143話 エドレルファス神聖共和国を除き大陸統一、1年後貴族家決まる
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たった50日で大陸の殆どを平らげた俺達を待っていたのは、……原因不明の好景気だった。物が売れ、お金が飛び交い、作ったら売れるという好循環だった。
「まあ、解らないでもないけどな。好景気なのは良い事だけど、これは早く領地とその貴族を決めないと不味い事になるな。景気が良すぎても良い事はないんだよなあ」
「えー。良い事しかないじゃん。だってさ、今まで非人間がまともに働ける場所なんて無かったんだよ? でも今じゃ非人間も働かないと物が作れないってなって来てさ。しかもあの土と肥料が出回っているじゃん? いくらでも食料品が出てくるのに、売り切れてもっと作らなきゃってなっているんだよ? 非人間がちゃんと働けているんだから良い事だよね?」
「そう思うのである。われらの同朋も皆働けているのである。ちゃんと賃金も出ているのである。奴隷でもなく、非人間が働けるのは良い事であるな」
「それが、そうも言ってられないのよね。今まで貧困で喘いでいた層が、急に抜けた所に入っていって食えるようになったのは良い事なのよ。良い事なのだけれど、物が足りないと起きる事があるのよね。それが始まる前に貴族家を作り出して、世の中に出回るお金を回収しなければならないわ」
「お金を回収するのかの? 回収すれば、この景気は落ち込むの。それは良しとせんの」
「一概には言えなくてな。ありとあらゆる貴族家と既得権益をぶっ壊した結果、今まで貯め込まれていた金が世の中に出回ったんだよな。しかも大量に。まだ溢れている最中だしな。知っているか? 元領主館や豪商の屋敷から金品が盗み出されているんだよ。まだまだ景気が加熱していくと不味い事が起きる」
「てしはその辺には疎い。何が起きるのだ?」
「さぁな。悪いことがあるなら、さっさと何とかしねぇといけねぇよな」
「お金が世の中に溢れると、物価が上がるのよ。一番打撃を受けやすいのが食料品ね。それが倍の値段になったら、どうなるかしら?」
「物の値段が上がる、か。しかも食料品が上がるとなると、生活は苦しくなるな」
「……うむ。流石に今の賃金では同朋も食べるのに苦労しそうである」
「酒も上がるんだよなぁ? それはちょっとどころじゃなく困るな……」
インフレだな。まあ、よくある事ではあるんだけど、今まで滞っていたお金が、一斉に世の中に溢れ出したのだ。そりゃあインフレくらいは起きる。インフレが必ずしも悪いとは思わないが、ここまで通貨が溢れ出すと流石に不味い。
まだ人口を減らした分だけ救いがある。食料品が足りなくなるという事は少ないと思うからな。生きるために必要な食料、塩、水の値段が上がると、本当に取り返しのつかない事態に発展する。それを抑え込むには、税金で資金を回収する必要がある。銀行という手段も取れなくはないが、これは金利が発生する以上、それ以上に銀行が稼がなくてはならない。国がメルトリスラ王国とエドレルファス神聖共和国だけになった以上、交易で稼ぐのは厳しい。という事は、国内だけで経済を回す必要がある。そして、農作物は足りるだろうが、肉類。畜産業ではなく、冒険者が魔物を狩って、動物を狩って得ていた肉類が少なくなるだろう。恐らくは兵士も訓練と称して魔物を狩っていたと思われる。その食肉の供給量が減ったらどうなるのか。肉の価格が5倍、10倍に跳ね上がる。そうしたら、流石に人の生活に支障が出てしまう。動物性タンパク質は流石に採らないと不味い。
世の中には菜食主義者と呼ばれる人たちも居るんだが、その人たちですら、年に数度は肉類を食べている。筋金入りの人は植物性タンパク質だけで生きているらしいが、体質によっては死ぬんだよ。病院で嫌という程病院食を食べてきたが、その中にも必ず摂取しないといけない栄養素が詰まっていた。美味しくないとは思ったことがないが、両親から言わせれば不味いらしいので、味よりも栄養が優先されていたんだろう。
畑、海、狩場を総活用して何とか食料品の確保だけは維持しないといけない。値崩れを起こす勢いで生産しないと家畜にも食料が必要なのだ。家畜を飼っている所は少ないが無い訳では無い。ドロップ品だけで食べていけるんだけど、それにしたって限界がある。
そんな訳で急遽、この大陸全土に同盟拠点を作る事になった。色々とあるんだが、非人間の同盟という事はもう役割が終えたので、人間も同盟員としてがっつりとまではいかないが、入れる事にした。そして、50日間レベリングを行っていた人たちによる更なるレベリングを行い始めた。とりあえず、同盟員にした人数は、非人間25億人。人間10億人である。その位の数は確保しないとこの大陸の殆ど全土を掌握できなかった。まだ出来てない地域もあるんだけど、とりあえずは放置している。
食料品だけでもインフレを止めなければならない。そうしないと折角の人間と非人間が仲良く仕事をやっている今の状況が変わってしまう。それは避けなければならない。それと同時に、貴族も早く決めてくれ。税収を徴集しないと色々と不味い事になってくるんだ。通貨が流通しすぎて色々と狂う。全部自分のせいなんだけど、これは謝ったから許してくれと思う。貴族家に非人間も混ぜるとかそんな事を言っている場合ではない。逆に言うと、統率力があって、内政が出来そうな奴はどんどんと貴族にしていかないと、無税で楽して生活するだけの無統治国家になってしまう。早急に対応しないと不味い事になる。グテミエラ共産国の土地は、本当に放置するしかない。あそこは非人間の少数しか居ない土地になっている。あそこでインフレがどうのこうのは起きようがないので、とりあえずは残り8国の土地だ。幸いにもクッテシナ海国の領地の貴族は直ぐに決まった。そのほとんどをマーマンに任せたのである。流石に陸地では心もとないので、海と繋がっている水路がある所限定にはなるが、そうするしか方法が無かった。後は地球の陸地の10倍もの面積を誰に配分するのかを決めないといけない。
俺は当然のように拒否。同盟の盟主であるというのもあるんだけど、内政が解らない。書類仕事はやったことが無いので、どうしようもないんだよ。そう言うのは同盟の副盟主が得意とするところなので、引き抜いてもらって急遽の貴族家を立ち上げた。本人が喜んでいるのかは解らないが、形だけでも税収を採らないとインフレが加速しすぎてやばい。最低でも住民税だけでも採らないと本気でインフレが加速する。
そんな訳で、貴族家の面々が決まったのは約1年後だった。内訳としては、王族1、大公爵1、公爵20、侯爵150、伯爵500、子爵3300、男爵11500、準男爵55800となり、99%以上が新興貴族となる異常な事になった。そして、その結果、税が取られるようになり、インフレ率は35%までいったところで止まった。食料品だけは死守したつもりであったが、それでも肉類、畜産品は3倍まで値段が上がってしまった。暫くしたら供給が追いついてきて値段が下がるだろうが、もうちょっと時間がかかる。まあ、結果的に何とか歯止めがかかってよかった。
因みに、非人間の貴族率は60%となり、一番多いのはマーマンという結果になった。まあ、クッテシナ海国のあった場所の殆どがマーマンが治める土地になってしまったからな。それでも人間が40%も貴族をしているんだから、多いとは思う。まあ、人口だけで言えば9割が人間なんだから、これは仕方がない事ではあるとは思うんだけどな。もうちょっと非人間の子供が沢山産まれて来てくれれば良いんだが、相性の問題もあるからな。俺からは何とも言えない。




