109話 大魔の森狩りは100レベル必要で消す。1006レベルの覚悟
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「ねえ、エルンスト。弱くない? これで生存者無しってやばくない?」
「ああ、やばいな。これで生存者無しはやばい。いやまあ、魔物的には生存者が居ない理由は解ったけど、それでもやばい。これは、想定を大きく下回って来たな」
そう、弱かったのだ。最小グループが4体とか激ヤバ案件だろうと思っていたんだけど、蓋を開けてみれば、まあ酷かった。普通の悪魔じゃん。これで生存者無しは逆におかしいだろう。確かに強いんだよ。最小グループが4体って設定されているから弱い訳がないんだよ。でもさ、全滅しかしてないってのは、どう考えても話を盛っただろうと言われても仕方がない。
まあ、最初のグループに近づいて行ったんだけど、まずもって気付かれない時点でおかしいな? って思っていたんだけど、見た瞬間に確定した。あ、これは警戒しすぎたパターンだったんだなって。だって、ラインナップが普通の悪魔系の魔物なんだもの。
オルトロス、マルコシアス、オセ、ムルムル。この4体が大魔の森の第1層に居た。いや、解るんだけどさあ。想定している悪魔よりも5回りくらい弱かったんだよな。何でこんな所を警戒していたんだろう。これ、最深部に行っても、大罪系の悪魔も、ベルゼブブも出てこないんじゃない? オルトロスは幻獣だろって話もあるんだけど、それは置いておく。幻獣と悪魔のカテゴリーなんだからしょうがないだろうに。でも、何で生存者が居ないのかがよく解った。
オルトロス、マルコシアス、オセは動きが速い系統の悪魔なんだよ。現実? 知らん。このゲームではそうだったんだよな。速いから逃げられずに死んでいったと思われる。そしてムルムル。こいつは、デバフを使ってくる系統の悪魔だ。完全におっさんの悪魔なんだけど、何処かから音楽が流れてきたと思ったら、素早さや重力関係のデバフがかかるんだよな。正面から戦う分には何の問題も無いんだけど、逃げようと思うと面倒な悪魔である。
なので、この戦力だと過剰なんだよな。むしろ中級魔法で倒すだけの余裕がある。上級魔法を使うまでもないんだよな。結界で誘導して、中級魔法を打ち込むだけ。無効にしてくる系統も無いし、本当に何で警戒してたんだろうって感じになってしまった。
数戦した結果、消すことを選択。これならスタンピードもそんなに怖くないと思うんだけど、それでもこのラインナップでは狩りのやる気も起きないので、変更。オラオよりは……どっちが良いかと言われたら、まだオラオの方が良いのかもしれない。向こうの方が弱いし。こっちは中途半端に強いので、問題しかないんだよなあ。同盟員のレベル上げには良いのかもしれないけど、最低でもレベル100推奨だな。それで負けるようなら知らん。
そんな訳で、同盟拠点に戻ってきたんだけど、無限回廊組はまだ帰ってきてないらしい。最前線を走っているだけあって、皆のレベルがもの凄い事になっているらしいんだけど、まずもって無限回廊大好き組みなんだそうだ。その中でもリーダーである今回の彼? はもの凄く、その、もの凄いらしい? よく解らないけど、なんか凄いらしい。
と言うか、パーティーも曲者揃いで、全員が同魔紋章2つ持ちで、リーダーが第5紋章、その他が第1紋章、第2紋章、第7紋章、第8紋章、第9紋章となっているんだと。バランスがいいな。崩れるところが無いくらいだ。ゲーム時代の無限回廊攻略パーティーの基本形みたいな感じだ。火力的に問題も無いと思うし、物理魔法以外反射してくる奴が居ても、第1紋章を連れて行っているからな。まあ、戦えるだろう。ベルベリアリ装備一式を身に着けているので、第4紋章持ちが居ても良い気がするが、特化しているよな。より深い階層に行くための構成って感じがする。
で、無限回廊についてだけでなく、他も凄いらしく、一言では言い表せないと言われてしまった。うーん。会うのが怖くなってくるな。無限回廊廃人って、会話が出来ないってイメージは特に無いんだけど、寡黙ってイメージがあるんだよな。それを伝えたら、真逆だと言われてしまったが。良く喋る無限回廊廃人って何だろう?
イメージ的には、陰キャがひたすらに先へと進んでいくイメージなんだけどなあ。俺? 俺は陰キャだよ。当然だろう? けど、無限回廊よりもタイマンに重きを置いてただけだから。基本的にソロプレイ。合金を作りに行くときだけ、臨時でパーティーを組んだりもするけど、基本はソロだ。友達が居ないからな。
で、陽キャがやるとなると、パーティーを組んでボイチャでわいわいやりながらって感じではなかろうか。陰キャはパーティー組んでも必要以外は喋りません。空気を読んで周りに合わせるプレイングが得意なんだよ。フルダイブ型のゲームなのに、会話しないってどういうことだよって思うかもしれないが、そんなのだぞ? 共通の話題ってゲームの話しかないし。
その夕方、無限回廊から帰ってきた人たちがぞろぞろと。宝物を受付で鑑定しながら記入、記録に残し、マジックバッグに仕分けしていく。ここって、無限回廊専用のギルドだったのか? って感じがするぞ。なんか列になっているし。こんな感じだったっけ?
そんな感じで列を消化していると、突然、大声で帰ってきたと報告をするパーティーが現れた。
「ふぅーははは! 吾輩帰還! 遂に! 遂に遂に遂に! 835層まで攻略した! ふははは、ふはははははは!」
「「「「「おおー!」」」」」
「苦節4日! 遂にやり遂げたぞ! 次は840層に向かうのだ! ふはははははは!」
……おう。エラメラだな。しかもなんかマッドって感じの奴じゃないか? 廃人ではなく、狂人なのか? それは、ちょっとどうなんだろう。でもまあ、狂人でないと死ぬかもしれないって言われている神降ろしの宝玉を使ってもいいなんて言わないだろうしな。まあ、良いか。狂人であっても無碍には出来ないし。同盟員だしなあ。
「忙しい所悪いが、俺が盟主のエルンストだ。はじめましてで良いよな?」
「おお! 貴方が神か! 吾輩はクレイダーナー! 灰色の世界から! 何もない世界から救い出してくれた神よ! 吾輩は待っていたぞ! 見てくれ! 今日もまた1つ! 神降ろしの宝玉を手に入れたのだ! これは今日使えと! 神降ろしの宝玉が言っているのである! ふはははははは!」
狂人でも無かった! これはあれだ、狂信者だな。しかも俺が神になっている。ああ、なんだか関わってはいけない何かに関わってしまった気がするが、まあ、信者くらいはよくある事だよな。
「神はこれから呼ぶんだからな? 俺は神じゃないぞ。まあいい。レベルは幾つになったんだ? 確か900を超えているという話だったと思うんだけど、そのレベルを捨てても良いと思っているんだな? 死ぬ可能性があるんだが」
「なら現人神か! 10柱の誰でもなく! 新たなる神が! この世に現れたのだ! そう! そして! 吾輩のレベルは遂に! 1000を突破したのである! 4桁には届かないのかと思われていたが! 吾輩が! 突破したのである! レベルは1006である! ふはははははは!」
マジか。マジかあ。4桁レベルとか初めて聞いたな。ゲームではありえなかったからなあ。狂信者だけど、こればかりは凄いと思う。真剣に凄いと思うぞ。よくもまあここまでレベルを上げたと思う。その努力は凄い。これは常に魔法を使い続けていないと普通には無理だぞ。生活の中でも常に上級魔法をフル回転させて初めてこのレベルに到達すると思うんだ。
「凄い努力だと思う。これで本当に神降ろしの宝玉を使っても良いのか?」
「いいとも! 是非に使わせてくれ! この身がどうなろうとも! 吾輩は神を降ろしたという偉人になるのだ! 現人神は見ていて下さる! 故に記憶には永遠に残り続ける! つまりは不死! 吾輩は永遠に誰かの中に生き続けるのだ! ふはははははは!」
ああ、こう見えてもこの人も覚悟が決まっているんだな。前世の俺と一緒か。無限回廊ももしかしたら、それだけの階層に初めて到達してっていう偉業として見て欲しいのかもしれない。
「よし! 覚悟は解った! じゃあ今から使いに行くぞ!」




