142話 50日で南の端まで到達、道中の国は滅ぼした。
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さて、楽しい楽しい戦争の時間だ。弱きを助ける正義の時間だ。正義とは、己の願望を振り抜く力だ。この正義が正しいとも間違っているとも言えない。ただ、この糞みたいな世界には、こちらの方がまだ幾分かマシだと言う事なんだよ。結局はエゴとエゴと戦いでしかない。噛み合わない所があるのであれば、戦わなければならない。それが例え自分が間違っていようともだ。自分のエゴを押し通すには、相手のエゴを跳ね返し、叩き潰し、踏み越えていかねばならない。この戦争は俺の、俺達のエゴだ。それは誰もが解っていると思う。
「さあ、ここに集まった奴らは幸運だぞ。なんと、一番端だ。東端だ。つまりは、ここが一番遠いのだ。遠いという事は、戦争まで近いと言う事なのだ。見よ! 既に太陽は真上に到達しようとしている。開幕の合図が出ようとしている。諸君、戦争をするぞ。虐殺ではない。ただの虐殺では済まされない。大虐殺だ。人間を殺し、平民を殺し、女子供まで殺す。非人間以外の全てを殺すのだ。諸君らにはその権利がある。この糞みたいな国を滅ぼす権利がある。踏みにじられた非人間を、蹴とばされた同朋を、助ける権利がある。さあ、時間はもうすぐだ。あと少しで大虐殺の始まりだ。視界に入った人間は全て殺せ。索敵で引っかかった人間は全て殺せ。殺した分だけ、諸君らの楽園が作られるのだ。ここを非人間の聖地とする。その聖地を真っ赤な絨毯で染め上げよう。さあいくぞ! 大虐殺の始まりだ!」
「「「「「殺せ! 殺せ! 殺せ!」」」」」
「突撃せよ!」
「「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!」」」」」
毎度毎度士気を上げるのは良いが、指揮を執れるのかという所だな。暴走しても良いんだが、理性のある突撃にしてくれないものか。まあ、煽っている俺が言うのもなんだけどさ。とりあえずはついて行く。無駄にかけられてバフで音速を超えて走り去る。地面は抉れ、体にはもの凄い風圧がかかる。ゲームだとこれ以上の事をやっていたんだよな。リアルだと目が死ぬな。塵で目が潰れる。まあ、眼球まで強化されているので無事なんだけど。ただ、瞬きしたら別の場所に居るってのが怖すぎるな。対人戦の時とはまた別の怖さがある。リアルでこんなことをやるもんじゃないとは思うな。まあ、やるんだけど。
お、第一村人が粉砕されたぞ。魔法を使った訳でもないんだけど、ただの物理攻撃で死んだ。そりゃそうか。曲がりなりにもベルベリアリ装備で整っているんだから。物理影響力が仕事をしているのかは解らないがな。普通に音速を超えてぶつかってきた質量体に勝てるのかって話だよ。無理に決まっているだろう? 吹き飛ぶとかそんな可愛い表現ではない。粉砕されたのだ。戦斧の側面で叩いたのだ。何故に切らないのかとも思うんだけど、その分恨みが籠っているんだよなあ。
蹂躙するだけの仕事だ。慈悲も要らない。遠慮も要らない。ただ単純に殺しつくす。これはあそこで飢えて死にそうな非人間の分。これは農地で酷使されている同朋の分。そんな感じで徹底的に殺しつくす。それでいいんだ。それで間違っては居ないんだよ。今まで散々やって来ただろう? 今度は自分たちがそういう目に遭う番だ。今までの分を1回分にしてな。それで死んだから何だと言うんだ。つまりは死ぬようなことをしてきたんだろう? じゃあ、死んでも文句は言えないよな。それだけの事をしてきたんだ。え? 殺したこともある? じゃあ、1回で死ねて良かったね。1回だけ苦しんで終わりなんてなんて優しいんだろう。
結果的には、8日間で終わった。抵抗らしい抵抗もなく、ただひたすらに真っ赤に染めてきた。それで終われると思ったのか? グテミエラ共産国は終わったかもしれない。でも、ケイリエルド商国はまだ終わってないだろう? 西側に行くには邪魔なんだ。だから、死んでどいてくれないか? ああ、ただ死ぬだけで良いんだ。そこをちょっと通りたいから死んでほしいだけなんだ。抵抗するって? それは無駄だ。こちらはそれだけの戦力を整えてきたんだから。
ケイリエルド商国は、冒険者で有名な国だったのかもしれない。優秀な人間を排出してきたのかもしれない。けれど、非人間を粗雑に扱ったのが駄目だったな。それでは見逃せない。それでは許されない。だから死んでもらった。今回はグテミエラ共産国とは違い、商人を中心に殺しまわった。商人から商人へ。そして、関係した平民を殺しつくした。
冒険者もその中には含まれていたが、些細な事だ。非人間を人間として扱わない人間には等しく死を。今まで稼いできた分の利息を払ってもらわないと。その利息は命で支払ってもらう事になる。単純な事だ。非人間の命で稼いだ金を、自分の命で利息を支払った。簡単だろう? だから、今、君は死んだのだよ。数々の悪行が己を殺したのだ。罪? 罰? いやいや、それは神の領分だ。俺達はただお前の命のつけを回収しているだけに過ぎない。目には目を、歯には歯を、命には命を。対価は等価でなければならない。
残酷な対価の回収者がケイリエルド商国を混沌に落とすまで、12日間の時間を費やした。殆どの平民は生きている。ただ、非人間を奴隷として扱っていた人間が死んだだけだ。ただそれだけの事である。俺達は何も間違ったことはしていない。
さて、次はエガム王国だ。ここも非人間を家畜化している国で、ケイリエルド商国に売り払っていた国である。判決は? 死罪。よって殺す。無関係の平民は放置。ただ、牧場を経営していた村は徹底的に潰した。隣にも大罪を侵した国がある。ジュモロン王国だ。ついでに一緒に地獄へ落ちろ。非人間を奴隷にして酷使してきたのだ。自分が殺されないという事はない。非人間を人間扱いしていれば、死ななかった命だ。自分が蔑ろにした分が返ってきただけだ。そうだ。感じろ。非人間が感じてきた絶望を。痛みを。一切合切何もかをも感じろ。そして、死んで逝け。
僅か1か月。36日の間に、4つの国が地図から消えた。あり得ない何かが起きている。あり得ない事が起きている。ズーラミエフ王国は警戒度を上げようと王都に伝令を走らせた。ケイリエルド商国で何かとんでもないことが起きていると。対策を練らねばならない。今後の方針を考えなければならない。そうして伝令を向かわせた。最速で向かわせたつもりだった。しかし、伝令は王都にまで辿り着けなかった。途中で理不尽なまでの暴力に襲われたからだ。王都まで後65日という所で、伝令は天地がさかさまになる光景を目にし、そして、暗闇に呑まれた。既に息は無く、ただ骸が街道に転がっていた。
理不尽な暴力は次から次へと全てを飲み込み、50日も経った頃には、南の端まで食い散らかしていた。圧倒的な力の前に、全ての障壁はなすすべもなく破られ、防壁が破壊尽くされ、人間までもが喰われていった。ただ、無差別に襲われた訳では無い。非人間を害する者が徹底的に狙われただけだ。見るも無残な光景がずっと続く。しかし、それも今までの行いが全て悪かったのだ。1度でも非人間を助けたことがあっただろうか。あったのであれば、それらは慈悲をくれたのだろう。ただ徒に命を捨てずに済んだだろう。後悔は必ず後にやってくる。悔いるのは必ず後なのだ。それが運命。その人間の命なのだ。
そして、全てが終わった時に、俺が言われたことがこちら。
「はぁ。やり過ぎだ馬鹿者め。少しは加減というものを考えろ。処理するこちらも大変なのは、同盟を運営しているおまえにも多少は解るだろう? ん?」
はい。すみませんでした。




