程度の利益は出せるのではないですか?」
「出せるだろうな。まあ、この黄鉄製の盾を見て、何も感じない程度の代官なら、正直な所要らないっていう選択肢もあるんだよ。ヒルストン伯爵を引っ張り出すための駒として扱う方が良い可能性があるからな。そこは交渉次第なんだが、どう転ぶのかは正直な所解らない」
「なんや? 結局は手を組むんやろ? 代官とは駄目な可能性もあるんかいな?」
「あるでしょうね。代官が自分の利益を考えだしたら潮時です。自己利益ではなく、貴族家の為に動くのであれば、手を結べるのですが」
「その辺は運だな。組めるか組めないか。会ってみないと解らない。因みに冒険者ギルドのギルドマスターは話の解る人間だったぞ。非人間を差別する訳でもないし」
「ほーん。まあええわ。じゃあ、自信作の盾を持っていかなあかんな。これとこれとこれやろな。ちゃんと付与もかかっとるし、問題ないやろ」
「鑑定証は、付けてあるな。鑑定証は見せない方向で。でも良い能力じゃないか。厳選しただけあるな。これは無限回廊に持っていきたいぞ」
「せやろ? 何回も素材に返したかんな。ええもんが出来上がっとるで」
因みに盾の内容は、1つ目が物理影響力160%、魔法影響力140%。2つ目が物理影響力150%、魔法影響力170%。3つ目が物理影響力120%、魔法影響力130%、重量軽減15%。これなら実用に耐えるレベルだ。まあ、防御する事態にならないと良いんだけど。持っていて損はないよな。
「ガストビにも持たせるからな。第7紋章持ちと第9紋章持ちは盾が標準装備だから。落ちたら一番不味いのがタンクとヒーラーなんだから、重点的に守るぞ。1つはウルドーラ行きだなあ」
「この1つ目が良いのである。物理影響力の方がまだまだ主力であるがゆえに」
「いや、ガストビは2つ目だ。魔法影響力は魔法を受ける際にも減少してくれるが、魔法を使う際にも上昇させてくれるからな。結界で守るのであれば2つ目だ。170%は黄鉄の中では1番高い数値だからな。これ以上は無理なんだよ」
「ふむ? そうなのか。ではこちらを使わせてもらう。まあ、先に代官に見せるのであったな。その後でも良いのである」
「ウルドーラはどうするかだよな。重いと思うのであれば、3つ目なんだけど、3つ目って難易度的にもの凄く高いから、代官に売ってしまいたいんだけど」
プラス付与とマイナス付与を同時にかけるとこうなるんだよな。大当たりの部類なんだよ。これなら20万トマスくらいで売れそうなんだよな。どうするか。
 




