24話 冒険者証214個と追跡者
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結果から言うと、6秒で終わった。そもそも石虫を相手にするのだ。タンクなんて必要ない。盾持ちなんて必要ないんだよ。そして、基本的に打撃武器を使うんだよな。ハンマーが多いんだよ。石虫に剣を使う方が珍しい。まあ、剣も良いけどな。鈍器として使うしかないんだけど。
これで22人の冒険者が死んでしまったわけなんだけど、1層で何かをしている冒険者が減ったところでだろう。宝箱からも基本的にはゴミしか出て来ないんだから。あたりが出る事の方が珍しいのだ。1層ではな。流石に確率は下層に行けば高くなる。
一説によると当たりの出る確率は、1000分の階層という事になっているらしい。つまりは、1000層まで行くと、当たりしか出ないという事になる。ただ、無限回廊が1000層まであることを確認した人は居ない。最高到達階層で、300層くらいだったと思う。3か月しか無いのだ。その位が限界なんだろうと思う。
開発が言うには、マップは10万通りを超えているらしいけどな。じゃあ10万層まであるのかというと、解らないんだよな。そこまで潜れないから。時間が足りない。だからエンドコンテンツだと言われていたんだけどな。ある程度の実力があれば、後は運だからな。エンドコンテンツになるには、運も必要なんだよ。
そんな訳で、1層を探索しながら人間の虐殺を行った。ゲーム時代の様な6人パーティーは稀で、大抵10人から16人くらいで行動していた。石虫なら1人でも余裕な気がするんだけどな。魔法を使えばって話になるんだけど。
動きが遅い。物理に強い。魔法に弱い。これが石虫の特徴だ。お勧めは火属性魔法だ。質量で攻撃する魔法でも良いんだが、火魔法が一番いい。水属性魔法でもいいんだけど、水属性魔法の汎用性が無いんだよな。個人的には嫌いな属性第1位である。
「おいおい、今日だけで214人も殺しちまったぜ? 良いのかよ、冒険者ギルドに睨まれねぇか?」
「ふん。その時はその時よの。敵対した人間が悪いの。殺されてやる道理はないの」
「エスメラルダも過激派なの? まあいいけれど。どうせ2層目には誰も居ないんでしょう? その内殺す数も少なくなるのだし、今だけよね」
皆、殺すことに対して何も抵抗が無いんだな。俺もだけど。別に構う必要が無いよな。冒険者ギルドに報告するのにちょっとってなるくらいで。
それも俺の仕事だからな。しっかりと報告してやらないと。帰ってこないとか言われても困るしな。資産は当てにしてないぞ? どうせ無いのと変わらないくらいしか持ってないはずだからな。当たりを引いた冒険者が居ても、暫くは遊ぶんだろうし貯めている訳がないよな。
「それじゃあ、これをお願いします。全部換金で。後はこれですね。全部で214個あります」
「……あの。流石にこれだけ殺されると色々と言いたくなるんですけど、パーティーを見る限り自己責任ですしね。運が無かった人たちが居たという事でしょう。預り金はどうされますか?」
「同盟名義の所で預けておいてください。でも、どうせ大した金額を持ってないんですよね?」
「持ってないでしょうね。持っていたら、そもそも無限回廊になんて入ろうともしないでしょうから。普通に外の狩場の方が儲かりますし」
「石虫だと、そうなるよなあ。こっちとしては雑魚で助かるけど」
「一応受理はします。出来れば穏便にと言いたいところですが、無理でしょうから、精々死なない程度にやってくださいね」
「ええ。全部狩りつくすまではしないので」
どうせ2層目に行くしな。2層目にもあまり用事は無いので100層付近に行くんだけど。その辺に行かないと宝箱も渋いからなあ。当たりの確率もそうなんだけど、内容もな。当たりのマジックバッグとか容量が凄いからな。1層目だと精々8畳部屋1つ分くらいだし。
大当たりになってくると、コールスの町が入るくらいの容量があるんだよ。そこまでの容量が必要なのかって言いたくはなるんだけど。欲しい人は欲しいんだろうが、何に使うのかだよな。戦争で使うにしても、そこまでの容量は必要ないんだし。
そんな訳で、拠点に帰ろうとしていたんだけど……。エスメラルダは気が付いているだろうか。町中でも索敵を忘れてはいけない。普段は魔法名を叫んでいるが、魔法名は声に出さなくても使える。ただ、発動が遅くなるので、声に出さない方がデメリットになる時もあるんだよ。小声でも声に出す方が良いぞ。発動も早いし。今回みたいな使い方をしなければ、だけどな。
「なあ、エスメラルダ。気が付いているか?」
「んお? ……やれやれ、そういう事かの。気にしてはおらんかったの。やれも流石に町中ではそういう事はしないと思っていたの」
「なになに? 誰かついてきてるの?」
「ついてきているな。40人につけられている。先頭に2人。その後ろに38人だ。何処かで仕掛けてくるんだろう。問題は拠点の近くで戦うと、拠点がバレる事にある。流石に戦闘があったら近くに来てた人を引き付けるからな。拠点に攻撃をされると、色々と面倒になってくるんだよなあ」
「拠点が襲撃されるのは問題であるな。対処としては、このまま逃がさないというのが一番だと思うが」
「流石に索敵の範囲外からの介入は解らないし、エスメラルダ。上級魔法を使ってくれるか? 悪意と索敵の両方だ」
「そうするしかないの。クリドルウォートル! メゾソルトルシーナ! ……ふむ。38人を尾行するような事をしている者はいないはずだの。人は居るが、悪意は感じられん。悪意を隠蔽されておった場合は解らんがの」
「悪意に揺らぎがあるか?」
「まったくない訳では無いの。グレーから白に変わったりはしているが、黒では無いの」
「なら隠蔽されているとしたらかなりの上位の者になる。普通は白から動かないからな。第5紋章を2つ持ちで、かなり器用な人でないとそういう隠蔽の方法は無理だ。俺でも無理だな。魔紋章が合わない。揺らぎを作れるのは上級魔法だけだ」
「ほう。上位の者であった場合、そもそもだがてし共では相手になるまい。エルンストが辛うじてだろう。そういった手合いが居るのであれば、仕掛けてきているはずだ」
「ウルドーラのいう通りじゃないかしら? そもそも上位者であるのならば、私たちをつける間もなく殺すでしょうし。そういう手合いは1人では無いのが普通でしょう?」
「であるな。確実に同格の者がいるはずである。ならば、機会などを見る必要は無い。正面から勝てるのであれば、正面から仕掛けてくるであろう」
「俺もガストビのいう事に賛成だな。仕掛けてくる気がある上位者なら、間違いなく仕掛けてくるだろうし、こういった手下を使い捨てにするやり方を選ばないだろうな。手下が下手を打つと自分たちの存在がバレるんだから」
「てぇと、迎え撃つ訳だな。何処でだ?」
「うーん。拠点の近くは不味いんだよね? そうなるとこの近くならまだいいんじゃない?」
「我はもう少し離れた方が良いとは思うがな。今は拠点との中間地点だ。ここから当たりを引かれる場合も考えないといけないだろう」
「少しだけ離れるか。不自然にならない程度のルートに行く。俺が先行する。エスメラルダはそのまま索敵を続けてくれ」
「任せるの」
さて、お客さんがついてきているみたいなんだよ。もう少し治安が良くなると良いんだけどな。今すぐにとは言わないが、普通に生活出来るだけの治安が欲しい。
まあ、非人間の立場では難しいんだろうな。普通に生きたいってのが。何もしてくれないだけでいいんだけどな。それすらも許されないんだから、堪ったものではない。
冒険者ギルドを出てからずっとだったからな。冒険者ギルドが嗾けたとも考えられるが、そんなことをするのかって考えると、別の事なんだろうな。




