171話 勝手に転移陣作成、比較的無事な人を第二大陸へ攫い、人を入れ替え
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情報収集をした結果、この大陸はゆっくりと滅びを迎えている最中だと言う事が解った。既に他の農村も荒れ地になっている場所があったらしい。どうするか。こうなってくるとちょっとどころではなく難しい。今までの中で一番難しい問題だ。行きつくところまでいってしまったが故に、最後の手段に手を出し、文明が滅ぼうとしている。ここから立ち直らせるのは不可能に近い。既に怠惰な生活を享受している人を働かせるのは至難の業だ。
既に日本でも社会問題化していたって話もあったしな。ニートが親が死んだら餓死したって話は聞いたことがある。あそこまで行くと、生活保護を受ける気力も無くなるらしい。今まであったものが無くなって、絶望して、全てが終わったと錯覚する。そして、そのまま死を受け入れる。普通の神経をしているのであれば、生きようとするのだが、長年ニートをしていると、生きる方法が解らなくなるらしいんだよな。生活保護を受ければ良いだけだろうと思うかもしれない。だが、生活保護にも審査があり、資産を持っていてはいけないという縛りがある。
その縛りを解消するために、相続関係の放棄をするって事も出来るんだけど、それをするにしても個人で出来る人は限られる。というか、そういう気があるのであれば、生きることは可能なのだ。出来ないからこそ、その歳までニートという選択肢を取ってきただけに過ぎないんだよ。
さて国全体が、いや、この大陸全体がニートの山だとして、何処までの人を生かせばいい？ 全員を生かすことは無理だ。それは他の大陸まで悪影響を受けてしまう恐れがある。それは回避しなければならない。故に、人間であろうと非人間であろうと、処分しないといけない人間が出てくるだろう。それをして、どうする？ 何処まで持ち直せる？ その線引きは何処でしなければならないのか。働く気があるのはどのラインだ？
究極的な生き方をしている関係上、両極端になりがちなんだ。しっかりと働いている人か、何もしたくない人か。この2択なんだ。働いている人は居る。無限資源から食料を確保している人も必ず必要なんだ。それを配る人も必ず必要なんだ。それをする人は、最低でも1割は必要だと思う。となると、9割方の人には死んでもらう必要があるという事なのだ。どうせ生きていても何もしない、出来ないのだから、生かしておく意味がない。だって、これからは対魔王の戦闘に立ち向かっていってもらわないといけないから。ニートが戦力になるのか？ なる訳がない。口で魔王に勝てれば誰も苦労なんてしていないんだ。人類存亡の危機を何とかするからこそ、生き残れて良かったとなる訳なんだけど、そうなるくらいなら今から死んでも誰も困らないんだよな。
「そんな訳で、もうこの辺に転移陣を作ってしまおうと思う。国と交渉するだけ無意味になると思うからな。色々と考えようかなとも思ったけど、やっぱり無理だってのが解ったからな。この大陸は遅かれ早かれ滅びる。それを少しばかり手助けするだけだな。その後にこっちが良い感じに統治する。それで行こうと思う。多分だけど、1年くらいは必要になると思うんだよな。色んな処理で。面倒だろうとは思うけど、ちょっとここは時間をかけないといけないかなって思うんだ」
「しかし、無限資源で生活をするとはな。考えたことはあるのである。どれだけ良い生活が出来るのだろうかと。しかし、これがその末路なのか」
「生きる事に執着が無くなってんなぁ。そうしたら終わりだってのによぉ」
「そうね。必死に生きて、何とかするのが普通だもの。何もせずに生きているだけってのも、辛いのではないかしら？ それとも、慣れれば出来るのかしら？」
「てしらも同じようなものだった。教会からの施しで生きてきた。ただ、それでも今以上の生活をと望んていたのだ。切望していたのだ。それすらも無くなってしまったのか」
「生きるってさ、意味がなくなると途端に灰色になるんだよな。そこからはただ生きているだけになってしまう。明日の事を考えなくなってしまう。起きて食べて寝る。これの繰り返しになってしまうんだ。そうして、その結果がこの大陸だな。大陸全体が生きる意味を失っている状態なんだ。ここまでくると、一度生きる意味を失った人を全員殺した方が良い。沢山居ると、感染するからな。生きる意味を思いだす人もいるかもしれないけど、こういうのは駄目になる事の方が多いから、一斉に処分してしまった方が良いと思うんだよ。それから新しい大地をどうするのかを考えた方が建設的で早いと思うんだよな。生き残った人が居れば、その人も加えれば良いし」
さて、じゃあとっとと転移陣を作ってモリエラルト大公爵様と会議をしないといけないかな。ちょっとどころの話ではなく、面倒な話になるし、移民する大陸が1つ増えたんだから厄介でしかないんだよな。移民する大陸は2つの筈だったんだけどなあ。まあ、何とかなるかなって思うけど。時間が必要にはなるだろうけど、人口は足りているし、何とかなると思うんだよ。
まずは、比較的無事な人を第2大陸に移り住ませて、1年から2年間放置して、全員餓死させる。そうしたら掃除とか色々としないといけないことがあるだろうから、引っ越しの作業だよな。その時に第1大陸からも何百億人かは送り込むことになるのかね？ その位の人数は余っているはずだからな。今や第1大陸が一番人口が多いって事になっているし。
人間が多いのが玉に瑕なんだけどな。もうちょっと人口比が何とかなって欲しいんだけど。後はマーマンが意外に多いって感じか。非人間の中では一番多い種になっているからなあ。この大陸にマーマンがどの位居るのかは知らないけど。海は壊滅していないと助かるんだけどな。陸地は壊滅状態だから、どうなっているのかは知らないけど。
でも、この惨状をどうやって説明するのか、だよなあ。頭を抱えそうである。俺も抱えたいんだもの。統治者としてはもうね、最高に悩ましい事だと思うんだよ。どうするんだろうな。この状態からどうやって内政を持ち直させる？ 俺は1回滅んだ方が良いと考えたんだけど、何かしらの案があるかもしれないし。でも、働く気がない人をどうやっていくのかって疑問はあるよな。生きながらえされるだけでも面倒なのに。生産活動を全くしない人をどうやって扱えって言うんだよ。
俺的には死んでおけって感じなんだけどな。慈悲を見せる？ 見せてどうするんだって話だよなあ。慈悲に感謝を捧げて働くようになるのか？ 俺は無理だと思う。多分だけど感謝もされないと思うぞ。生きていることが当たり前になっていて、生かされているだけの存在が、生きる事に感謝をするとは思えない。理不尽に待遇が悪くなったと騒ぐだけな気がする。じゃあ死んどけよって思うよな。何の役にも立ってないんだから。
人間は経験値にもならないからな。魔物は経験値になるんだけど、人間は経験値にならない。なので、殺しても意味がないんだよな。じゃあ、勝手に死んでおいてもらった方が良いまである。野生化するかもしれないけど、したらしたで駆除すればいいし。生きる事を選択するのであれば、歓迎してあげれば良いしな。ようこそ文明人の国へ。歓迎しようじゃないか。
一先ずはこの辺で転移陣を作って、上の判断を仰ぐとするか。相談はした方がいいだろうと思う。何かいい考えがあるかもしれないし。俺は殺した方が良いとは思うけど、何かしらの解決策があるかもしれない。とりあえずは報告だな。今後どうしていくのかも相談だ。
