100話 ヒルストン伯爵の準備を待つ間、展示はまだ青銅と黄鉄製と気づく
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「うーん。微妙って程ではないけど、まだまだ新しい金属で作られた作品は無いか。しょうがないとは思うけど、どうにもな」
「それは仕方がないのである。今までの常識とは違うものが出てきて、すぐさま行動に移したとして、展示するだけの物を用意できるとも思えないのであるな。通常は実用性のあるものから順に用意していくものである」
「それでも、貴族という属性の人たちって見栄を張りがちなのよね。だから用意しているかもしれないとは思ったのだけれど、……もしかしたら、秘匿の方に力を入れたのかもしれないわね」
それもあり得るんだよな。貴族家としては、秘匿した方が利益に繋がるし。大々的に宣伝しても良いとは思うんだけど、それをすると、他派閥も強化してしまう事になる。そうなると、こちらの優位性が失われるってものだからな。その辺は考えるよな。
まあ、青と黄色ばかり見せられてもって感じはするんだけど。これが最上級の控室って訳では無いとは思うんだけど、黄鉄でどうのこうのと出来るのって、そこまで多くないというか、物理影響力しか使ってないにしても、黄鉄はなあ。責めてバリルで作って貰っていた方がまだいいまであるんだよ。鉱山が無いのが問題なんだけど。鉱山が必要なのかって言われたら、欲しいけど必ずしも必要ではないと言う所か。無くても無限回廊があれば、金属は事足りる。……まあ、出鱈目な所まで潜っていることが前提の話なんだけど。
出鱈目だよな。700層以降の話とか普通にあり得んだろうとは思うんだけど、それが実現してしまっているし。時間さえかければ、エンドコンテンツ様も攻略できるんだよな。……ガチ魔物が出てくるまでは何とかなると思うんだよ。問題は、エンドコンテンツである無限回廊に終わりがあるのかなんだけどな。無いなら無いで良いんだけど、死者を出さずに潜れるのは何処までなのか、なんだよな。
金属に関しては、700層でも十分に確保できるので、問題が起きることは無いとは思うが、ベルベリアリの出所を聞かれた場合、素直に答えるのが正解なのかって所だよな。この色の金属は、ヒルストン伯爵領内では見つかっていないんだから。
出たところで勝負するってのが一番なんだよな。とりあえず、人となりを観察して、敵になる可能性があるのかを慎重に見極めないといけない。その為の魔法も既に準備してある。その都度かけ直す必要もあるけれど、それは本気で隠蔽しながら使うつもりだ。まあ、嘘をつくことはあると思っている。それくらいは想定の範囲内だ。何処までの嘘をつくのかで問題が大きくなってくるんだけど、何処までの嘘を付かれるのかだよな。
「……がらにもなく、エルンストが緊張しているわね。そんなに考え込まなくても良いんじゃないかしら? 手を結ぶのが永続になるのか、戦争までになるのかは、解らないのだから。個人的に言えば、安住の地を探したいとは思うけれど。ここがそうなってくれれば一番良いと思うのよね」
「結局は非人間の差別意識を何処まで無くせるのかである。難しいとは思うが、時代が変えてくれる事を願うしかないのである。その為にわしらは前へと進まなければならないのだ。犠牲になる覚悟でやらなければならないのである」
「いやー。まあ、緊張はするけどな。同盟が今後どうなるのかの瀬戸際なんだから。戦争に参加するのは良いんだけど、それ以降の話だよな。ここで良いのか。それとも別の場所を用意してもらうのか。それは、どっちの方が良いんだろうってな。広ければ広いほど良いとは思うけど、そこで先鋭化するのも違うと思うし。同盟の今後を左右する出来事だからな。緊張しない訳にはいかないと思うんだよ」
「これまでの代官たちとの交渉の様に居ればいいわよ。自然体の方がいいわね。むしろ緊張していた方が弱みを見せる事になるのではないかしら?」
「うむ。落ち着いていつも通りのエルンストで居た方が良いのである。話しても良い事の確認はある程度は済んでいるのである。忘れていそうであれば、わしらが横やりを入れるのである。エルンストはこれまで通りに、非常識を語れば良いのである」
「非常識を語れって言われてもな。俺の中では常識だから、何が非常識なのかを探す方が難しいんだよな。この程度の事を話したらいけないってのが解らないんだよな。知っていて当然だろうと思う事しか話すつもりは無いんだけど、それが非常識って言われてもな」
知っていることは、ゲームの知識のみ。現実の事はよく解らない。現代日本の常識もあっているのかどうかも自信がない。病院で一生を終えた身。病院の中の常識しか知らないんだよ。それが世間の非常識であったとしても、俺は気がつかない。まあ、価値観も何もかもが違う世界だから、大半が非常識になるんだろうけど。そもそもこの世界に科学を持ち込めるのかと言われたら、微妙って検証班が結果を出していたしな。
金属から違いすぎるので、元素が違う事は確定しているらしいんだよな。それを何処まで行っているのかが解らないという話だったし。ゲームで現実が通用するのかって話だよな。電気も使ってない世界で、発電所を作って大爆発を起こした検証班だ。その辺は俺にはよく解らないが、科学は持ち込めないと思うんだよ。ゲームなんだし。
その辺りも全然解らないんだよな。ゲームがベースな異世界で、俺の常識が何処まで通じるのか。……無限回廊に関しては、既に常識が通じていないので、ゲーム世界よりも進んでしまった部分はあるんだよな。その辺りも含めて、今後どうしていくのかを考えないといけない。
「それよりも、向こうの動きはどうなの? こっちでも魔法を使っているけれど、よく解らない動きをしている人が何人も居るのよね。どういうことなのか解る?」
「俺もよく解らない動きをしている人が居るのは知っているが、多分、こっちには無関係だと思うぞ? 単純に迷っているだけだろうと思うし。ああ、スパイじゃなくて新人って言った方が良いとは思う。スパイにしては動きがおかし過ぎる。スパイの動きはもっと洗練されているからな。あれだと怪しんでくださいって言っているのと同じだ。多分だが、本当に迷っている新人だと思うぞ。無駄に迷路みたいにしてあるからな。新人なら迷ってもおかしくない」
「うむむ。索敵魔法で解る情報が少なすぎて難しいのである。エルンストやエスメラルダは、毎日こんな魔法を使っているのであるか?」
「勿論だ。これが第5紋章の真骨頂だからな。これを使いこなせないと第5紋章ではやっていけない。苦手な人は苦手なんだろうけど、そもそも使い続ける事に意味があるタイプの魔法だからな。熟練度以外にもその魔法への理解も必要になってくる。第9紋章でも第8紋章でもそうだけど、強力な魔法を使える事が良い事ではない。適切な魔法を効率よく使える事が求められるんだ。そこに『強力な』がついてくれば、もっといい訳だな。得意な舞台で戦えるように、自分で組み立てていく。それこそが戦いの醍醐味だからな。……タイマンではって話だけど。戦争になると、舞台がそもそも組み上がっている。そこで役割を演じる事になるんだけど、演目を間違えるレベルのやらかしをやろうとしているからな。そこは、もう決定事項だから。さて、来たな。どんな話し合いになるのかな」
呼びにきたみたいだ。準備は整ったって事なんだろうな。文官も交えての話し合いになる。多分だけど、速記をマスターしている人たちなんだろうな。聞き洩らしたって事が無い様にするつもりなんだろう。緊張はするが、大分マシになったかな。




