41話 領主館攻めの魔物は全滅させた。依頼無し冒険者は領主館おらず
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「あ! 兵士の人が見えたよ! 無事っぽい!」
「無事なのは索敵で解っている。とにかく削っていけ。見える範囲に居るのは後300も居ないぞ。積極的に攻撃あるのみ」
兵士の無事は解っているが、見えたのは僥倖だな。ゴブリンや餓鬼は小さいんだけど、ホブゴブリンや緑鬼は大き目。青鬼は2mを超えるし、赤鬼はもっと大きい。
それで、冒険者の所を抜けてきたのは、殆どがホブゴブリン以上。まあ、雑魚であるゴブリンや餓鬼は倒せるだろうしな。
とにかく魔法を連射する。下級魔法しか使えないけど、戦い方はあるんだ。例えドラゴン系統であろうとも、下級魔法で戦えるだけの戦法はあるんだよ。
HPがないというのがポイントだ。そこを考えれば、何とでもなる。飛ばれていれば、選択肢は狭まるんだが、主に地形を使って攻撃するのだ。最後の手段なので使いたくはないんだけど。できれば普通に火力で勝ちたいところなんだよな。
「赤鬼接近!」
「ジスレア、迎撃!」
「あいさー!」
何度目かの赤鬼特攻。ジスレアも2度目からは慣れてきたみたいだし、その調子でどんどんと攻撃してもらいたい。中級魔法は強いよな。下級魔法とは大違いだ。上級魔法を使える2つ持ち組は、割と切り札的存在なので大切に育てたい所。
ジスレアは第4紋章持ちだからな。本来であれば、俺のように魔法を連射するべきなんだろうけど、熟練度が圧倒的に足りない。技術の方が圧倒的に足りない。そりゃあね? ゲーム時代に比べたら密度がまだまだなのは仕方がない。ゲーム時代は1日が1年って設定だったから、熟練度もよく上がるし別物って感じだったんだよな。今でこれだけやれているのであれば十分である。
「やったよ!」
「攻撃を止めるな! 油断は禁物!」
「余韻に浸らせて!?」
しかし、敵は待ってくれないのだ。余韻に浸るのは全てが終わった後でいい。しかし、援軍が本当に来ないな。他の冒険者は何をやっているんだろうか。悠長に休んでいるのかね? 待機組も居る筈だから、そんな事は無いと思うんだけど。
ドロップ品は回収し終えているし、領主館が襲われているのに助けない選択肢があるのか? 俺たちも同じだったけど、流石にこのままではって感じで助けに来たんだし、他の人が来てもおかしくはないんだけどな。
依頼にないから助けませんって選択肢も勿論だがある。見殺しにする選択肢もあるんだが、次の領主が今の領主よりもまともであるという保証がまったくないんだよな。
今の領主がまともなのかと言われたら、まだましな方であると言わざるを得ないらしい。非人間をスラムで受け入れているからな。酷い所だと、スラムですら居場所が無いとかあるらしいし。人間ってだけで、魔紋章も魔法も何も変わらないはずなんだがな。何がそうさせるんだろうか。
「残り150! 絶対に兵士に当てるなよ!」
「難しい注文!?」
「そりゃねえよ!?」
「外側から安全にいくぞ!」
本当に当てたら駄目だからな? 中級魔法である程度の熟練度があるんだから、人間相手には即死があり得るんだから。ただでさえ第7紋章持ちを連れて来てないんだから、重傷は避けるように。
しかし、皆小鬼の森や大狼平原で戦っているだけあって、戦闘慣れをしているな。息切れが無いのがその証拠だ。普通は息切れを起こしても仕方がない。俺もゲーム時代に何度も息切れを起こしているからな。魔法を使うのにも集中力と口先の器用さが求められる。
特に重複詠唱を教えていないからな。これも技術の部類なんだけど、重複詠唱というのは、1回の詠唱で魔法を10個程度同時展開する技術だ。連射の秘訣はこれなんだよ。これが出来る様になるには、まずは複数の魔法をちゃんと使える事に慣れないといけないからな。教えるのはまだまだ先なんだよ。
安全に自己バフから練習である。自己バフが一番事故がないからな。攻撃魔法だと確実に事故るから。思っても無い方向に飛んでいくことがよくある。熟練者でも偶にあるんだから、まあ初めての時はそうなるだろうと思って使うべきだ。
タイマンではそれをやると致命傷になるので、やった方が負けである。因みに、プロゲーマーはわざとそれを誘発させようとしてくるから、勝率は10%を切る。あれはマジで無理なんだよ。やっていることが異次元だからな。上位3位までは本気でおかしいからな。
「残り60! 外すなよ!」
「そろそろ休憩したい!」
「鬼より鬼!」
「むしろ魔王!」
誰が魔王か。魔王はもっと理不尽だから。基本的にはAIが戦ってくれるのを見ているだけだけど。基本的には全紋章を2つ持ち状態の敵が魔王である。それをAIが学習した戦闘スタイルで倒しに行くのだ。魔王に勝てたのって、開始から2年目、第7クールからである。それまでは負けてたらしいからな。プレイ人口も問題だったんだろうけど。
この世界だと、この大陸には魔王が出てきていないみたいなんだよな。別大陸は知らん。そもそも、メトイルとコールスしか知らないので、よく解っていないんだよ。その辺は貴族と繋がりを持ててからの話になると思う。
ウォークエストも準備しておかないといけないのかね? 準備はもちろんするけど、もう2年くらい待って欲しいんだけど。人員と装備を整えるのにその位の時間は欲しい。
「残り20! 近づくぞ! 走れ走れ!」
「舌噛むよ!?」
「近接戦闘は無理ぃ!」
「結界準備します!」
誤射が怖いから接近する。後は兵士だけで何とかして欲しいのが本音なんだが、ここまで耐えただけでも十分って感じだからな。他の冒険者? 結局いなかったよ。100人くらいは居ると思っていたんだけど、まさかの0人。どういう事?
という事は、領主館に元々400人居たと言う事になる。それは良いんだけど、冒険者は全滅してないよな? 外までは探れないから解らないんだよな。流石に中級魔法だと熟練度が圧倒的に足りない。無限回廊で散々使ってきたんだけど、まだまだなんだよな。
「援軍接近! 同士討ちは避けろよ!」
「踏ん張れ踏ん張れ! あと少しだ!」
「結界を張れ! 分断するぞ!」
「了解です! ドンククリオ! ドンククリオ! ドンククリオ!」
「中級魔法斉射! 決めるぞ! 結界は限界まで張れ!」
「「「「おお!」」」」
3体、2体、1体と減り、最後は兵士が止めを差した。生き残ったか。まあ、助けに来なければ死んでただろうな。でも、本当に冒険者は何をしていたんだろう。助けに来るためのクエストが無いから助けに来ませんでしたって感じなのかね?
「援軍、感謝する! こちらももう限界でな」
「いえ、まあ、そうでしょうね。結構な時間戦闘をしていたようですし」
「ああ、流石に駄目かと思ったが、助けられたな。礼を言おう」
「当然の事をしたまでです。それで、冒険者が他に居ないのは、どうしてなんですか?」
「……依頼が無いからだな。冒険者に依頼を出せていれば良かったんだろうが、依頼の内容は覚えているか?」
「確か、小鬼の森から溢れてくる魔物を撃破せよ、ですよね?」
「ああ、領主館の防衛は依頼に入っていない。だからこうなった。そういう事だな」
「まあ、解らないでもないですが、余裕があれば助けに来るでしょう? 普通は。下心はありますけど」
「余裕が無いのさ。まあ、冒険者ギルドに行ってみて、聞いてみれば解る事だ。スタンピードが起きた場合、その結果は冒険者ギルドで報告される。それを見ているがいい」
「解りました。見てみます」
ああ、リザルトね。確かあれには、結局どの位の魔物が出てきて、何人死んだかが発表されるんだったな。死人か。ゲーム時代はそこまで多くは無かったが、この世界のレベルは低いからな。下手したら1万くらいは死んでいる可能性がある。
少し、この町に留まるか。コールスに行って無限回廊を攻略と行きたいところなんだけど、こっちの混乱も回避する必要があるし、様子見がてら滞在しないといけないだろうな。




