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彼の進む道  作者: けやき
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真紅の剣、モーゼス・ライド

トルガイア魔法学園に1日かけてやっと着いた俊貴。


既に、日が昇り始めていて城のような学園が日の光に照らされる。


外見は完全にお城の様になっていて、塔のようなハイライト魔法学園とは印象が全く違う。


「まだ、ここは大丈夫そうだ」


戦闘をした形跡がない。

だが、油断はできない。戦闘が行われてなかっただけで、既に学園は徴収された後かもしれない。


「とりあえず…」


腰からハンドガンを取りだし、ロックを外す。


「学園長に挨拶」


ハンドガンを腰にしまい、学園の敷地に足を踏み入れる。


その瞬間、俊貴へと向かって炎が数個飛んできた。


それを軽いフットワークでかわしていく俊貴。


「!」


ふいに目の前に影ができたため、上を見上げる。


そこには、大剣を振り下ろそうとしている赤髪単髪の男がいた。


「学園に入ってくるな!!」


風を斬って、俊貴へと大剣を振り下ろす。


「くっ!」


後ろへと一回転して大剣をかわす。

地面へと大剣は振り下ろされ、地面に当たりクレーター状に陥没させる。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「問答無用!」


大剣を素早く引き抜き、再び俊貴へと向けて今度は横に振り抜く。


「ちっ!」


腰から素早く刀を抜き、大剣を受け止める。


「は?」


受け止めた瞬間、グッと体に衝撃が伝わる。

そして、学園の敷地外へと吹き飛ぶ俊貴。


地面に2回バウンドし、ざざーっと地面を削ってやっと止まる。


「終わりだ!」


「!」


その男の方を見ると、手の上に巨大な炎の玉を出現させて、俊貴へと投げつけた。


「くそっ!」


縮地法で一気に移動して炎の玉をかわし、また縮地法でその男の後ろへと回り込む。


「甘い」


「な!?」


回り込んだはずが、いつのまにか後ろへと回り込まれていた。

振り返った時には遅く、俊貴は右腕を掴まれそのまま地面に押さえ込まれる。


「1人で、このオレをどうにかしようとは、甘く見られたものだ。それに、この程度とはドミニオンも対した事はないな」


俊貴の首筋の真横に大剣を突き刺す。


少しかすって血が流れる。


「…」


俊貴を押さえ込んで満足そうにしている男を睨み付け、全身に力を込める。


「あぁ?」


それに気づき、剣を握り直して俊貴を押さえ込む力を強める。


俊貴の全身から黒い魔力が発せられる。


「闇の魔力!?」


それに驚き一瞬力が緩んだ。


その隙を逃さず、俊貴は一気に男を地面に突き倒し、雷でできた剣を4本投げる。


その剣は、男を囲んで地面に突き刺さった。


「へぇ」


男がニヤッと笑う。


俊貴は、動けない隙に呪文詠唱。


「暴風の雷閃光!」


竜巻を纏った雷が男へと向かっていく。


「これは…っ!」


その魔力の質と練りに、威力が普通じゃないことに気づき、無理矢理その場から動きかわす。


地面に俊貴の魔法が当たり、地面を抉り太い穴を開けた。


「…」


俊貴が後ろへと振り返る。


「はは!やるなぁ。前言撤回!1人でも充分だ!!だがなぁ、こっちも、生徒を危険な目に合わせるわけにはいかねぇんだわ」


そう言った瞬間、一斉に男の横に魔法使いが何人も現れた。おそらく、魔法学園の先生だろう。


「はぁ」


ため息をつく。


どうする?この状況、戦ってもいいけどここで魔力使っちゃったらキツイし。ってか、戦う必要なくね?


危うく流れに乗って戦いそうになるが、ギリギリで踏みとどまる。


刀を腰にしまい、フードを外して闇の魔力も抑え込んだ。


「どういうつもりだ?」


訝しげに大剣を俊貴に向ける。


何で大剣を向ける…


2人の間に険悪な空気が漂い始める。



「あ…」


そんな空気を吹き飛ばすには弱いが、少し抜けた声が聞こえてきた。


『は?』


2人が同時に声のしたほうを見る。


「あ」


そこに立っていたのは、見覚えのある女の子だった。刀を手に持った黒髪ポニーテールの女子。


「桜?」


「は、はい…」


名前を呼ばれて頷く桜。


「え?え?」


状況の読めない男が、俊貴と桜を交互に見る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


トルガイア魔法学園の学園長室。

ハイライト魔法学園の事務的な部屋と違い、ここの部屋は完全に趣味が前面に出ている。

壁に剣や杖、盾等が飾られ、机の上に銃弾やら危なっかしい物が転がっている。


「そうかそうか!悪かったなぁ、問答無用で攻撃して」


ハハハ、と豪快に笑いながら自分の前に立つ俊貴の横に移動して、肩をバシバシ叩く。


桜の仲介で、俊貴とトルガイア魔法学園、学園長は戦闘をやめた。


オレ、この人苦手だ。


なんと言うか、この豪快さとか頭が筋肉でできてそうな感じの人間があんまり好きじゃない俊貴。


「いやー!それにしても、まさかあの‘ミトス’の弟子とはなぁ!!なるほど、面白いぞ!!お前」


可笑しそうに爆笑する男。


なんだ、この人は!

オレはともかく、師匠をバカにするのか!!


そう思って、ムッとする俊貴。


「ハッハッハ!アイツが弟子をとるとはなぁ。面白い面白い!」


「さっきから師匠の事知ってるみたいですけど、あなたは誰ですか?」


訝しげに聞く。


「お?なんだ?俺の事聞いてないのか?」


ん?ん?とうっとうしく聞いてくる。

はぁ、とため息をつき、はいと返事をする。


「ふむ、じゃあ紹介が遅れたな。俺は、トルガイア魔法学園、学園長モーゼス・ライドだ。三賢人の1人‘真紅の剣’でもあるな」


「…」


まさかの自己紹介に口をパクパクさせる。


さ、三賢人!?こ、この人が?

で、でもあの戦闘力は確かに…


「俊貴さん?」


「あ、ああ」


桜に声をかけられて我に返る。


「で、お前は何故ここに来た?」


急に真顔になるモーゼス。


「魔法学園を守るため、です」


それを聞き、桜が微妙な表情になる。


(この人は、変わらない。危険に自ら足を踏み入れる)


「大好きな師匠の命令か?」


「はぁ!?……まぁ、そうです」


ニタァと笑うモーゼスから発せられた言葉に驚くが、嫌いじゃないため否定する理由もないため頷く。


ヒュー、と口笛を吹き面白そうにニヤニヤするモーゼス。

さすがに恥ずかしくて、顔が熱い気もする。


「オレの判断で動けって言われてきました」


はぁ、とため息をつく。


「ふむ。では、お前も浅倉と一緒で戦力としてとらえてもいいのか?」


「そうですね。元より、ここを守るつもりでしたし、そうとらえてもらって構いません」


「よし、じゃあ2人はペアで頼むぞ。お前さんらは知り合いのようだし、ここの先生たちよりも腕が立つ。あてにさせてもらうぞ」


『はい』


俊貴と桜が同時に頷く。


「とりあえず、聞きたいことがあるんですが、いいですか?」


「ん?何だ?」


「トルガイア王国が落ちてから、ここにドミニオンは来ましたか?」


「いいや、来てない。おそらく失った戦力を整えているんだろう」


「そうですか」


まだ魔法学園は攻撃を受けてない、か。


「トルガイアの人達はどんな感じですか?」


「どうもこうもないぞ。国が落ちて1、2日はさすがに動揺が大きかったようだが、今は全くだ。逆にイキイキしてる気がする」


そこで、モーゼスが微妙な表情になったのを見逃さなかった。


「前の王に不満が?」


「…あるさ。重税、民の意見を聞かない政治。働いてもその見返りが少ない。それじゃあ、民はついては来ない」


「そこにドミニオンだ。厄介なことに新たにガイアアークとして3国目に名乗り上げ、前の王政を作り替えた。民を傷つけない国としてな。民は当然今の王政に反対はしない」


「民を傷つけない?」


おかしい。

魔法世界に対抗するために存在してるんじゃないのか?なのに、対立する世界の人間を擁護する意味がわからない。


「じゃあ、トルガイアに住んでる人達は無事ってことですか?」


「ああ。城に駐屯してた軍と王以外は全員無事だな」


「そうですか」


意図がわからない。


でも、今はここが狙われるかどうかだ。

話を聞いてる限りだと来ない可能性のが高い。でも、来ない保証はない。

いや、待てよ。魔法学園ということは、将来魔法使いとなる人間を育てる場所。オレならそこは叩く。オレに浮かぶ事なら他の人でも考える。


「はぁー、どうすりゃいいんだ」


と、無意識に言葉をこぼす。


「どうすりゃって、お前のしたいようにすればいいだろ?」


「へ?あ、えっと、そうなんですけど、もうガイアアークへと乗り込んでやりたいんですけど、ここはほっとけないし」


「どっちもなんて無理だ。お前はホントはどうしたいんだ?」


「オレは…」


「戦いに行くか?それとも学園を守るか?」


戦いたい訳じゃない。でも、戦わないといけないかもしれない。それに、ここを守るためにも戦う必要があるかもしれない。


オレはどうしたい?どう動きたいんだ?


ふと、心に違和感を覚える。


「そっか、オレはどっちもしたいのか。」


それに気づく。


「…答えは出たのか?」


「はい。オレはどっちもしたいんです。魔法学園を守るために、ガイアアークへと乗り込む」


「強欲な奴だな、お前は」


「はい、それはわかってます」


あはは、と苦笑いする。


「なら行くといい。伊達に三賢人をやってはいない。ここを守るぐらい俺1人でも充分だ」


「なら、オレは城へ行きます。」


「おう。行ってこい。浅倉も一緒にな」


「わ、私もですか?」


「ああ。さっきペアだって言ったろ。だから、一緒に行け。」


「…はい」


はぁ、と小さくため息をついた桜。


「もう行くのか?」


「はい。早いうちに動きをつかまないと他の2国も危なくなるかもしれない」


「そうか。まぁ、ここは気にするな。そう簡単には落とさせはせん。」


「はい」


うなずき、ペコッと頭を下げてから部屋を出ようと扉へと向かった。


その後に桜もついていく。


こんにちわ。


新キャラ登場!おっさんです!!

強いおっさんです!!


三賢人も後一人ですね。

第2章で登場するかは決めてませんが。


あ、あと活動報告の方も更新したのでそちらも見ていただけると嬉しいです。

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