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彼の進む道  作者: けやき
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桜vsシュウ!

突如降り注いだ雷でほとんどの機械兵が壊れた。

その雷は、ピンポイントにドミニオンの部隊だけ

に降り注ぎ、ハイライト王国軍と私には降ってこなかった。


おそらく、いや確実に俊貴さんだ。あの人なら煩わしくなってまとめて破壊しようとするだろうし、1人で無茶する。


変わらない。変わらないけど変わってほしくない。無茶するところは変わってほしいけど。


そんなことを思いながらも、雷で倒れなかった黒い鎧を纏った兵士に脚を進める。


少しずつ姿がはっきり見えるようになった時、その兵士が振り返った。緑の髪をした男で、右手に刀を持ち左脇へと引いていた。


「人間か!」


それに気付き、私も右手の刀を握りしめ思いきり地面を蹴って、男へと突っ込んだ。


そして、男の間合いに入る前に一度地面に脚をつき、男を飛び越えるように飛ぶ。


「!」


男は間合いギリギリ手前で止まられたため、刀を振れずあっさりと頭上を越えられた。


私は、男が振り返るのと同時に地面を蹴って距離を詰める。右手に握った刀を左脇にもっていく。


そして、2人同時に刀を振った。


私は男を通りすぎ、地面に両足をつける。


「…」


「…」


ピッと私の右腕に傷ができた。

男の方も左腕に傷ができたようだ。


ゆっくりと振り返り、傷を見る男。


「貴様、ヤツの仲間だな?」


男が傷をチラッと見た後、私に視線を移して聞いてきた。ヤツとは、俊貴さんの事だろう。


「…いえ。私はハイライト王国の人間です。彼の仲間ではありません」


今は、違う。前はそうだった。前は、彼と一緒に進むのは悪くないと思っていた。でも、彼の1人で無茶するところや、言っても聞かないところ、等目がつくようになった。そして決めてとして王国からの緊急召集。彼の元を離れざるを得なかった。


「国のため、か」


スッと刀を構える男。


「…はい」


私も刀を構える。


「シュウ・ラバル、参る!!」


名乗り、シュウが私へと向かってくる。


「浅倉桜、いきます!!」


私も迎え撃つべくシュウへと走る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俊貴とイザーク、桜とシュウが戦闘を始めた頃、ハイライト魔法学園は結界を張り終えて、大広間に全生徒が集まっていた。


その大広間に、教師が4人、結界維持のために5人いる。学園長のミトスと補佐のキャロル、霊紗とカガリは戦闘のために学園内ではなく学園の外で結界越しに戦地を見ていた。


「さっきの雷って」


先程、戦地の方に降り注いだ無数の雷。それをここで目撃していた4人。

その雷に、霊紗は思い当たる人物がいた。


「ああ、坊やだろうな」


あの雷の魔法は私が教えた呪文だし。


「じゃあ、俊貴はあそこにいるのか」


霊紗の隣で腕組みをして戦地の方を見ているカガリ。


「にしても、急に静かになりましたね」


雷が降り注ぐ前は、雄叫びや爆発等の音が聞こえてきていたのに、今はそれが嘘のように静かになっていた。


「坊やがやったんだろう。さっきの雷で根こそぎ潰したんじゃないか?性格からして、ちまちま潰すのが好きじゃないみたいだしな」


あのバカ弟子め。魔力の使い方も、練り方もマシになったとはいえ、あんな無茶な使い方教えてはいない。確かに、広域殲滅型の呪文ではあるが、戦地全体に降らせるなんて何を考えているんだ。いくら闇の魔力で補えるとは言っても、限度かある。


「どうします?」


「どうもこうも、生徒の安全第一。ここを動く気はない。」


「でも、相手はあの真紅の剣を倒したほどの相手ですよ?」


「…いい。どうせ怠けてたせいでやられたんだろ。」


全く、ちゃんと鍛練をしていればぽっと出のテロリストごときにやられはせん。伊達に三賢人なんて呼ばれてないわ。


「…」


ふと、そわそわしてる霊紗に気づく。

視線はずっと戦地の方。


「心配するな。死なないように教えてきたんだ。今度は帰ってくる」


私は霊紗の腰を軽く叩いて微笑む。


「べ、別に心配なんか…」


頬を赤く染めて、顔を逸らす霊紗。


「ふふ、まぁいいだろう」


幸せなヤツだなあのバカ弟子は。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「はぁ!」


「うおおっ!!」


2つの閃光が地を駆け、空へと上がっていく。


先程から、この2人は地面を抉り、木をなぎ倒して激しい戦いを繰り広げていた。


シュウより上に浮く桜が、下へと刀を降り下ろす。


「!」


それをくるんと回転して避け、反撃にうつるシュウ。刀で桜を突こうと構えて突撃する。


「っ!」


ギリギリで横に避けるが、頬をかする。

後ろへと抜けたシュウの方を振り返り、刀を右脇にひき魔力を刀へと流しこむ。


そして、素早く刀を横に振り抜く。それに合わせて、1つの斬撃がシュウへと飛ぶ。


「ちっ…」


左手を向かってくる斬撃の方へと向ける。その瞬間に、物理障壁が展開。

斬撃が障壁にぶつかる。

激しく光を発する。


「!!」


ふいに、桜が後ろに現れ、振り向き様に刀を振る。


髪を少し切られたが、それをかわし、袈裟斬りを繰り出す。


「くっ…」


体を斬られ、体勢を崩すシュウ。

そのまま地面へと落ちる。


それを追う桜。


「…はあぁぁ!!」


シュウは落下しながら、刀を連続で振る。

そこから、桜と同じように斬撃が連続で飛ぶ。


苦い顔をしながら、その斬撃の合間を縫ってシュウを追う。

が、やはり何度かその斬撃によってかすり傷を受ける。


「…」


後ろをチラッと確認するシュウ。


地面が近づいてきた瞬間に、シュウは真下に向けてまた斬撃を飛ばす。

それにより、少しだけ滞空時間が延びて、後ろを追いかけていた桜が追い抜く。


「!?」


桜が後ろを振り返ると、シュウは刀を振り上げていた。


「うああっ」


振り下ろされた刀から斬撃が飛んでくる。

その斬撃で体の所々に切り傷を受ける。


桜はそのまま地面へと落ちる。


「くっ!」


地面に衝突する前に傷で痛む体を無理矢理翻し、シュウの方を向く。


「おおおおっ!!」


シュウは更に追い討ちをかけるために、桜へと向かってきていた。


桜はグッと脚に魔力を通し、反撃のために一気にシュウへと突っ込む。


「!」


それに気づいたシュウは、突きの構えから上段の構えに変えた。


「はあぁぁ!!」


桜はそれを、体を横にそらしてかわしシュウに向けて突きを繰り出した。


「くっ!」


振り下ろした刀を無理矢理振り上げるシュウ。


ピッと切っ先が頬をかすめる。


それを気にせず、桜は刀を横に振り抜く。


「ぐあ!」


体を横一閃に斬られ、痛みに呻く。

そこを桜は見逃さず、シュウの顎を蹴りあげる。


「くっ…」


シュウは体を浮かせられる。


再び、桜は刀を振り下ろすために柄を握り締め構える。


「奥義」


「!」


魔力が刀身に流れ渡る。

それを薄目で見るシュウ。

かわすにも、顎の一撃で意識がもうろうとするため上手くいかない。


「連斬・桜花!!」


無数の斬撃がシュウに降り注ぐ。

それはまるで、桜吹雪のごとくシュウへと押し寄せ、最後の一発が当たった瞬間に後方へと吹き飛ぶ。


そのまま地面にワンバウンドして、地面を削って止まる。


「…終わりです」


刀を鞘に納めて、シュウの方を見る。

奥義によって付けられた傷口から赤い血が流れてくる。


障壁を張れるわけではないため無理もない。

彼らは元々魔力を持たない。そのため、魔力変換回路を作り、自然のマナを取り込んで魔力に変えて使っていた。

一度機械に通すため、魔法使いと違って時間にロスが出る。そのせいで、ああやって連撃を叩き込まれると障壁を張るのが間に合わない。


「…殺せ。」


そう言った瞬間に、シュウは血を吐いた。


「…無理、です」


桜もその場に倒れた。

2人とも傷が多く、出血もひどい。今まで気力で動いていたようなものだ。


「…相、討ち、か…」


ボソッと呟くシュウ。


「…どう、ですかね?」


クスッと笑い、意識がだんだんと遠退いてく桜。


「副隊長!」


2人が倒れてる所に、ハイライト王国軍の兵士達が到着した。兵士の1人が桜にかけよる。


桜を抱き起こし、怪我の具合を確める。


「治療隊に急いで副隊長を運べ!」


隊の人間に桜を担がせ、治療隊へと運ばせる。


「この男を捕縛!手の空いた者は私の後に続け!!」


そういって、剣を掲げ走り出す。



おはようございます。


戦争の桜編終了です。ちょっと呆気なかったかもしれません。

次は、俊貴とイザークの戦いです。



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