14話 戦利品を剥ぎ取る
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潜伏して少ししたら、その集団がやってきた。剣を持って、槍を持って。弓は居ないし、銃なんてものは存在しない。銃があったら対人戦は銃で決まりになっていただろうからな。生産職でも作れない事になっていたんだよ。そもそもの話、火薬すら作れないんだから仕方がない。
「ここで痕跡が消えた!? 何でだ!?」
「おい騒ぐな。近くにいる可能性もあるんだぞ?」
「あいつらを殺せば大金が手に入るんだ。焦るなってのも無理があるだろ? 多少は大丈夫だろ」
「だが、なんで痕跡が無くなったんだ? それが問題だろう?」
そんなの決まっているじゃないか。君たちを待っているのだよ。ここにきて慈悲なんてものはこちらには存在しない。やることも決まっている。後は、ジスレアが良いと思ったタイミングで魔法を使うだけである。そうしたら行動を開始する。それまではじっと待機だ。
作戦は簡単に言うと、ジスレアが先制攻撃で中級魔法をぶっぱする。同時に4発まで撃てるから4人に早々と退場してもらう。
そうしたらガストビに中級結界を張ってもらう。もちろん退路にだ。退路を無くす。それがガストビの役割だ。退路が無くなったらどうなるのか。もちろんだが、混乱するだろう。その混乱の隙にジスレアがどんどんと削っていく。それで全員が狩れたら簡単だったねで済む話だなんだけど、そうも言ってられないと思うんだよな。
方々に散る可能性がある。ガストビの中級結界では3方向を閉じるつもりだ。残り1方向を開けておかないと、ジスレアが魔法を撃ちこめないからな。方々に散るんだから、こっちにも来るだろうというのが俺の予想だ。そうしたら俺が出て逃げ道を塞ぎつつ、殺していく。魔物よりも簡単に死んでくれるのが人間なんだが、魔物と違って経験値が入らない仕様なのと、死体が残るから面倒なんだよな。冒険者ギルドのギルド証は回収しないといけないし。
義務ではない。が、した方がメリットがあるのでするだけだ。死体あさりなんてしたくはないんだけどな。面倒だし、汚れるんだよ。どうせ金も大して持っていないんだろうし、やるだけで損なんだよな。時間を返してくれと言いたくなる。熟練度しか上がらないとか、なんで人間はこんなに殺してもうまみが無いんだろう。
考察としては、人類同士で争うなかれという事なんだろうと思う。まとめサイトの議論でもそうだったしな。人間を殺してもメリットが少ない。それだけで人間は争う事を止めるのかと言われたら、止めないだろうな。ウォークエストもあるんだ。シミュレーションAIも、人間が争わないという選択肢を取れない事を理解していたんだろう。俺も止めるつもりはないんだけど。
「アカポルガ!」×4
ジスレアが中級魔法を放った。あれは毒属性のアロー系魔法だな。毒属性とはいやらしい攻撃だ。当たったら死ぬんだが、死ななくても毒状態になる。ちなみに、薬の解毒剤で解毒は可能だ。毒状態事態が下級の状態異常なんだよな。強力な毒属性はあっても、強力な毒は存在しない。そういう法則なんだよ。ちなみに、毒が今回は下級だっただけで、毎度おなじみランダムである。世界が変われば毒は上級の状態異常になることもある。
「うわああああああ!?」
「何処から飛んできた!? 何処から狙われた!?」
「それよりも何で気が付かれたんだ!?」
そりゃあ、索敵用の魔法があるからに決まっているじゃないか。教えてあげないけど。結構前から気が付いてましたよ。やるのであれば、責めて隠蔽魔法くらい使おうな。ジャミング系の魔法も使おうな。相手をごまかしたりしないと意味が無いんだぞ? 解っている襲撃程、簡単な事は無い。これで数が100人くらいいるのであれば、多少は苦戦したかもしれないけどな。
「ふむ。ドンククリオ!」×4
逃げ道を塞いだが、逃げるって行動をしないな。何で言い争いをしているんだろう。自分たちの死期に気が付いていないのか? 既にその場は死地である。逃げないといけないのだが、言い争っていてそれどころではない。何故だ? 何故に逃げない。それだと死ぬだけなんだけど、良いんだろうか。良いからそんなことをしているんだよな?
12人沈んだ。多分だが死んでいると思う。なのにまだ逃げない。泣きながら罵り合いをしている。これは、思ったよりも襲撃者が愚かだったパターンだな。いやー、流石にそこまでは予想が出来なかった。普通に考えたら逃げるだろう? 一応だが、生命に危機を感じているはずなんだがな。
悪い予感がしたときは逃げるのが良いぞ。駄目だと思ったら引くのも勇気だ。まあ、逃がさないんだけどな。16人か。まあ、次で終わりだが気は抜かない。全員の死亡が確定するまでは気を抜いてはいけないんだよ。防御魔法で生き残っている事もあり得るからな。
そして20人。全員が倒れた形になる。さて、ここからやることは1つ。確実に止めを刺すことである。6人分の護身用ナイフは買ったからな。1つ100トマスの安物だ。だが、今回はこれを使わない。これを使わなくても良いからだな。だって、こいつらが武器を持ってきただろう? それを使えばいい。護身用のナイフは白金製だ。本当の安物なんだよ。
とは言いつつも、こいつらの武器も全部白金製だな。剣も槍も。弓だけは違うけど。矢じりは何の角だろうか。それとも牙か? 良いものは使ってないな。もちろんだけど、これは持ち帰るからな。戦利品を持ち帰らない馬鹿が何処にいるんだ。今日の探索はこれでお終いなんだから、換金できるものは全て持ち帰るつもりだぞ。
服は無理。1トマスになるかどうかの所だし、血みどろになる予定だからな。そんなものは売れない。ぼろ雑巾にもならない。価値のあるものを持っていればいいんだけどな。そんなのは期待するだけ無駄なんだ。大人しく冒険者ギルドのギルド証を取ってしまうとするか。
肩甲骨あたりを踏みしめて、首をぐさり、そして切断。これで死ななかったらこいつは人間じゃない。生きている可能性はあるけど、ここから生き返るには上級魔法が必要。というか、生き返る魔法は存在しないんだけどな? 生き返る可能性があるのは、首を斬られて、脳死する前に首を繋げてもらった時だけだ。こういう場合は既に死んでいるから生き返らない。
そして、首にあったギルド証を回収する事が求められる。何があったのかの事情説明もある程度必要だけど、まずはギルド証を回収しないと証明にならないからな。確実に死んだという証明が必要なんだよ。
こいつらの預け金も貰えるからな。1か月後にはなるけど、もらえる事にはなっている。なっているけど、こいつらランク2か。俺たちと同じじゃないか。ランク2は、依頼を10回熟せば何事もなく上がるんだよ。つまり、新人ではないが熟練者でもない。真面目に仕事をしていれば、ランク3になっていてもおかしくは無いんだけどな。
ギルドが頑張っていると認めたら、ランク3に上がるんだよ。具体的に言えば、3日に1回の冒険者業で3か月くらい頑張れば、自動的に貰えるはずなんだよ。真面目じゃなかったのか、成果が思ったよりも上がらなかったかだな。
索敵魔法も使えないみたいだし、成果が上がらなかったんだろうな。借金もまだ返せてない可能性もあるんだけど、そんな金額も返せない様な冒険者をランク3にはしないだろうな。
「ギルド証は集まったか?」
「多分これで全部じゃない? こっちは8個あるよ」
「わしの方は6個である。後6個持っているのではないか?」
「ああ、こっちも6個だ。20人も居て、何もできないってのも悲しいな」
「終わったのだ? こっちは戦利品を漁っていたのだ。めぼしいものは武器しか無いのだ」
「全員が全員、大したものは持っていませんでした。本当に何もないですわね」
「そりゃあ人を襲うような奴らが、金を持っとるとは思えんけどな? うちらも有名になったってことかいな?」
「有名でしょうね。何せかなり稼いでいるのだから。冒険者になる人の中でも、こんなに稼ぐパーティーは少ないと思いますわ」
「悪名じゃないだけマシじゃない?」
「悪名って、俺たちは何も悪いことはしてないんだけどな?」
「普通はこうはならないのである。もっと苦戦し、食うだけで精一杯なのである」
「せやな。ここまで何でも魔法でやるやつはそうはおらへんで? このパーティーが異常なだけや。もっと言えばエルンストが異常なだけや」
酷い言い草だが、否定できない。何せこの世界の人たちは魔法をあまり使わない。魔紋章もあるはずなのに。使いこなせよとは思うんだけどな。別に構わないけど、もうちょっと何かあってもいいんじゃないかとは思うぞ。多分、平民が知らないだけなんだろうと思うけど。




