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彼の進む道  作者: けやき
26/63

迷いと敗北

トシキの家


姿が元に戻り、トシキは自分の家に戻った。それと一緒にアイギスも戻ってきた。


「ふあぁー…」


と、ベッドの布団に丸まったまま欠伸するトシキ。今は冬で、布団の温もりから抜け出せない。

トシキは朝に弱いため余計に抜け出せない。


「……」


布団の中で足や手の指だけ動かしてみる。


「起きたくない…」


と、段々目が覚めてくる。


次第に意識がしっかりしだし、鳥の鳴き声が聞こえてくる。


いつまた戦いになるかわからないが、束の間の安息な1日が始まろうとしていた。


・・・・・・・・・・・・・・・

1時間後


トシキは30分前に嫌々起きて、朝食も準備も済ませていた。


アイギスも15分前に起きてきて、既に朝食を済まして身支度をしている。


「ねぇ、トシキ」


と、身支度を終えて服に着替えたアイギスがいきなり部屋に入ってきた。


「うおっ!?びっくりした…」


と、ベッドの上でTVを見ていたトシキが驚く。


「おばさんに魔法の事いったの?」


と、アイギス。


「いや、言ってないよ。言わないといけない時が来たら話すけど、まだそうじゃないと思う。」


と、トシキ。女のまんまだったら流石に言うが、今はどちらにもなれるため、まだ話さなくてもいいか、と思っていた。

正直、話すのが怖いというのもある。


「ふーん…、話しちゃっても良いと思うけどね。」


と、アイギス。


「何で?」


「だっていずれ話すんなら、今話しても変わらないでしょ?」


と、アイギス。


「…」


確かに間違ってはないない、と思うトシキ。だが、今話すべきなのかどうか、トシキにはわからなかった。


「他にも言わないといけない人いるんでしょ?だから、話すのはトシキの自由。自分が話そうと思ったら話せばいいよ」


と、笑うアイギス。

他にも言わないといけない人、それは明日菜の事だとすぐわかった。

明日菜は一度魔物に襲われている。コッチ側に巻き込まれてきていた。それが偶発的なねじれによってでも。


「めんどくさいな、母さん達には言っとくか。」


と、腹をくくるトシキ。遅かれ早かれ言うと決めていたため、家族には言っておく、と決めた。


「じゃあ、私は外にいるね」


と、アイギスが扉を閉めようとした。


「待って!一緒に居て。…1人じゃ怖いし、アイギスの事も言わないといけなくなるから。」


と、苦笑いするトシキ。こんな時にビビってる自分を情けなく感じる。


「……いいよ、わかった。」


と、笑うアイギス。トシキの気持ちを察した。


「ありがとう」


と、微笑み下へアイギスと一緒に降りていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トシキの家の裏


家の裏でトシキとアイギスが一緒にいた。さっき家族に魔法使いである事を話した。

流石に驚いていたが、3ヶ月も行方不明だった事に納得してくれた。それで、これからも魔法使いとして生きていく事を告げると心配そうにしていたが、笑って許可をしてくれた。


「…にしても思ったよりあっさり許可してくれたね。」


と、アイギス。もっとごちゃごちゃになると思っていた。


「まぁ、わりと放任なんだよ。家は」


と、笑うトシキ。正直かなり冷や汗をかいていた。


「ふーん。」


と、アイギス。


「ってか、魔法使いだって事バラすとどうなるの?バレちゃダメとは言われたけど。」


と、肝心な所を知らないトシキ。


「うーん…知らない。」


と、笑うアイギス。


「知らんのかい…」


と、がっかりするトシキ。

その様子を電柱の上に立ち見下ろす影があった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

空き地


トシキとアイギスは、神楽達と約束していた時間に空き地に来た。

神楽達も既に空き地におり、トシキ達を待っていた。


「おっす。」


と、トシキが手を上げて挨拶する。


「おはよう」「おはよう!」「うむ、おはよう」


と、霊紗、神楽、カガリが返事して悠里が軽く手を振って答えた。


「なぁ、突然なんだけど、魔法使いである事がバレるとどうなるんだ?」


と、トシキ。


「アンタ今更何言ってんの?」


と、呆れる霊紗。


「だってオレ知らないし。」


と、トシキ。


「…。魔法使いである事がバレれば魔法使いとして生きる事は難しいわよ。」


と、霊紗。


「…魔法使いとして生きれない?」


と、トシキ。


「そ。魔法世界に強制送還されて、下手すれば一生牢屋の中。運が良ければ魔力を失ってただの人間になる。」


と、霊紗。

魔法使いと言うことがバレた者の性格が悪いと一生牢屋の中。バレた者が魔法使いの事をバラさないとも限らないため、その対抗手段としてとられるのである。魔法使いの事が旧世界に知れわたれば、人々が混乱し、何が起こるかわからない。

バラす心配がない、と判断されれば、魔法世界で一生を過ごすか、動物として旧世界に戻ることを許可される。


だが、大抵は牢屋の中か魔法世界に閉じ込められるのである。


「へーぇ、そんな事になるのか……。家族に話しちゃったけどマズかった?」


と、苦笑いするトシキ。


「!な、何で言っちゃったの!?」


と、焦る神楽。


「い、いや、いずれは言おうと思ってたんだけど…」


と、トシキ。


「待って、家族にしか言ってないわよね?」


と、霊紗。


「うん」


と、トシキ。


「なら家族に黙っててもらいなさい。他言無用って。」


と、霊紗。


「わ、わかった。」


と、携帯を取りだし電話をかけ出すトシキ。


「まぁ家族にしか言ってないみたいだし、魔法使ってる所を誰かに見られた訳じゃないから大丈夫だと思うんだけど…」


と、霊紗。


「…電話したよ。」


と、携帯をポケットにしまって歩いてくるトシキ。


「ったく、あんたは一言言いなさいよ。勝手に判断して行動したら私たちまで困るでしょ。」


と、怒る霊紗。


「…ごめん」


と、謝るトシキ。


「まぁまぁ、バレなきゃ良いわけだし、そこら辺で良いでしょ。」


と、悠里。


「まぁそうだけど…」


と、霊紗。


「はい、じゃあこの話は終わり。鍛練の時間よ。」


と、悠里が手を叩く。


各々が返事をして鍛練の準備に入る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

????


暗い場所。そこにヴァニタスが立っていた。


「クックック、さてそろそろ挨拶に行こうかね。」


と、笑みを浮かべる。その後ろで多数の眼光が浮かぶ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

空き地


鍛練も終わり、皆腰を下ろして休んでいた。


「…」


と、悠里が何かを感じた。悠里はねじれを操る事ができるため、空間に歪みが現れれば察知することができるのである。


「何かくるわ。」


と、トシキに言う悠里。


「…!」


と、立ち上がり空を見上げるトシキ。

空に亀裂が入っていた。


「な、何あれ?」


と、亀裂に気づいた神楽が言う。


「わからない、でも何か来る…!」


と、トシキ。


急に亀裂が開き中からヴァニタスが現れた。


「よぉ!久しぶりだな」


と、トシキ達を見下ろすヴァニタス。


「くっ…!」


と、身構えるトシキ達。

それを不気味な笑みを浮かべて見下ろすヴァニタス。


「…何の用だ?」


と、トシキ。

背中に冷や汗が流れる。前よりも威圧感が強くなっていた。

それを神楽達も感じているようで、身動きがとれない。


「何、今日は軽い挨拶に来たのさ。世界を滅ぼすのを邪魔するお前らにな。」


と、話している途中で空から消えるヴァニタス。


「な!?」


と、驚き周りを見回す。


「後ろだ」


後ろに立つヴァニタスが声をかけた。


「っ…!」


苦い顔をするトシキ達。


(いつのまに後ろに…気配を感じなかった)


と、ヴァニタスを睨み付けながら思うトシキ。


「おいおい、今のが読めなきゃお前らに世界を守る術はないぜ」


と、嘲笑うヴァニタス。

圧倒的に前よりも強くなっているのが、目の前に現れた事でハッキリわかった。余裕を感じさせるのは、その圧倒的な力があるせいでもあった。


「で、挨拶がてらわざわざ来たが、その必要も無かったな。その程度じゃ“オレ達”をとめられやしない。」


ヴァニタスがトシキ達に手を向けた。


「!皆散れ!!」


と、ヴァニタスのやろうとしている事に気づいたトシキが叫ぶ。

その声に、神楽達が四方に散った。

それを見てヴァニタスが笑みを浮かべた。


トシキ達が1人ずつバラバラになった瞬間に、トシキを除いた皆が黒いマントを羽織った者達に拘束された。


「皆!!」


と、驚くトシキ。神楽達は脱出しようともがくが意味をなさない。


「どういうつもりだ…!」


と、焦るトシキ。


「言ったろ?挨拶だと。」


と、笑うヴァニタス。神楽達を抑えているのは、ヴァニタス程ではないが、かなりの強さを持っている。


「さて、お前は強さが変わるからな。他の奴等と違って戦わねぇとな?」


と、笑うヴァニタス。


「…お前が戦いたいだけだろ」


と、トシキ。


「戦わないならそれでもいいが仲間がどうなるか、わかるよなぁ?」


と、神楽達を人質として、トシキに戦わせようとするヴァニタス。


「…っ!」


トシキが、やむ無く黄色のエレメンタルブレードを出した。


「そうだ、それで良いんだよ。」

と、ヴァニタスも黒いエレメンタルブレードを出す。


「………行くぞ」


と、言った瞬間にヴァニタスはトシキの目の前に現れ、エレメンタルブレードを、トシキの顔に向けて振る。


「くっ…!」


と、体勢を低くして紙一重でかわすトシキ。前髪が少し斬られた。


「おらぁ!」


と、縦に思いきりエレメンタルブレードを振り下ろす。


「…く!」


と、横に体重をかけて、思いきり横に跳んでかわすトシキ。

空を斬った黒いエレメンタルブレードが地面に穴を開ける。

無理矢理横に跳んだ反動を利用して、トシキが攻めに出た。


「!」


と、無理な体勢からの奇襲に反応が遅れたヴァニタス。

黄色のエレメンタルブレードが、ヴァニタスの腕を捉えた。

ガン、と音をたて脚で横に地面を削る。


「はあぁ!」


と、エレメンタルブレードを左下から斜めに振るトシキ。


「ククッ!」


笑みを浮かべて、黒いエレメンタルブレードをぶつける。


カアァン、と音をたて二人を中心に衝撃波を発する。

周りにいた神楽達に強い風が通った。


「そうこなくちゃなぁ!」


「うっ!」


と、トシキの腹を蹴り距離を開けたヴァニタス。トシキは地面に膝をついた。


「まだ本気じゃないだろ?早く本気を出せよ。じゃなきゃ、お前のかわいい仲間達が死ぬぜ?」


と、嘲笑うヴァニタス。ヴァニタスの仲間達が抑えつける手を強めた。神楽達がキツそうな表情を浮かべる。ふと、霊紗の方に目がいく。霊紗も苦しそうな表情をしている。


「やめろおぉぉぉ!!」


「!」


トシキを中心に魔力が溢れ、突風が吹いた。魔力が上がってきている。その溢れる魔力に黒っぽい紫の魔力が混じる。


「本気は出してやる!!だから、皆を放せ!!」


と、ヴァニタスを怒鳴り付けるトシキ。


「…そうはいかねぇな、お前が本気を出さない可能性もあるからな。」


「てめえぇ…」


と、睨み付けるトシキ。


「…そうだな、解放してやろう。1人始末したらな。」


と、悠里を捕えていた1人が片手に炎を出現させた。


「アレの力は中々厄介だからなぁ。」


と、笑うヴァニタス。


「!?」


が、次の瞬間には驚いていた。悠里を捕えていた1人が吹き飛ばされていた。

その後に次々と神楽達を捕えていた奴等が吹き飛んでいく。


「そんな事やらせない!」


と、トシキが両手にエレメンタルブレードを持ち、周りに4本のエレメンタルブレードを浮かせていた。


「ほぅ…」


と、笑うのをやめたヴァニタス。


「…面白そうじゃないか?」


トシキの目の前に現れたヴァニタス。が、トシキは見えていた様で動じない。


急にヴァニタスがエレメンタルブレードを振った。


トシキはそれに反応してエレメンタルブレードを振った。


再び音をたてたが、トシキはそのまま反対のエレメンタルブレードを振った。


「ちっ…」


と、斜めに斬られるヴァニタス。斬られた事で、力が緩む。


その瞬間に浮かせたエレメンタルブレードを含めて、六本のエレメンタルブレードでヴァニタスを斬り裂いた。


「がっ!」


と、吹き飛ぶヴァニタス。


地面に手を着き、後ずさるのを踏み止まる。そのまま普通に立ち上がった。


「…」


対してダメージになってないのに気づき、苦い顔をするトシキ。

その表情を見て笑うヴァニタス。

「この程度じゃないよな?」


と、挑発するヴァニタス。


「…さぁね」


と、軽く笑うトシキ。


(このままじゃやばいな…でも、これ以上力を使うわけには…)


と、闇の化身となりかけた事を思い出す。意識はある。だが、体の制御が効かずに、目に映る物を破壊する化け物と化す。


それだけは避けたかった。


「闇の魔力を使ったらどうだ?」


と、嘲笑うヴァニタス。

明らかに闇の魔力を使わせようとしていた。


「……」


―自分を信じなさい―


と、頭に声が響く。


「……」


その声に応えるようにトシキが闇の魔力を纏い始めた。


「!…」


ヴァニタスが笑う。

トシキが紫のオーラを纏う。


「いくぞ」


と、縮地法でヴァニタスの後ろに現れる。そのままエレメンタルブレードをヴァニタスに振り抜く。


「!くっ…」


と、紙一重でエレメンタルブレードを受けるヴァニタス。エレメンタルブレードを受けたままヴァニタスが笑う。


「そうだ!それでいい!!」


と、トシキの首を掴み持ち上げた。


「あ…ぐっ…」


苦しそうな表情をするトシキに、容赦なく首を掴み続けるヴァニタス。

その時、トシキの後ろに何かが空から降りてきた。


「!?」


それに気づかなかったヴァニタスは、腹に一閃入れられ、トシキを掴んでいた手を放し、地面に手を着いた。

地面に血が滴り落ちる。


「なん…だと…!」


と、出血箇所を確認するヴァニタス。腹からだった。

それを見た後に顔をあげた。

膝をつくトシキの横に、見たことのない少女が日本刀を持って立っていた。


「…誰だ、てめぇは」


と、少女を睨み付けるヴァニタス。


「…」


少女は何も言わずにトシキの方を見た。トシキを見ているのに、隙がない。今踏み込んでも斬られる、と言うのが直感でわかった。


「たてますか?」


と、聞く。


「…大丈夫、立てるよ。」


と、立ち上がるトシキ。

再び紫のオーラを纏う。


(何だ?何か感じたことのある力だな…)


と、少女を見る。


「助太刀します。」


と、少女がトシキに言う。


「…ありがたいけど、アイツはオレがやらないとダメなんだ。」


と、トシキ。ヴァニタスを倒せるのに倒さなかったために、死んでいったたくさんの人々。それを自分の責任と感じていた。そのため、死んでいった人の分まで生きると決めていた。


「…2人で来いよ!じゃないと死ぬぜ?」


と、嘲笑うヴァニタス。その様子に、嘘はなく自信で溢れていた。


「と、言ってますが?」


と、少女。闇を制御しきる自信はなかったため、考えるトシキ。今回は挨拶だ、と言っていたのを思い出した。


「…じゃあ、力を貸してくれ」


と、トシキが少女を見る。

少女は頷き、ヴァニタスを見た。トシキもヴァニタスを見る。未だに笑い続けていた。


「あの笑顔を後悔に歪めてやろう」


と、トシキが少女に手の甲を向けた。


「そうですね」


と、笑い自分の手の甲をコツンと軽くぶつける少女。


トシキは少女を他人と思っていなかった。ずっと前に何処かで会った事がある、そう思っていた。


「先に行きます!」


と、ヴァニタスの方へ向かう少女。


「わかった。」


と、その場で詠唱を始めた。


少女がヴァニタスに日本刀を振る。

ヴァニタスはそれをエレメンタルブレードで受け流す。


「お前は殺す」


と、少女が刀を振り抜いた後に、ヴァニタスがエレメンタルブレードで突きを繰り出す。


「くっ!!」


紙一重で体をずらす。少女の喉があった位置にエレメンタルブレードが通りすぎた。


「終わりだ」


と、笑いエレメンタルブレードを振り上げた。


「っ!」


少女の体勢から避けるのは不可能だった。

ヴァニタスのエレメンタルブレードが振り下ろされた。


「ぐあっ!?」


と、ヴァニタスが吹き飛んだ。

トシキの魔法でヴァニタスは吹き飛んでいた。

少女が素早く体勢を直す。


「大丈夫?」


と、隣にきたトシキ。


「助かりました。」


と、照れながら答える少女。


「今度は2人で行ってみようか。」


と、トシキが両手にエレメンタルブレードを持つ。


「わかりました。」


と、頷き日本刀を構える。


「…今のは聞いたぜ」


と、ヴァニタスが腹を抑えながら出てきた。流石に効いたようだ。

そんなヴァニタスの様子を無視して2人は同時に縮地法を使う。


「…」


「っ!?」「な!?」


ヴァニタスは前後に現れた2人の連携攻撃を軽く受け流す。


「まだだ!!」


と、トシキがヴァニタスの腹目掛けてエレメンタルブレードを振る。少女もそれに合わせて刀を振った。


「……くくっ」


と、笑いながら前後から来る刃を軽く止めた。


「!」「…っ」


と、2人は苦い顔をする。


「コンビネーションは悪くないな。即席のクセに良い方だ。」


と、笑う。


「が、まだまだ俺には勝てんな。」


ヴァニタスが2人の刃から手を放した。が、刃が動かない。


「な!?」「何だコレ!!」


と、訳もわからず刃を動かそうとする2人。

そんな2人を尻目に、ヴァニタスの両手に赤い小さな雷を帯びた黒い球が1つずつ現れた。


「…まぁ今日はこの辺にしといてやる。」


そう言った後に、その球が2人を襲う。


「うあぁぁ!」「っつ……」


球が直撃した瞬間に爆発が起こる。


2人は爆煙に包まれた。


「次に会った時、今と同じだったら死ぬぜ!」


と、言い残し姿を消した。

黒いマントの仲間達も一斉に姿を消した。


「トシキ!」


と、神楽が爆煙の上がる場所に向かって叫ぶ。

霊紗は言葉を発する前に走り出していた。


次第に風で爆煙が消えていった。


「っ!」「トシキ!」


と、神楽が言葉を詰まらせ、カガリがトシキの元に走る。

トシキと少女は爆発で全身に傷を負い、所々服が破けていた。

2人とも魔法障壁をギリギリで張れた様で、そこまで深いダメージを受けてなかった。

が、意識を失ってはいた。


「神楽!」


と、霊紗が怒鳴る。神楽はその声に体を揺らした。


「早く治癒魔法を2人に!!」


と、霊紗。


「う、うん!」


と、慌ててトシキ達の元に駆け寄り、治癒魔法を唱え始めた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

????


暗くて黒い世界

そこにヴァニタス達が戻ってきた。


「…しまった、本気を出させる前に気絶させちまった!」


と、頭を抱えたヴァニタス。

ヴァニタスが言った通り、トシキは本気を出してなかった。闇の力を少し制御できていただけで、闇の化身にも、二重換装すらしていなかった。


「まぁいいか、本気じゃなくてあれだけやれれば本気ならもっと楽しめるだろうからな。」


と、笑うヴァニタス。


「それよりも、気になるのはあの女だな。何処かで会った気がする…」


と、途中でトシキの加勢をした少女を思い出す。トシキと一緒で、昔何処かで会った。そんな気がしていた。


「…調べておけ。」


と、1人の黒フードに命じた。

一礼し闇に消える。


「もしかしたら、面白いことになるかもしれねぇな」


と、笑うヴァニタス。


散り散りに黒いマントの者達が消えていった。



こんにちわ。

お久しぶりです。

かなり間が空いてしまいました。

話は書き終わってたのですが、出すのを忘れていました。

遅れましたが、これからもよろしくお願いします。

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