127話 第4王子へ派遣の護衛決定、通行証の書状、モリエラルト公爵領へ
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「人選に時間がかかると思ったんだけど、思いのほか居るもんだな。まさか即日決まって、手紙が来る前に皆が揃うとは思わなかった」
「あらあら。それだけ重要だと思っているからよ。第4王子派は、非人間を普通に扱おうとしているんでしょう? それだけでも大きな理由になるわよ。エルフで構成するのは悪くはないと思うし、遠目から見たら解りにくいのも良いわね。でも、この編成で良かったのかしら?」
「問題なしだな。暗殺の手段には幾つか方法があるが、直接殺しに来るのが一番怖いって解ったからな。第1紋章2つ持ちを多く配置しておくことは必須だ。それと感知できる第5紋章も増やしておくべきだし。20人の枠が簡単に決まってしまったんだよ」
「あらあら。でも、それに答えられる人材が居るのもこの同盟の強みよね。数も凄い数になって来たし、今の所、全部で約200万人だったかしら? よくそれだけ集まったわよね」
「というか、これでも人間の30分の1も居ないんだから、どれだけ大きいんだって話になってくるからな。まあ、多いに越したことはないんだけどさ」
そうなんだよな。同盟全体で200万人を超えるくらいの人数が集まっているんだけど、それでも人間の数を考えると、人口で約3%って所なんだよ。少なすぎるというよりも、ヒルストン伯爵領に人間が多すぎるんだよな。非人間がどんなに冷遇されていたのかが解る数字であると共に、人間の繁殖力が凄まじいとも言えるんだよ。
人口密度的に考えてもおかしな数字だよな。まあ、それだけ広いって事なんだろうけど。でも兵力としては、どんなに頑張っても5億人しか集まらない。もっと居ても良いと思うんだけど、そんなに集めると、今度は農村が死んでしまうからな。農民もある程度は残しておかないといけないし、でも、5億人で全部の土地を占領できるのかって不安もあるんだよな。足りないことはないとは思うんだけど。
今後の事も考えたら、数は欲しい。なので占領は必須なんだけど、必須なんだけどって所だよな。都合よくいくのかね? 勝てると見込んで色々とやらないといけないことが増えてくるんだけど。まずは平民の意識改革から始めないといけない可能性があるんだよな。あの広大な土地を全部意識改革できるのかって話になってくるんだけど、割と大丈夫な気がしているんだよな。
平民は基本的に、偉い人の言う事を聞くものなんだよ。だから表面上は仲良くするそぶりをすると思う。内心どう思っているのかは別としてな。でも、非人間の殆どが冒険者になる予定だからな。そうなってくると関わり合いがある人も少なくなる。それと、無限回廊産の宝物で商売を始めるからな。商人と言えば、非人間って意識にもなってくれると有難い。そうやってじわじわと浸透工作をやっていくしかないんだよな。特に村なんかは、非人間の差別が一番厳しそうなんだよ。村ってあんまり外との交流が無さそうだもんな。
まあ、まずは第4王子に生き残って貰わないといけないので、護衛は必須だ。後は戦場をどうやって選ぶのかだよな。何処でも良いんだけど、面倒な所もあるだろうしな。どうやっても逃げられないようにするには、徹底的に滅ぼすしか無いんだけど、難しい所だよな。最悪でも貴族は皆殺し確定なんだけど、どうしたものかね。作戦の通達も後でしっかりとしないといけないので、資料を沢山作らないといけないだろうな。また第5紋章持ちに手間をかけさせるが、第5紋章ってそういう紋章だから。諦めて貰うしかない。
「とりあえず、第4王子の護衛は任せるから。モリエラルト公爵様の兵士も50人居るって事だし、上手くやってくれとしか言えない。だが、色々と話せない事もあると思う。それは死守するように。まだ確実に味方だと判断できないだろうからな。それはお互い様なんだ。でも、仲間割れは止めてくれよな。第4王子を守るって判断では同じなんだから。頼んだぞ?」
「「「「「「解りました」」」」」」
「あらあら。それじゃあ、手紙待ちね。手紙もいつ来るのかしら?」
「今日中には来ると思うけどな。手紙をもって、モリエラルト公爵様の所に行って、直接交渉を付けてくる。そして、護衛の話をして、そこからだよな。戦争に向かって準備をしてもらわないといけない。勝てる戦いなんだ。モリエラルト公爵様の出方次第だけど、勝つのであれば今しかない。第1王子派が何かを企んでいるという事は解り切っているんだから、その動きをされる前に戦争をして、終わらせないといけないと思うんだよ」
「あらあら。それじゃあ責任も重大ね。皆も頑張るのよ? エルフの力を第4王子に見せつけるのよ。有能だと思われる働きをして頂戴。死ぬことは許されないわ。死ぬときは皆と滅びる時よ。今はまだ死ぬ時ではない。生きて私たちの旗印を守り抜くこと。解った?」
「「「「「「解っております」」」」」」
おお、フィオーラさんが凄いオーラを放っている。エルフって年功序列というか、年上に敬意を払うというか。なんかそういう感じなんだよな。若く見えるんだけど、これでも900歳を超えているというのだから驚きだ。全然見えないんだけどな。もうちょっと生きるらしいし、長寿だよな。その分子供も生まれないらしいけど。生まれやすいのは獣人だ。結構数が多いんだよな。双子や三つ子も多いのが獣人だ。人間よりも寿命が長いため、そこまで子供をってならないらしいんだけど。
その所為もあって、肉壁に使われるのは獣人の奴隷が多いんだけどな。まあ、そもそもが質よりも数って感じだから、非人間であればなんだって良いんだけどな。その辺、徹底されているって感じだ。奴隷の肉壁なんて戦法はありきたりなんだよな。でも、確実に効果があるからそういう事をやっている訳で。面倒なんだよな。そういうの。色んな意味で。
「失礼する。ここにエルンスト殿が居ると連れてこられたのだが……」
「エルンストは俺です。という事は、ヒルストン伯爵様からの手紙が届いたと思っても良いのですか? その持っているものが、モリエラルト公爵様への手紙と受け取っても良かったでしょうか? 2通ありますが」
「そうですね。1つはエルンスト様宛です。こちらがその書状になります。こちらがモリエラルト公爵様への書状になります。後は、向こうからも手紙を預かってくるようにと言われているのですが?」
「俺宛て? まあ良いか。後で読ませてもらう。それで渡す手紙はこれだな」
「解りました。要件はそれだけです。では失礼する」
俺宛ての手紙ってなんだろう? 何か話し忘れた事でもあったんだろうか? とりあえず中身を読んでみるか。
……ああ、成る程な。そういう事か。俺への手紙ってよりも、この手紙を見せてモリエラルト公爵様への連絡を取って貰えって事なんだな。通行証みたいな感じだ。簡単に言うと、同盟〈光る原石〉の盟主であることを認めるってのと、信用できる奴だからあってやってくれと言う事なんだよ。確かに、控室で待たせてもらうってのはある程度同盟としての格が必要になってくるだろうからな。普通はアポを取って何日か待たされてって話だもんな。そんなにすんなりと行く訳がないんだよ。
では、準備は出来たな。これで持ち物も揃ったし、人員も揃った。念のための護衛と付き添いも揃った。じゃあ、出発だな。向かうのはモリエラルト公爵領の領都だ。そこに行ってから、色々と行動をすることになるんだろうな。さて、向こうでは何が起きるのかだよな。何も起きないと良いんだけど。




