101話 伯爵は非人間と人間を分けないし、他国も他派閥も敵とみなしてる
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「さて、初めましてだな。私がヒルストン伯爵家の当主、レイドリック=ヒルストンだ。同盟〈光る原石〉の事は、メトイルの代官であるゴードンから聞いている。随分と無茶な要求をしたとは思うが、2年足らずで成し遂げて見せるとは。凄まじい勢いだな。ヒルストン伯爵領で一番大きな同盟となってしまった。いや、ここまでの規模の同盟は他でも見る事が出来ないだろう。それを成し遂げたのだ。誇りに思うと良い。そのリーダーシップは、類まれなものだろう」
「初めましてヒルストン伯爵様。俺は同盟〈光る原石〉の盟主、エルンストだ。正直な所、ここまでこれたのは運の要素も大きい。もう3年はかかる筈だったからな」
「同盟〈光る原石〉のガストビだ。よろしく頼む」
「同盟〈光る原石〉のメラリアと言います。よろしくお願いします」
「運、か。確かに運も必要だろう。あの時にこれがあれば、この時にそれらがあれば。振り返るときりがない。だが、切り立った崖の目の前にぶら下がっている運を掴みとる事は、才能も必要なのだ。踏み込める勇気、限界を見極める才覚、その他色々な要素が混じり合わないと、その運を掴みとる事が出来ない。凡人では無理だ。私はそこを称賛しよう。同盟〈光る原石〉は大きくなるべくして大きくなったのだ」
「ありがとうございます。しかしながら、これにはヒルストン伯爵領の状況も影響しているでしょうね。普通であれば、資金的に問題が生じていたはずですから。それらが無くなったのが大きい。やはりアンゴラでの1手が大きかったかと思いますね。あそこが無ければ、この段階で領都であるオーレリアに俺は来れなかったでしょうから」
「そうだな。まさか自分の領地内で中級ポーションが出来るとは思ってもみなかった。試してみたことなど一度もない。それを見つけられただけでももの凄い快挙だ。しかし、それだけには止まらなかった。無限回廊の攻略、鉱山での新たな金属の可能性、魔物を飼うという驚愕の事例、上級ポーションの発見、その他色々な土地で、その土地にあった産業を興してきた。はっきり言って、自分の領地の力を全く引き出せていなかったのだと思い知らされた。これには脱帽するよ。よくもまあ、これだけの知識を蓄えていたものだ」
「知識は力であり、金であり、権力だからな。持っていなければ食われる。それだけの事なんだ。知らないからでは済まされない。知らない事が1つあるだけで、10回は負ける。100戦したとして、知識が勝っている相手に勝つのは5回もあれば多い方だと思っている。それだけ知識は重要だ。知らない事には対処ができない。だから知る必要がある。だから、俺が今、貴族社会に出たら、負けしかないだろうな。相手の方が知識が多いんだから。それを覆すだけの強力な手札は、生憎だが1つしか持ち合わせていないのでね」
知らないことは、結局は舞台を作る事が出来ないと言う事であり、相手の舞台で踊る事になる。勿論、相手の舞台であればある程に、相手側が有利だし、こちらの切れる手札も少なくなる。まあ、現状では手札は1つしか無いんだけどな。武力。切り札としては、これほど強力なものはない。使い道を間違えなければ全てをひっくり返す事が可能になる。だが、あくまでも最終手段であり、簡単に切って良い手札でもない事も事実だ。
しかも今回は交渉の席。武力でなした交渉程、脆いものはない。交渉はお互いの歩み寄りによって成立する。これは武力対武力でも成り立つんだが、この場では武力的に勝ちしかないので切り札になることは無い。だから、基本的には友好的な方法しか取れない。
「……なるほど。それを切り札とする覚悟はあると言う事なのだな。結構。そうでなければ交渉にすらならないだろう。それを切る時は、交渉が決裂した時だろうが、その覚悟も無いものと交渉は出来ない。良い胆力だ。可能であれば、貴族家に迎え入れたいくらいだ」
「遠慮しましょう。貴族になって、俺にメリットが何一つない。俺の生きる意味は、楽しむこと。貴族になってそれが出来るのかが解らない。いや、柵によって楽しめないことが往々にしてあり得るだろうからな。貴族にはなるつもりはない」
そう、今度こそ楽しむのだ。今生を。ベッドの上での生活から、病院で完結していた生活から、外に飛び出して楽しむのだ。ゲームの世界がリアルになるという夢のような世界で。今度こそ楽しんで見せる。それが俺の生きる意味だ。
今度は簡単には終わらない。終わらせない。生き恥をかこうとも生き抜いて見せる。死ぬときはめいいっぱい楽しんでからだ。まだまだ経験していないことをしていこう。皆が経験していないことをしていこう。ここでしか出来ない生活を、生を謳歌しよう。それが俺の戦いだ。
「残念だ。非人間を認められる人間は少ない。それはこの国の中では常識であり、他国でも常識だ。……世界の全ての国を知っている訳では無いが、隣国である6つの国でも同じようなものだ。奴隷として使われ、使い潰されようとしている。同じ人だと言うのにだ。種族が違うだけで同じ人だ。人間と非人間と分けるのもおかしな話だ。そうだとは思わないか?」
「そうでしょうね。俺達の同盟にも人間は100人に満たない。それだけ人間が非人間を違うものだと認識している。その根幹が変わらない限りはこのままでしょうね。価値観を壊すのには、相当な力が必要です。何の力を使うのかによっても、結果は大きく変わってきます。そうですよね?」
「そうだ。人間の価値観を壊す必要がある。それが何の力を使うのかで大きく違う。ただ、現状では、武力しか切り札がない。そういう事なんだろう?」
「ええ、そういう事です。武力であれば切れます。今すぐにでも。ですが、それをしてしまうと少しどころではなく問題が生じるでしょう?」
「ああ、当然だな。現在のこの国を取り巻く情勢、国内外問わずの状況だ。何処まで把握している? ある程度でいい。詳しくは話す必要はない」
「そうですね。ヒルストン伯爵家が第4王子派で、非人間と人間の境目を取り払う事が出来る唯一の派閥であると言う事と、その勢力が10%程度であるという事、くらいですか。国外には、隣接している国に戦争を仕掛ける予定でいて、その国は沿岸国であると言う事を知っているのみです」
「ふむ。予想以上に内部の情報は知っているようだな。そうだ。国内の9割は敵であると見なしてもらっていい。第2王子派についても同様だ。あそこも内政を重要視しているが、根本は人間のみで成し遂げる事を目的としている。弱小派閥同士、組みはしているが相容れない存在である事は解っている。そして、国外についてもそうだ。隣国は6つ。そのどの国とも敵対関係である。明確な戦力の差がある国はない。今回攻める予定のガルガントラ王国は、国土は8割程度だが、沿岸国である。1方面の戦力は無くても良いのだ。それを3方を固めるように配置している。実質、我が国の戦力よりも多いのが現状だ」
まあ、そうなるだろうな。海は自然の要害。日本もそれで守られてきたって所もあるし。戦力の分散を狙えないんだから強くはなるだろうな。
それでも落とすんだけどな。それも味方も滅ぼしながら。味方と言っても、考え方が相容れないのであれば、敵と変わらないからな。とっととおさらばしてしまいたい。吹き飛ばして、死体の山を作ってしまえば良いのである。まあ、死体はマジックバッグで回収するけどな。嫌がらせの1つとして、手札として持っておきたいと思っているんだ。死体の回収もしっかりとするつもりだからな。




