120話 戦場の全非人間奴隷を列車に送り、結界で退路を塞ぎ、敵兵全滅へ
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「我らはエラミルダ伯爵家の者である! 無情にも第3王子の言葉を聞き流し、第2王子の傀儡になったクロマトル伯爵家を滅ぼすものなり! 裁きの鉄槌を喰らわせてやろう!」
「こちらはクロマトル伯爵家の者である!第3王子の言葉は聞くに値せず! 第2王子こそ至高と考えよ! 国内で争いを起こす逆賊にこそ鉄槌を与えてやろうぞ!」
「「かかれええええぇぇぇぇ!!!!!」」
「「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」」
「作戦開始だ! そして作戦も変更だ! 敵味方両陣営の非人間奴隷を解放せよ! 総数はざっと10万! 救える命は救っていくぞ!」
味方にも普通に非人間奴隷が居る件。それは頂けない。それは勿体ない。なので、貰う事にした。全部掻っ攫う事にしたのだ。……一応、こういう時の為に作戦の変更はあり得ると言っておいたのが功を奏したな。こんな状態では見過ごせない。肉壁なんか認めない。まずはそこから撤去してしまおう。時間がかかる? そんな事はない。バフをかけて命令権を奪えば案外簡単なんだよな。奴隷を使うのであれば、命令権を奪われないように第8紋章2つ持ちを戦力に加えておかないと。そこからは魔力影響力による綱引きになるんだよ。まあ。勝つことは解り切っているんだが。
「解放せよ! 解放せよ! 解放しろ!」
「そらそら! 次に続けよ! 非人間奴隷は全部こっちに寄こしやがれ!」
戦場は大混乱を極めた。敵勢力の非人間奴隷の数は7万程度。味方勢力の非人間奴隷の数は3万程度。それが何故だかクロマトル伯爵軍の右翼に流れていく。しかも圧倒的な速さで。そして、そこにあるのは、無駄に客車を繋げた列車だ。それも沢山。10万人くらいなら乗れてしまう。それだけ無駄に沢山作っていたのだ。将来的に使う予定だったので、今作っておいても良いよねという気まぐれで作ったものではあったが、こんな所で役に立つとは思わなかった。
30分もしない内に、何故か非人間の奴隷が戦場から居なくなり、戦場は硬直してしまった。いつもと違う光景を見ながら、戸惑いを隠せない兵士たち。それに指揮官たちも唖然としている。今が好機のはずなのに、いつもと違う事が起きたせいで何も考えられなくなってしまったのだ。
「ぼーっとしているとか、的でしかないな。作戦1は成功だ。そのまま作戦2に移行する。後方結界用意! 逃げ場は塞げ! そして、連射だ! 下級魔法を連射せよ!」
敵陣に襲い掛かる魔法。エラミルダ伯爵家が得意とする戦法だ。大量の英雄紋章持ちによる飽和攻撃。それが持ち味なのだ。だがそれを敵軍がやってきたらどうなるのか。否、自軍の弾幕よりも濃い弾幕を受けて、どうなるのか。そんな事は解り切っている。
阿鼻叫喚の嵐がやってくる。悲鳴をあげ、逃げようとする者が多数現れ、左翼が崩壊していく。連射が得意なものが弾幕を担当し、少数の偏差射撃が得意なものが逃げるものを討ち取っていく。死体が積み上がり、恐怖は伝播していく。そして、伝播した結果、前進するという暴挙に出始めた。
これは一種の洗脳に近い。今から戦争をするぞと思っていた人たちが最後に命令されたものに縋りつくという行動に出たのだ。それにより乱戦が起きる。そして、魔法が飛ぶ。いつもであれば、肉壁である非人間奴隷を使っているのだが、今は人間の兵士が前線に居る。それにもかかわらず、魔法を放っていく。いつもは同士討ちを気にしなくても良いのだが、今回は違う。しっかりと味方を撃ち抜いてしまうものも現れてしまう。
「想定外に慣れてなさすぎだな。戦争は想定外が7割だ。想定内の動きしかしてくれない訳では無い。だから、しっかりとその7割も想定内にしておく必要がある。まあ、今の所こっちの想定内で物事は進んでいるが、どうなるだろうな。味方を無視した魔法攻撃は強いってのが解る光景だ」
下級魔法だから出来る事である。これが中級魔法なら、味方の被害が大きすぎてどうにかなる所なんだけど、向こうは下級魔法しか使っていない。声は拾っているぞ。詠唱している魔法に心当たりもあるし、なんならこっちも使っている魔法もあるしな。半分くらいは、効率が余りよろしくない魔法群なんだけど、検証が進んでないのが丸わかりだな。
楽勝という感じである。というか、作戦2からはどうなっても良いのである。作戦1が想定内で悪い方向に振れはしたが、あくまでも想定内。その位は対処できる。そして、俺たちの目的は既に達したのだ。後は消化試合である。クロマトル伯爵家が勝つことは絶対条件なんだが、兵士の損害を0にしろとは言われていない。むしろ100%の損害を受けて、貴族しか残りませんでしたってのが最上なんだよな。今後の事も考えれば、そうなってくれる方が手間が省ける。どうせ後々になって対立するのだ。今対立しても問題などない。遅いか早いかの違いなんだ。早い方が良いだろう? 後7年強の命だ。そんな奴らの命なんてどうでもいいな。
「第1紋章持ち! 突撃しろ! 後方を攪乱と共に、捕虜を確保せよ! 後ろに回り込め! 魔法連射班! 誤射はするなよ!突撃のための道を開けておいてやれ!」
作戦3を実行する。左翼は全壊。既に機能していない。ならば作戦を進めてしまう方が良い。このままだと、普通に指揮官クラスも殺してしまいそうだからな。余裕過ぎてあくびが出てくるな。こんなに簡単で良いのかってなってくる。まあ、良いんだけどな?
暇そうにしているのは第7紋章持ちたちもだな。一応だが、回復をしないといけないので、無駄打ちはするなと言ってあるんだけど、回復する事も無いな。これだけ一方的だとむしろ清々しいまである。一方的過ぎるんだよ。ここまで弱いのかって言いたくもなる。もっとどうにかするべきだろうに。第10紋章なんかを崇めているからこうなるのだ。
いや、第10紋章持ちももう少しちゃんと運用すればこんなことにはならないはずなんだけどな? 俺が使うのであれば、もう少し何とかなると思うんだが、何故にこうなるのかね? 単純な行動しか出来ていない。まあ、想定外の事態に備えていないという事がよく解ってよろしい。普通は備えておくべきなんだよ。
全体で見ても、そろそろ半壊と言っても良いんじゃなかろうか。逃げ場は無いので、壊滅どころか全滅させるんだけどさ。圧倒的な火力差があると、こうなるよなって感じだ。こんな簡単なウォークエストがあっても良いのかってなるな。あるんだから美味しいけど。報酬は既に受け取ってしまっているので、それ以上の仕事をしないといけない。流石に下回る様な戦果では申し訳ないからな。きっちりと20万人の兵を全滅させてやるのだ。
流石に冒険者は使えないからな。普通であれば、冒険者も連れてくるのが戦争なんだけど、内戦だし。冒険者を戦力と数えれば、もっと数を用意できたんだろうけど、兵士だけなら20万が限界という所なんだろうな。もっとも、それはクロマトル伯爵家も同様なんだけど。16万って所なんだよな。俺たちも含めて。多分だけど、他の隣接の領地貴族にも援軍要請をしているんだろうと思う。それでも10万しか集められていないというのが不味いだろう。
いや、そうか。向こうも第1王子派から兵士を借りていたんだったな。確か非人間排斥主義者が何人も入り込んでいるって話だったからな。両者ともに兵士を借りての全力戦争。で、この程度。悲しくなってくるな。ヒルストン伯爵家もそんなもんなのかね? でも、派閥の兵力で言うと、5億人はだせるって話じゃなかったか? なら伯爵家は500万人くらい出せないと。
……ああ、まあ、そういう事なんだろうな。戦場に入りきらないし、そもそも自軍の兵士を損耗させたくない。だから他貴族家の助けを借りている訳か。そうすれば自分の所の兵士は減らないし、周辺貴族家は弱体化する。金で解決できるのであれば、その方が賢いか。




