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彼の進む道  作者: けやき
57/63

魔物の増える原因

ガイアアーク城。


謁見室の玉座に座るイザーク。

その傍に立つ緑の髪の男、シュウ。


その2人の前に門番の1人が膝をつき、報告をする。


「閣下に謁見を申し出ている者が2人いますが、どういたしますか?」


「どこの者だ?」


「それが、坂井俊貴と1人は名乗ってます」


「なんだと!?」


シュウが一歩前に出る。


「閣下!」


イザークの方に振り返るシュウ。


「ふん、面白い。通せ」


ふっと笑うイザーク。


はっ、と返事をして出ていく門番。


「どういうつもりなんでしょうか?奴は」


「さあな。だが、この状況でわざわざ敵陣に単身で乗り込んで来たんだ。面白いじゃないか」


「…」


愉快そうな顔をするイザークと、正反対な表情のシュウ。


そこへ、扉を開け2人が入ってきた。


「よく来た。坂井俊貴」


「あんたがドミニオンのトップか?」


「そうだ。俺がドミニオンの、ガイアアークの王イザーク。」


俊貴がぎゅっと拳を握る。興味深げに俊貴を見るイザーク。


「何のようだ?貴様がここに来る等、何か企んでいるとしか思えん」


あからさまに敵意むき出しのシュウ。


「…、じゃあ本題。何故魔法世界に侵攻してきた?」


何故かシュウに睨み付けられる俊貴が、そんなこと気にした風を見せずにイザークだけ相手にする。


それに、更に腹をたてるシュウ。


「何故?我らガイアアークは元より魔法世界に侵攻するのが目的だ。予定通り事を進めたにすぎん」


「魔法世界を滅ぼすのか?そのために、魔法世界を攻めるのか?」


「ああ、そうだ。この世界は存在してはいけない。だから、滅ぼす」


さも当然のような顔をして話すイザーク。


「存在してはいけない世界?」


「何も知らない貴様は、向こうでのうのうとしていろ」


「…」


シュウが一瞬で俊貴の後ろをとり、刀を俊貴の首もとに突きつける。


「俊貴さん!」


桜が腰の刀に手を添える。


「いい、抜くな」


俊貴が桜を静止させる。


周りには衛兵もいるのを思いだし、くっ、と苦い顔をして刀から手を離す。今この場で刀を抜いたら、牢獄に入れられるだろう。


(ふむ、状況をよくわかってる。)


「…で、お前はわざわざ話をするために来たのか?」


「そう。他の2国を侵攻するのを止めるために交渉をしにね」


「交渉?悪いが、それを聞くつもりはない。我らは侵攻を進める」


「何でそんなことを!」


「言ったはずだ。この世界は存在してはならない。だから、この世界を潰す」


「待て、おかしいぞ!この世界を潰すのに、なぜここの王政を変えた!民に犠牲が出ないように、城だけを落とした!!潰すんなら、そんなことをする必要がないだろ!」


「貴様っ!!」


強い口調で言った俊貴に、シュウが刃を更に近づける。


「どけっ!」


俊貴が刃を握りしめてシュウを睨み付ける。

刃を動かそうとするシュウだが、ピクリとも動かない。俊貴の手から血が流れる。


「やめろ、シュウ。」


「し、しかし」


「戻れ」


「はっ」


緩まった手から刀を引き、イザークの傍に戻る。


「貴様には関係のないことだ。」


そして、何事もなかったように話始める。


「そりゃ直接は関係ないさ!だけど、潰すと言ってんのに、ほっとけるわけないだろ!!潰さないならわざわざここまで来たりするか!!」


「貴様っ!言葉をわきまえんか!!」


怒鳴り付ける俊貴を、更に怒鳴り付けるシュウ。


「黙っていろ。話が進まん」


と、シュウを下がらせるイザーク。


納得できない、と言いたげな表情だがやむなく下がるシュウ。


「死ぬ前にいい気分を味わえるではないか。少しでも、幸せな気分に浸れて後悔もないだろう」


嘲笑うように笑みを浮かべるイザーク。


「…本気で言ってんのか、あんた」


苦い顔をする俊貴。


「本気だ。我らが世界を守る。そのためにこの世界を滅ぼす。そのために死んでもらうんだ。それぐらいはしてやらねばな」


「っ…!」


俊貴がその言葉に頭を抱える。


ここの世界を滅ぼす。旧世界を守るためにこの世界を滅ぼす。それが、自分達の勝手だとわかっている。わかっているから、幸せを味わわせる。そう思えるなら、なんで他の手を探そうとしない。滅ぼすことしか考えない。


イザークは人を思いやれる人間。それがわかったのに、やろうとしてることが俊貴には納得できずに心を締め付ける。


「なんで滅ぼす1択何だ?」


何とか冷静を装って聞く。


「それを貴様に言う必要はない。俺は俺の決めた道を進む。」


すっと玉座から立ち上がるイザーク。

そのまま俊貴の方へと近寄る。


「お前は、俺の道を阻むのか?」


素早く刀を抜き、俊貴の顔へと突きつける。


また桜が刀に手をかけるが、俊貴に手で静止されやむなく離し、苦い顔をする。


「他にも何か方法があるはずだ。どちらの人間も死なずにすむ方法が。」


なぜ魔法世界を滅ぼすのか。旧世界が魔法世界を滅ぼす事で救われるのか、俊貴にはわからない。でも、何か方法があるんじゃないか。そう思う。


「ほう、では旧世界で今何が起ころうとしてるのか知っているのか?」


「それは…」


知らない。何も知らないのだ。

今、旧世界は本来いないはずの魔物が出現するようになり混乱していた。

それと関係があるのか?


「今、旧世界に魔物が大量に出現するようになったのは知っているだろう」


こくん、と頷く俊貴。


「その魔物はどこから来るか、知っているか?」


それを聞いた瞬間、嫌な予感が脳をよぎる。


「…魔法世界から来てる、と言いたいのか?」


「その通りだ。やつらはな、魔法世界から旧世界へと向かってきてるんだ」


「ど、どうやって?」


「知らんのか?魔物はこの世界からどんどんと送られているのだ。方法は様々だがな。」


「送られている?」


「そう。この世界に収まりきらなくなった分をねじれに通して旧世界へと飛ばしてるんだ。魔法世界の人間はな」


「なっ!?」


それなら納得がいく。


魔物が急激に増えたのにもつじつまはあう。


今までより、ねじれが起きてない。それは、魔法世界から旧世界へと繋がる事が減った事を意味する。そのため、ねじれを通して魔物を送っていたのなら、ねじれが減り魔物をあまり送れず増え続ける一方。数が少ないのなら、いっぺんに大量に送り込んでしまえと考えたのだろう。


そのせいで、魔物が旧世界に増えていってしまっていた。


ん?待てよ、どうやって魔物をねじれに通すんだ?ねじれがいつどこで起きるのか知ってなきゃそんなことできないんじゃないのか?


「…さて、あまり時間をとられても困る。そろそろいいか?」


イザークが刀をすっと引き、俊貴から離れる。


「…」


「納得いかないようだな。なら、仲間になるか?それならもっと詳しく話してやろう」


「閣下!!」


それを聞いたシュウが怒りを顕にする。


俊貴と桜、2人して驚く。


「どうする?俺の仲間となり同じ道を進むか、俺の前に立ち塞がり道を阻むか。どうする?」


「…」


こいつの下について道を正す方法だってある。でも、本当に滅ぼす以外方法がないのなら、こいつらのやろうとしてることは旧世界を救う唯一の方法。ただ、魔法世界を犠牲にしないといけない。それが俊貴を苦しめる。


「…無理だ。オレは他の方法を探す。魔法世界を消すしかないとしても、人々だけでも守る道をオレはとる!!」


「ふん、いいだろう。だが、お前の道は俺が閉ざす。この者らを捕らえよ!」


「なっ!?」


槍を2人に向けて取り囲む衛兵たち。


「俺の道を阻むことはさせん。悪いが、牢屋のなかで大人しくしていてもらおう。」


「あんたは…」


キッと睨み付ける。


「大人しくしてれば我らの計画が済めば、放してやる。連れていけ」


衛兵が2人の腕に手錠をかけて、牢屋の方へと引っ張っていく。


「シュウ。次に、ハイライトに行くぞ」


「はっ。」


ペコッと頭を下げるシュウ。


「間にあるトルガイア魔法学園。そこを目指す。」


「はっ。真紅の剣はどういたしますか?」


「奴など恐れるにたらん。過去の英雄など蹴散らす」


「頼もしきお言葉」


「ふん、さぁ行くぞ」


謁見の間の扉を開き、ハイライト王国と、ガイアアーク城の中間にあたるトルガイア魔法学園へとむかう。



おはようございます。


もう11月。早いですねー、後1ヶ月で今年も終わりですよ。早い。


うーん、この小説無事終わらせれるのか、不安ですが、しっかりとやっていこうと思います。

これからもよろしくお願いします。

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