表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼の進む道  作者: けやき
6/63

蠢く闇

神楽の部屋


「朝だよ、霊紗。…っていないし。」


かつては物置として使っていて、トシキと一緒に片付けた部屋のドアを開けて神楽が言った。霊紗は今この部屋を使っている。


「あれ〜?霊紗〜?」


ドアを閉めて名前を呼んだ。


「朝からうるさいわね、私はここよ。」


いつのまにか霊紗は神楽の後ろにいた。


「もう着替えてるし、何処行ってたの?」


霊紗は私服を着ていた。


「…トイレよ。ついでに洗濯も。」


そう言って、霊紗はリビングに向かって歩きだした。


「え?洗濯!?一緒に済まそうと思ったのに〜」


神楽が後ろをついてきながら言った。


「何で一緒に済ますの?」


「だってその方が水道代が安いもん。」


「自分持ちじゃないから気にすることないじゃない…。」


霊紗が呆れた様に言った。

「そりゃそうだけど、あんまりキャロルさんに迷惑かけたくないから…。」


そう言って、シュンとしてしまった。


「わかった。泊めてもらってるがわだから従うわ。」


やれやれ、という感じで霊紗は頭をかいた。


「…あ、そうだ!ついでに家事を交代制にしない?」


神楽が両手を叩いた。


「…そうね。」


「よし、決まり!今日は私がやるから明日は霊紗ね!」

と言って、キッチンに向かって歩きだした。


「…。」


霊紗は神楽の後ろ姿を見ながら微笑んだ。


・・・・・・・


神楽の部屋


2人共朝御飯を終え、TVを並んでみていた。


「…暇ね。」


霊紗がお茶を飲みながら言った。朝御飯を食べてからずっとTVを見ているだけで、やることが特になにもなかった。


「うん、いつもこんな感じだよ。トシキがそろそろ来て、空き地に魔法の練習をしに…」


神楽の言葉を遮って、ドアをコンコンと叩く音がした。


「あ、来たかな。」


神楽が立ち上がって玄関に行こうとした。


「おーす。神楽、霊紗。」


右手を挙げて部屋にトシキが入ってきて、声をかけた。


「あんた、出る前に入ってこないでよ。」


霊紗が不機嫌そうに言った。

急にトシキが入ってきたのに驚いた。


「いいの!私が入ってきてもいいって言ったから。この時間より前はダメって言ってあるけどね。」


神楽が時計を指差した。午前9時12分を時計が指していた。

トシキが言おうとした事を先に言われ頭をかいた。


「…ふーん。まぁいいけど。」


明日から気を付けよう、と霊紗は思った。


「今日も空き地に行くの?」


神楽がトシキに聞いた。


「うーん、わからんけど、霊紗はこれからどうする?」


「どうするって、特にやることがないからお茶飲みながらTVを見てようかと思ってる。何で?」


霊紗はお茶を飲みながら言った。


「なら、オレ達と一緒に町を回らない?」


トシキが霊紗に微笑んだ。

神楽がなるほど、と思いながら頷いた。霊紗は昨日来たばかりで町の事を何も知らない。神楽も前にトシキに教えてもらっていた。


「そうね、どうせ暇だしいいわ。一緒に行く。」


そう言って立ち上がった。


「よし、じゃあ行くか!」


そう言って、神楽を見た。


「うん!行こう!!」


頷いて準備を始めた。


・・・・・・・・・


いつもの空き地


「案外色々あって広いのね。」


霊紗が近くにあった岩の上に座った。


「満足そうで良かったよ。」


そう言って、霊紗に微笑んでその場に座った。座った場所は地面で小石がゴロゴロしていたが気にしていなかった。


「…そうね、ありがとう。」


霊紗がトシキに微笑んで、お礼をした。

霊紗が笑うと思っていなかったトシキは、不意打ちを食らい顔を背けた。


「そ、そか。なら良かった…」


照れを隠そうとしたが、霊紗は照れ隠しを見抜いていた。思わずフフッ、と笑っていた。


「…。」


神楽がそのやり取りを見てちょっと不愉快な気分になった。


「ここに来たって事は魔法の練習するの?」


神楽がトシキの近くに座って聞いた。


「ん?あ、そうだね。休憩で来たけど、練習していこうか。霊紗は?」


「私もやるわ。」


そう言って岩の上に立った。


「じゃあ、やるか!」


トシキが立ち上がるのを見て、神楽も立ち上がった。


「今日は何やるの?」


神楽が指輪(アーティファクト)を杖に変えて聞いた。


「Armement(武装)。…そうだなぁ。」


テリル(魔法媒体)を刀にして、考えた。


「トシキが魔法媒体を使えて、カグラがアーティファクトを使うのね。」


霊紗がトシキの刀と、カグラの杖を交互に見て言った。


「あぁ、そうだよ。霊紗は?」


「私はコレ。」


お札の様な紙と、指輪をだした。


「魔符と指輪なんだ〜。魔符を使ってるのは珍しいね。」


神楽が魔符を見ながら言った。

魔符とは、お札の様なもので、あらかじめ書いておいた文字によって効果が違い、使いきりだが溜めとくことができる、魔法具の1つである。


「私は光系統が得意だからそれ以外の魔法を魔符で補ってるの。」


そう言って、指輪を人差し指にはめた。

魔符は各系統の魔法を得手不得手関係なしに使える万能な魔法具で、人によっては用途が様々である。 霊紗の様に補助に使ったり、威力は詠唱された魔法より落ちるが魔符を主体に戦うこともできる。


「で、何やるの?」


霊紗がダルそうに言った。


「そうだなぁ…。模擬戦やるか?仲間の力を知るためにも。」


トシキが、神楽と霊紗を交互に見た。


「…模擬戦か。私はいいよ。」


霊紗はあっさり頷いた。


「うーん…、まぁいいか。」


霊紗とは対照的に少し渋ったが、2人ともやるなら、と頷いた。


「3人バラバラ?奇数だけどチーム?」


霊紗が聞いた。模擬戦でのチームは2対2等、人数が同じになるようにするのが基本である。


「うーん…どうしよう?」


思いついただけで何も考えていなかった。


「…じゃあ、あんたが1人で、私と神楽がチームでどう?話ではあんたかなり強いんでしょ?」


霊紗がイタズラっぽく笑って提案した。


「それでいいか!」


トシキがなるほど、と手を叩いた。


「いいの?それで?霊紗も強いってキャロルさんが言ってたよ。」


神楽が不安そうに聞いた。


「あぁー、いいって。ダイジョブ!」


軽く手をブラブラさせて言った。


「じゃあ、始めるわよ。」


霊紗が少しイラつきながら言った。


(…少しは悩んでくれても良かったのに)


トシキがあっさり自分の提案を承諾して、1人でやると言った。一緒に組んで欲しい、と少し考えてしまったのが、ちょっと悔しかった。


「どうかした?」


神楽がボーッとしていた霊紗に聞いた。


「…別に大丈夫。」


素っ気なく答えて、魔符を構えた。それを見て神楽も構えた。


「あいつは接近戦が主体なのよね?」


戦略を考えるために霊紗が聞いた。


「うん、そうだよ。魔法も上手く使ってくるよ。油断するとすぐやられちゃう。」


神楽がそれだけ言った。1度戦えばわかると思ってそれだけ答えた。


「…ウンディーネだしなさいよ。私達2人とも遠距離型だから不利よ。」


そう言って、神楽の腰に付いている鍵を指差した。


「…ズルくない?」


神楽が嫌そうに言った。


「全力でやんなきゃ意味ないでしょ?力を知るためにやるんだから。」


「そりゃそうだけど…。」


「もういい?」


2人の様子を少し離れた位置で見ていたトシキが、しびれを切らせて言った。


「いいわ。いつでもどうぞ。」


霊紗が答えて神楽を見た。


「…やるわよ!」


そう言って前を見た。


「…もぅ!」


「いくよ!」


トシキが2人に向かって走り出した。


「…はやっ!?」


霊紗が、魔力を足に集中して速度を上げたトシキに驚いた。

そこへトシキが木刀に変えたテリルを降り下ろした。安全面を考えて事前に変えていた。

ところが、ふりおろした木刀は水の剣に止められた。


「…やっぱ使ってきたか〜」


苦笑いしながら距離を開けて構え直した。


「ごめんね〜、使えってうるさいから…」


神楽が顔の前で手を合わせて謝った。


「…うるさくて悪かったわね。」


フン、と霊紗はそっぽを向いた。ウンディーネはやれやれ、という感じだったがちゃんと構えている。


「予想はしてたけどやっぱキツイなぁ…」


後衛2人で火力充分。ウンディーネの前衛で後衛の詠唱は確保できる。おまけに霊紗は魔符で詠唱なしに魔法を使える。ウンディーネを何とかして、後衛のどっちかを狙っても片方に詠唱されて逆に隙を突かれる。

木刀を肩に担いで、状況を整理して戦略を考え始めた。


「…攻めてこなくなった?」


霊紗が様子を伺いながら言った。


「あ、何か戦略を考えてる!」


神楽がトシキの様子を見て焦った。


「…何で戦略ってわかるのよ。こっちの様子を見てるだけじゃないの?部が悪いから。」


霊紗は自分の考えを言った。

が、神楽は首を横に振った。


「左手の親指と人差し指を擦ってるでしょ?何か考えてる時いつもあれやってるんだよ、トシキは。本人も気付いてないみたいだけど。」


神楽に言われてトシキを見たら確かに指を擦っていた。神楽がトシキの、本人も気付いていない癖を見抜いているのに少し腹がたったが、トシキを睨み付けた。


「…来ないならこっちから!」


そう言って、魔符を三枚トシキに投げつけた。


「魔符か!」


トシキが後ろに下がって魔符を避けた。トシキのいた足元に魔符が落ち、魔符が火の柱を上げた。


「おぉ!すごっ!」


魔符で威力はおちるはずなのに魔力が元の魔法程あるのに驚いた。そこへウンディーネが横から突撃をしてきた。


「うっ…!」


水の剣を受け止めた。


「まだまだよ!」


霊紗が光の球を16個飛ばしてきた。


「くぅ…」


魔法障壁を展開して何とか防いだ。


「貴方も大変ですね。」


ウンディーネが同情するように言った。


「…まぁ、ね!」


剣を受け止めていた木刀を急に引かれたため、ウンディーネは地面に剣が突き刺さった。


「風よ!」


風を起こされて思わず攻撃の手を2人は止められた。

「なっ!しまっ…!!」


トシキが正面からきた光の柱に直撃した。ギリギリで障壁を展開して威力は殺せたが、後ろに吹き飛んだ。


「…。」


霊紗が唱えた光の魔法だった。


「あんた、強いわね。」


そう言って、魔符をしまった。


「手を抜いてたみたいだけど。」


やれやれ、と手を開いた。


「霊紗もね。」


倒れた場所で上半身だけ起こしてトシキが言った。トシキと霊紗が同時に微笑みあった。

が、霊紗は神楽を見た。


「あんたはよくわかんないわね。結局召喚しかしなかった。」


「う…。私はどっちかと言うと攻撃よりも、回復補助のが得意で…」


神楽が申し訳なさそうに言った。


「…そぅ。」


霊紗が近くに合った石に座った。


「ま、割りとバランス良いのかもね。」


そう言って微笑んだ。


「ハハっ、だろ?」


トシキもまたその場に横になって笑った。


「…だといいけどね〜。」


神楽がウンディーネを還して笑った。


・・・・・・・・・・・・ 魔法世界


「…ここは…?」


ろうそくで灯りをともしている部屋のベッドでミゲルは目を覚ました。部屋には小さいテーブルと椅子2つ。ベッドの横に棚があり、ドアの正面と、ベッドの横に窓があるだけの質素な部屋。


「よぉ、目ぇ覚ましたか。」


椅子にいつの間にか座ってテーブルに足をのせた男がいった。


「…ヴァニタスか、何のようだ?」


ヴァニタスから窓に視線を移した。


「おぃおぃ、ここに連れてきてやった奴に対してそれはないんじゃねぇの?」


「あんたが?…そうか、すまない。ありがとう。」


顔も見ずにお礼を言い立ち上がろうとした。


「おっと!起きない方がいいぜ。まだ傷は治ってないからなぁ。」


嘲笑うようにヴァニタスは言ったが、切られた部分がまだ痛むため仕方なく横になった。


「そのままでいい。オレのいい話を聞かないか?」


椅子から立ち上がりベッドに歩み寄った。


「…いい話?」


訝しげにヴァニタスを見た。


「あぁ、オレと組んで旧世界の小僧を殺しに行かないか?」


そう言ってニヤッとヴァニタスは笑った。


「小僧…?トシキの事か!」


ミゲルは手を強く握り締めた。トシキに斬られた傷が疼く。怒りと恨み、悔しさが込み上げてきた。


「どうする?オレ達と組むか?」


ヴァニタスは再びニヤリと笑い、手をミゲルに差し伸べた。

そこへ、ドアを2回ノックする音の後にドルチェが入ってきた。


「おや?目が覚めたのかい。」


そう言ってヴァニタスの隣まで来た。


「ちょうど良い時に来たな、同士よ。今オレ達の事を話していた所だ。」


ヴァニタスはドルチェを同士と呼んだ。


「ドルチェもヴァニタスと手を組んでトシキ達を殺そうとしてるのか?」


「あぁ。マゼランは奴等に関わるなと言ってたけど、牢屋に囚われるなんて屈辱を受けた仕返しがしたいのさ!」


そう言って、手を強く握った。表情が悔しそうだった。


「オレはあんな楽しめそうな奴を無視はできそうにないんでな。久しぶりに見つけた“獲物”を逃したくはない。」


ニヤニヤ笑いながらトシキを狙う理由をヴァニタスが言った。


「…さて、改めてお前はどうする?」


「…奴に斬られた傷が疼く。奴を殺そうと体が疼いてしょうがないんだ。私も手を組もう。」


ヴァニタスが差し伸べていた手をミゲルは握った。


「…よし、今日からお前も同士だ。」


フッと笑った。ドルチェが2人の握手の上に手を乗せて笑った。


「…だがミゲル、お前は今のままじゃ奴には勝てんぞ。」


「何だ…と!?」


内心自分でもそれを感じていた。途中からのトシキの変化。片目と武器の変化。魔力も上昇していた。

心は殺したくてしょうがないが、体は恐怖を覚えていて震える。思わずミゲルは俯いた。


「…力をやろうか?“闇の力”を…!」


「…!」


闇の力。闇系統が得意な者が使う力で、得意でないものが使いすぎると侵食され、闇に呑まれて消滅してしまう危険な力である。

闇が得意な者は少なく、魔物にも闇を扱える者は少ない。今のところは。



「…欲しい、私はアイツに勝つための力が欲しい!!」


グッと思いきり手を握り、ミゲルはヴァニタスを睨み付けるように見た。


「クックッ…!良しいいだろう、お前に力を貸してやる。」


ニヤニヤ笑いながらミゲルの頭に触れた。闇の魔力が触れた手に集まりミゲルに流れ込んだ。


「グア…ァァァ…!」


闇の魔力がミゲルに流れるが闇に耐性が無いため苦痛を伴った。

ヴァニタスが魔力を流し終わり手を離してドルチェを見た。


「ドルチェはどうする?」


「…お断りだね。闇の力がなくともやってやるよ。」


そう言って後ろを向いた。本心は闇の力は魅力的だったが、苦痛だけでなく他に何かしらありそうで嫌な感じがした。


「…フッ。そうかい、残念だ。」


そう言ったが余り残念そうではなかった。

ヴァニタスはドアに向かって歩き出した。


「準備ができたらオレん所に来な。今回オレはねじれの見張りをする。マゼランに黙ってやるんでな。」


頭をかきながら言った。


「…そうか、わかった。」


苦痛がおさまって落ち着いたミゲルが頷いた。


「わかった。」


ヴァニタスが部屋を出た後に続いて出ていった。


「…ククっ!トシキ、お前を倒す時がきたぞ…!」


不気味に笑いながら外を見た。


・・・・・・・・・・・・・・・

旧世界 いつもの空き地


空き地にトシキ達3人はまだいた。かれこれ模擬戦をしてから5時間は経っている。


「…そろそろ帰ろうか。」


トシキが日が沈んできたのを見て言った。


「そうだね、帰ろうか。」


神楽が頷いて立ち上がった。

霊紗と一緒に練習をしていた。


「…それにしてもアンタら真面目ね。」


霊紗もやれやれ、と立ち上がった。


「何言ってんだよ、練習にずっと付き合ってた霊紗だってそうじゃん。」


ニヤニヤ笑いながらトシキが霊紗に言った。


「う、うるさいわね。」


ツン、と霊紗は顔を背けた。


「ありがとう。」


霊紗の肩にポンと手を置いて微笑んだ。

霊紗は顔が赤くなるのをバレない様にトシキに背を向けた。


「…ムっ…!」


その様子を見て神楽が不機嫌そうな表情になったが、2人は気づかなかった。


「さ、帰ろう。」


空き地の入口まで歩いていって振り返り言った。


「…そうね。」


霊紗が頷いて入口に向かった。


「あ、ちょっと待ってよ!」


神楽がワンテンポ遅れて2人を追いかけた。


・・・・・・・・・・・・・・・

空き地からの帰り道



「にしても、霊紗は強いな!」


トシキがさっきまでの練習を思い出しながら言った。


「別に、そこまで強くはないわ。」


素っ気なくトシキに言った。が、内心嬉しかった。

実際、霊紗は動き、魔力の使い方、練り、どれをとっても初心者のトシキはないし、神楽を越えていた。実戦慣れをしている分、トシキ達よりも経験がある。

今日の練習はそれがよく表れていた。

練習で目立っていた霊紗に比べ、目立っていなかった神楽は少しイラついていた。目立っていなかったと言っても、やることはいつも一緒だったのだが霊紗がスバ抜けていたせいでもある。


「…むぅ」


トシキと霊紗が仲良く話しているのが少し気に入らなかった。トシキがあまりかまってくれないためイジケはじめていた。

足元に落ちていた小石を転がしながら、神楽は2人についていった。


「あっと…」


ちょっと強く蹴りすぎて離れた位置に小石が転がった。小石はトシキ達を抜かした場所で止まった。


「!?」


3人が小石を見ていて驚いた。

小石の上にねじれが現れた。


「ねじれが!」


神楽と霊紗は戦闘体勢をとり、トシキが刀をだして、2人の前に出た。



「クックッ、久しぶりだな。」


ねじれから剣を持ったミゲルが出てきた。


「ミゲルっ!」


ミゲルがフン、と笑った。


「ミゲルだけじゃないよ、小僧!」


「キャアァ!」

「わっ!」


後ろを振り替える前に、神楽と霊紗の声が聞こえた。


「神楽!霊紗!!」


2人はゴーレムの手の中に握られていた。ゴーレムの肩にはドルチェが笑いながら立っていた。


「…ドルチェ!!」


「おぃおい、お前の相手は私だぞ。」


「!?」


トシキが横に吹き飛ばされ、地面に衝突した。


「くっ…」


上半身を起こして前を見た。

右にミゲル。左に神楽と霊紗を捕まえたドルチェ。


「だから、私が相手だと言ってるだろ。」


「ぐぁっ!」


ドルチェの方を見ていたトシキをミゲルが蹴飛ばした。


「さぁ、戦おうではないか!傷が疼いてしょうがないんだよ!」


トシキに斬られた場所を抑えながら言った。


「…。」


トシキは口の中が血の味でいっぱいな事に気づき、ツバを吐いた。ツバは真っ赤だった。

刀をしっかり握りミゲルを睨み付けた。


「…!」


ミゲルは一瞬気圧されたが、前のように臆しはしなかった。


「はっはっは!さぁ来い!前の私とはちぎゃ」


ミゲルはしゃべっている途中で吹き飛んだ。

トシキがいつの間にか、ミゲルのいた場所の近くにいた。


「クッ!」


トシキが全く見えてなかった事に驚きながら、体勢を立て直した。


「吹き荒れろ!」


右手をミゲルに向け、足を安定させた瞬間に、周りに多数のかまいたちを纏った一本の雷柱が右手から繰り出された。風と雷の中級魔法同士を合わせた上級魔法だった。


「…オノレぇ!」


体勢を立て直した直後で何とか反応できたが、体の半分にダメージを受けた。

土煙が上がり、ミゲルは見えなくなってしまった。


「…1人でも全然充分じゃない。」


霊紗が平然と言った。ドルチェと神楽は今の自分の状況が解っていないの?,と思いながら驚いた。

それを察したのか、霊紗がドルチェに振り返った。


「…もう出るわ。土で汚れる。」


「な、何を言って…!?」


霊紗を掴んでいたゴーレムの手が粉々に吹き飛んだ。その後に、神楽を掴んでいた手も吹き飛んだ。


「な、何で!?」


トシキが作った風で無事に着地した霊紗がドルチェを見た。


「奇襲は良かったけど、そこまでね。ゴーレムに掴ませるのはダメダメ。動きが遅い魔物なんて対策すぐ練れるわ。」


魔符をヒラつかせながらクスッと笑った。


「…たく、脱出できるならもうちょっと早く合図出してよ。焦っただろが。」


トシキが土煙が収まり始めた前を見たまま言った。


「あ、合図?」


ドルチェが驚いて聞いた。


「そ。私はゴーレムから抜け出せるって合図。」


そう言って、霊紗はドルチェにウィンクした。


「…あの時かぁ!」


ドルチェは、吹き飛ばされた後にトシキが自分の方を見ていると勘違いした時だった。ドルチェはゴーレムの左肩、霊紗は右手に捕まっていて、トシキはゴーレムの右斜め前辺りにいた。そこで、ドルチェは勘違いをしていた。

やられた!、とドルチェは歯を食いしばった。


「あんたはあんたの相手に集中しなさい。私達はあのオバサンを相手にするから。」


イタズラっぽく笑って霊紗が言った。


「私はまだ22よ!」


肩を震わせてドルチェが怒鳴った。


「え?3つしか違わないの?」


神楽が驚いた。霊紗も差があまりないことに驚いた。ドルチェの見た目が歳の割りに大人びすぎて、歳にギャップがあった。


「もう許さない!踏み潰してやるわ!」


ドルチェがゴーレムの両手を再生させた。


「神楽、いけるわね?」


「うん、いけるよ!」


神楽はウンディーネを召喚した。


「召喚できるようになったのかい!でもあんたらは此処で死ぬのよ!」


「オバサンは此処でまた捕まるのよ。」


またイタズラっぽく笑って霊紗が言った。


「もう本当に殺す!!」


ドルチェがゴーレムに指示を出した。


・・・・・・・・・


土煙が収まり半身が麻痺したミゲルが見え始めてきた。その隣の地面には穴が空き、穴の周りはズタズタになっていた。


「やってくれるじゃないか、流石だな。トシキ。」


そう言って、ミゲルの周りに黒いオーラが現れた。


「何だあの黒いオーラ…」


禍々しく、暗い負の魔力を感じた。寒気がしたが、何故か懐かしくも感じた。


「あれは闇の魔力です。闇の魔物や精霊が使う、破壊を司る力です。」


テリルが説明した。


「はあぁ!」


ミゲルが叫んだ。トシキが今度は気圧された。

ミゲルが立ち上がり、ニヤリと笑った。


「な、麻痺していたハズなのに…」



いつもよりはるかに強い魔法のため麻痺の付加も強くなったのだが、ミゲルは簡単に破った。


「闇の魔力か…」


破られた原因は恐らく闇の魔力だろうと判断した。


「あぁ、闇の魔力さ!すごい力だろ!今の貴様に負ける気がしないよ」


高笑いしながら、ミゲルはこれ見よがしに闇の魔力を大きくさえて、見せびらかした。


「わざわざ見せてくれてありがとう。お礼にオレもいいモノ見せてあげるよ。」


そう言って、トシキは刀を地面に突き刺した。

その瞬間に刀は大剣に変わった。左目が赤色に変わっていた。


「な、なんだと!自分で発動できるようになったのか!」


「まぁね。」


ミゲルが苦い顔をしたのを見てトシキはニヤッと笑った。


「だが、そんなものが使えても私には勝てんぞ!」


ミゲルは剣を掲げた。


「闇と混ざりし我が風の力を受けよ!イービルハンマー!」


闇の魔力を纏ったエアハンマーがトシキに向かうが大剣の1振りで簡単に掻き消された。


「グゥ…!」


ミゲルが低く呻いた。


「じゃあ、オレの番ね!」


トシキが大剣をしっかり握った。


・・・・・・・・・・・・


「向こうは盛り上がってるわね。トシキはちゃっかり力が使えてるし。」


霊紗が横目でトシキ達を見ながら言った。


「向こう見るなんて余裕ね!」


ゴーレムの拳を握った右手が霊紗に伸びてきた。


「えぇ、余裕だもの。アンタ程度なんて。」


ゴーレムの攻撃を物理障壁で簡単に止めた。

霊紗がクスッと笑った。


「何ですってぇ〜!!」


肩を震わせてドルチェが怒り始めた。


「私の魔符と魔法の連携、よけきれるかしら?」


霊紗が怒り始めたドルチェを無視して魔府を自分の周りに展開した。


「な、何?」


こんな魔符の使い方を初めて見てドルチェは戸惑い始めた。

そんなこともお構い無しに霊紗は光の球を次々に出現させた。


「あ、あんな紙切れと球で何ができるって言うのさ!」


見た感じまだ詠唱が終わってないのか、光の球が現れ続けていた。そこへドルチェは攻撃を仕掛けようとした。


「…うっ」


霊紗は隙を突かれて、思わず目を瞑った。


「私を忘れてない?」


霊紗が目を開けると、ウンディーネが目の前に立ち、ゴーレムの攻撃を防いでいた。


「…やるのが遅いのよ。」


霊紗はクスッと笑った。神楽もつられて笑った。


「さて、邪魔してくれたお礼をあげるわ。」


展開した魔符を先に飛ばした。

魔符がゴーレムとドルチェの周りに散開した。


「こんな紙切れぇ!」


ドルチェがゴーレムと魔法で魔符を撃ち落とそうとした。

撃ち落とされた魔符が、爆発したり、凍結したり、カマイタチや、電撃が走ったり、様々な効果を起こした。

ゴーレムで撃ち落としたためゴーレムはダメージに耐えきれずバラバラに砕けた。


「な、何て事…!」


「まだよ!」


まだ残っていた魔符と球をドルチェに向けて放った。


「キャァァ」


ドルチェは悲鳴と共に爆炎に包まれた。


「…あれ、死なないの?」


神楽が心配そうに聞いた。


「ん、ダイジョブよ。威力の低い魔符をぶつけたから、気絶程度ね。杖もたぶん燃えちゃうだろうし。」


クスッと霊紗は笑った。

案の定、ドルチェは杖が炭と化し、服がボロボロでススだらけになって姿を現した。


「よくも〜!覚えてなさいよ〜!」


ドルチェは悔しそうにスタコラ逃げていった。


「はい、私たちの勝ち。」


トシキの方を見て言った。


「じゃあ、ゆっくり観賞しましょうかね。」


そのばに座った。


「…もう。」


霊紗も仕方なく座り、トシキを不安げに見た。


・・・・・・・・・・・・・・・

空き地には剣と剣がぶつかり合う音が響いた。

たまに、土を砕く音が混ざる。


「そんなでかいだけの剣に負ける気はしないぞ!トシキ!!」


ミゲルは今までの斬り合いで少しずつトシキのスピードが落ちてきていることに気づいた。


「…。」


トシキはミゲルの剣を防ぐだけで言葉を何も発しなかった。


「くっく…。何も言えないか!ならそのまま消えるがいい!」


ミゲルは一気にトシキと距離を空け、呪文を唱え始めた。


「これで終わりだぁ!」


剣をトシキに向けて叫んだ。


瞬間、ミゲルは驚いた。

自分の体が倒れようとしていた。背中がやけに熱い。熱いが、寒気がする。

そのまま地面に倒れた。そして、手で背中を触るとぬるりとした感触がした。

手は真っ赤に染まっていた。


斬られた?いつの間に?


そう考えて言葉にしようとしたら、言葉ではなく血を吹き出した。


「がはっ…」


横目で後ろに立つトシキを見た。

息ひとつ乱れていない。


「…何故だ!いつの間に後ろに…!」


ミゲルは何とか言葉にだした。


「あんたが勝手にオレが弱ってるって思っただけだ。」


トシキが左手を腰にあてて言った。


「…なら、スピードが落ちているフリをしていたのか!?」


何とか膝をついて、立てる様に剣を地面に刺した。


「いいや、あんたのペースを乱そうとしたんだけど、逆に乱されてどうしようか考えてたら、だんだん追い込まれてきただげ。」


腰から手を離してブラブラさせた。


「くっ…。ふざけやがってぇ!」


ミゲルはまた体とプライドに傷をつけられ、屈辱感と怒りが込み上げてきた。

と同時に、力が込み上げてくるのを感じた。


「!?」


トシキはミゲルの体から溢れる黒いオーラを見て距離をとった。


「闇の魔力!!」


大剣を構えた。

ミゲルはゆっくり立ち上がった。全身から出るオーラがさっきよりも大きくなっていた。


「貴様なんかに…!負けられるかあぁぁぁ!」


空き地にはミゲルの叫び声が響いた。叫ぶ事により、傷から血が流れ出るが、オーラが膨れていった。


「マスター!あのままでは手がつけられなくなります!今のうちに何とかしないとマズイです!」


「…、何となく言われなくてもわかる。」


軽く飛んで風にのり、間合いを一気に詰め斬りつけた。


「な…!」


大剣を片手であっさり受けられた。そのまま横にトシキは投げ飛ばされた。

地面に打ち付けられ、呻き声をあげた。


「くそ…、やべーな、このままじゃ…。」


何とかしようと頭をフル回転させながら、周りをザッと見回した。

ミゲルの体からは未だに血が流れ続けている。足元に血が広がり始めていた。


「このままじゃ、アイツ死ぬな。何で前みたいに仲間が助けにこないんだろう?前みたいに傷負わせれば仲間がアイツを連れて帰るかと思ったけど、来る気配がない…。」


「マスター!」


テリルの声に急かされながら、再びミゲルに向かっていった。


縦一文字に振ったが簡単に止められた。


「くそっ…!」


大剣を引いて、今度は横から斬りつけた。

今度はあっさり通り、ミゲルは横に吹っ飛んだ。

そこへ、トシキは一気にキメにいった。


「はああぁぁぁ!」


大剣を大剣とは思えない様な速さで連撃を繰り出した。

連撃で防がれたのはあまり多くなく、ミゲルにダメージを与えていった。


が、ミゲルはゆっくり立ち上がった。


「やめろ!このままじゃお前が死ぬぞ!!」


トシキの言葉を軽く無視した。


「…くそっ!」


ミゲルを殺す気はないが、このままでは大量出血で死んでしまうことに焦り始めた。


「殺すしかないのか…!?」


迷いながらもミゲルから繰り出される攻撃を何とか防ぐ。

が、防ぎきれずに体に少しずつ傷が増えていく。

そこへ、ミゲルは急に回しげりをいれた。大剣で防いだが後ろに軽く下がった。


「くっ!」


トシキがのけ反った所へ、ミゲルは闇の魔力を集中させた拳を打ち込んだ。

物理障壁をギリギリで展開したが貫通。腹に威力が弱ったとは言え、強烈な一撃を食らって吹き飛んだ。

意識が朦朧とする程の痛み。障壁がなかったらと思うとゾッとする。

何とか立ち上がったが、口の中に血の味が広がった。

血をペッと出して口を拭った。


「ハァ…、今のはヤバい。頭がくらくらして気持ち悪い…。」


何とか前を向いてミゲルを見た。ミゲルの足元には変わらず血のみずたまりができようとしていた。

お互い満身創痍なのがわかった。


「…そろそろ終わらせよう、ミゲル。」


「ウゥゥ…」


トシキがミゲルを殺す事を覚悟しようと呟いた後に、返事をするかのようにミゲルが唸った。

黒いオーラを纏ったミゲルの顔を見た。


「…!?」


ミゲルを見て驚いた。

いつの間にか黒いオーラが鎖のようにミゲルを縛り付けている所が有ることに気づいた。


「何だ…あれ。」


ミゲルの腕、足、顔、全身にまとわり着くように鎖状のオーラがある。


「あれは、闇の魔力ですが?」


トシキのボソッと出た言葉にテリルが返した。


「それはわかってる。でも、ミゲルの全身に鎖状のオーラみたいなのがある。」


「鎖…?見えませんが?」


「…え?」


気のせいかと思って、目をパチパチさせてから、ミゲルを見たが鎖は消えていない。


「やっぱり見える。」


目を凝らしてみたが、鎖は消えない。


「…その話は後にしましょう。今は彼を何とかすることが先です。」


テリルの返事に納得して、ミゲルを見た。

何故かミゲルが苦しそうな表情になって、低く唸りをあげ始めた。

苦しんでる…。闇の魔力が体に負担を掛けすぎてるのか?


そう思いながら深呼吸をして、集中した。


体に力が溢れるのを感じた。

この一撃で終わらせる。そう決めたら力が湧いてきた。


自分のタイミングで一気にミゲルへと飛び込んだ。

それに反応して、ミゲルは剣を構え迎撃の体勢にでた。


「はあぁ!」


上に飛んで大剣を思いきり振り下ろした。

ミゲルが剣を横一文字にして、受け流そうとした。

流そうとしたが、衝撃で受け流せず、逆に隙を作ってしまった。


「終わりだぁぁ!」


地面に着地し、予め唱えていた雷の中級呪文『風塵雷』を零距離で放った。

遅延呪文という、唱えた魔法の発動を遅らせる呪文を最近覚え、ぶっつけ本番でやってみせた。


ミゲルは零距離で受けたため、障壁が展開できず、腹に塵状の風の刃を纏った雷に吹き飛ばされた。


「…。オレじゃ殺せない。」


零距離だった事も、大剣を受けた衝撃でさらに血が流れでていたのを見て、殺そうとした意思が揺らぎ手加減してしまった。

案の定、ミゲルは立ち上がった。


「…。」


「あんた、あれどうするのよ!?」


霊紗が駆け寄ってきた。

トシキの呪文を受けても立ち上がってくるミゲルを見て焦っていた。


「オレじゃアイツを殺せない…。ギリギリのところで手加減してしまう。」


トシキはギュッと拳を握った。


「でも、アイツ…」


霊紗がゆっくり近づいてくるミゲルを見ながら焦る。


「…離れてて、危ないから。ミゲルはオレが何とかする。」


肩で息をしながら、霊紗を離れて見ている神楽の方へ押した。


「ちょ…!あんた!!」


霊紗が手を伸ばしたが、トシキは首を横に振った。


トシキは次こそミゲルを殺す事に集中し、大剣を逆刃から戻した、普通の大剣に変えた。


これなら、確実に…


そう思いながら、大剣を握る手が震えているのがわかった。

人を殺す。それは普通に恐怖としてトシキにのし掛かってきた。

怖い。人を殺す事が怖い。

誰か変わって欲しい。でも、霊紗や神楽にはそんなことやらせたくない。


トシキの心は壊れかけてきた。


「全く甘いぜ。トシキ」


突然何処かから声が聞こえてきた。驚き顔をあげた。


「なっ!?」


ミゲルの体を手が貫通していた。


「甘いぜ。甘すぎる。そんなんじゃすぐ死ぬハメになるぜ。」


手がミゲルから抜けけ、ミゲルが消えて黒い球になった。


「ミゲルに何をした!!」


「何って、オレの闇の力を貸してやったから返してもらっただけさ。ミゲルの魔力毎な。」


不気味に笑って、黒い球を取り込んだ。


「お前ミゲルの仲間じゃないのか!前にミゲルを助けたのはお前だろ!」


ミゲルが消える直前に感じた魔力と今目の前にいる男の魔力が似ていた。

闇なのに闇のような感じがしない、曖昧な感じの魔力。


「お前誰だ!何なんだいったい!!」


「オレはヴァニタス。お前の言う通りミゲルの仲間だ。オレの計画のため、弱いヤツの力を取り込んでやろうと思ったのさ。」



「仲間を殺してまで強くなりたいのかよ!」


「あぁ、オレの計画のためには強くなる事は必要なんでね。」


「クソ野郎が!」


トシキが大剣を構えた。

それをみてもヴァニタスは体勢を変えなかった。


「頭の回転がいいお前ならオレに勝てないのはわかってるだろ?」


ニヤッと笑った。

構えはしたが、それがわかっていたため反論できない。


「くっくっく!まぁ、精々強くなってくれ!」


ヴァニタスはねじれを作りだし帰っていった。



「…チクショウ…。」


トシキはその場に崩れた。


・・・・・・・・・・・・・・・

魔法世界 洞窟内


ミゲルの力を取り込み強くなったヴァニタスは気分よく組織の廊下を歩いていた。


「勝手にねじれを使ってどこにいっていたんだ?」


後ろからマゼランに声をかけられた。


「また、トシキのとこだな?」


「あぁ、まぁ。」


頬をかきながら言った。


「まぁいい。ドルチェとミゲルはどうした。」


「ドルチェは逃げました。ミゲルはトシキに殺されました。」


「…そうか。どうあっても我々の邪魔をしたいようだな。ヤツは…。」


「どうしますか?」


「決まっている。ヤツは殺す。我々の邪魔をしすぎた。計画を立て直す。全員集めろ!」


「了解。」


マゼランは会議室に歩いていった。



「くっくっく!まぁ頑張れよ、トシキ!!」


不気味に笑いながら会議室に向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ